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六道プリンセス!
XX
現代ファンタジースーパーヒーロー
2024年10月09日
公開日
157,840文字
完結
宇宙からやって来た知的生物の魂をエネルギー源とする怪物・妖魔神。
そんな妖魔神たちに対抗するため、冥府の女王ヘカーテに命じられ、人間界にやってきた妖精たち。
妖精たちに六道の力を与えられた6人の少女戦士……六道《シックス》プリンセス。
そんな彼女たちが力を合わせて妖魔神を退治する友情の物語。

※本作コメディです。

※本作、色々危険なネタが出てきますが、真面目に読まれることを想定して書いてないです。

※なろうにも同じものを置いております。

第1話 六道プリンセスになって欲しいんだ!

 イタイイタイイタイイタイイタイイタイ!


 ゾリゾリゾリッ!


 ボキィ!


 私、閻魔花蓮えんまかれん

 14才の女の子!


 今、私は死にかけている。


 夕食後、アイスを食べたくなったので。

 近くにオープンしたコンビニに買い物に出たら。


 街灯の少ない田舎の夜道で、いきなり後ろから車に撥ねられて。

 そのまま車体に変な風に挟まって、引き摺られているんだ。


 身体がアスファルトで摺りつぶされて、痛くてたまらない。

 摺り潰されながら、骨も折れていく。


 私を撥ねた車の運転手は、私を振り落とそうと蛇行運転をしている。

 そのせいで。


 私の苦痛が増大する。


 ああ……


 気が遠くなっていく。


 私の頭の中を駆け巡って行く走馬灯。


 私はこの街で生まれ、この街で育った。

 小さいときから元気が良いことと、正義感の強い真面目な子だと言われて褒められて育った。


 同時に「あの子は馬鹿だよね」って笑われたこともあったけど。


 私は馬鹿にされることも、悪いこともしていないって思っていたから。

 改めようと思ったことは1回も無かった。


 小学校。友達は多かった。

 中学校。1年のときは友達がいた。

 でも、2年になったとき。


 クラスで、弱い子が不良生徒のいじめのターゲットになったんだ。


 私は見過ごすのは正義じゃないって思ったから。

 給食のお茶汲みをさせられていたその子のために


「自分のお茶くらい自分で汲みなよ」


 って言ったんだよね。


 その子たちは最初ポカンとしていたけど。

 次の瞬間、私を睨みつけた。


 でも、私は動じない。

 殴り合いになっても、一方的にやられない自信があったし。

 こういう卑怯な人間は、自分にリスクのあることはしない。


 そういう見込みがあったから、動じなかった。

 そして結局。

 その場でその不良生徒は、お茶を自分で汲んだんだ。


 ……よし、歪んだことを正せたぞ。

 その場はそう思ったんだけど。


 それがいけなかったんだ。


 ……次の日から、私はクラス全員に無視されるようになってしまったんだよね。


 噂には聞いていたけど。

 正しいことを言った人間を、悪い人間への恐怖で集団で排除しようとする。


 それを実際に見ることになったんだ。


 でも、負けたりしない。

 こういうときに負けてしまう人がいるから、正しいことが嘲笑われる世の中になる。

 だから私は、たった一人ででも、正しいことを貫き通すんだ!


 ……そう思い、今日まで笑って生きて来たけど……


 もう、ダメみたい……


 今の私、どうなっているんだろう?

 私だって女の子だ。


 友達がいたときは


「花蓮ちゃん、ボブカットが良く似合ってるよ! 花蓮ちゃんは運動も得意だし、短い方がらしいよね!」


 とか


「花蓮ちゃん、運動できるから太ってなくて身体のライン綺麗だよね。羨ましいなぁ」


 そんなこと、言われたこともあったんだ。


 お母さんにも


「あなたは笑顔が可愛いわ。丸くて大きい目が可愛い」


 って言われて大きくなってきたのに……


 こんなことになってしまった……。

 アスファルトで削られて、骨もバキバキに折れて、もうそんなもの……無いよね。


 ああ……なんでこんなことに……


 何か私、こんな目に遭う悪いこと……したの?


 このまま死んじゃうのかな……?

 ああ……彼氏……欲しかったなぁ……


 私がそう、泣きながら諦めようとしたとき。


 そのときだった。


「やっと見つけた!」


 少年の声がしたんだ。


 私は血まみれの目を開ける。


 そこには……


 狭い、車体下の空間。


 色は赤。

 そして顔が馬で、胴体が人間の男の子。

 そんな姿の、小人が居た。


 背中には蝶の羽根を生やしていた。


 キミは……?

 もうすぐ死んでしまう私を迎えに来たの……?


 そう、もう口が利けないから、心で訊いた。


 すると、その存在は私にこう言ったんだよね。


「僕はバキ。冥府の妖精」


 冥府の……妖精……?

 死後の世界ってこと?


 するとそれは


「一度しか言わないから良く聞いてね」


 かまわず、続けた。


「僕と契約して、六道シックスプリンセスになって欲しいんだ」

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