「えぇ~ん、聞いてよママぁ~っ! 男みたいな胸をしたハリボテ(笑)女に、毎日いじめられるんだよぉ~っ!」
「よしよし。大丈夫だよ、ママがしーちゃんを守ってあげるからねぇ」
ぷにぷに♪ と柔らかい、ようこママの太ももに全力で頬ずりしながら、よしよしと頭を撫でで貰う。
それだけで脳内麻薬がどっぴゅどぴゅ♪ と分泌されて……あっ、ヤバい。
ヤバいわコレ。
思った以上にヤバい……ハマる。
「ほぉら、しーちゃん? よしよ~し」
「ママぁ~♪ もっともっとぉ~っ!」
「もうしーちゃんは甘えんぼさんだねぇ」
神に懺悔するかのごとく、ようこママの太ももに鼻先を
それだけでとんでもねぇ多幸感が俺を襲い、何故かストレ●チ・パワーが
まるで底なし沼のような安心感に、IQがガンガン下がっていくかのようだ。
こんなのもう……ダメでしょ?
太刀打ち出来ないでしょ?
もう完全にお手上げ宣言である。
『ママみ』に対してガンジー宣言。
甘やかされるままに無抵抗。
もはや戦術は武田ですよ。
心地よいことそよ風の
癒されること林の如し。
萌え続けること火の如し。
そして股間は山の如し。
これぞ『ママみ』の風林火山っ!
「(ガチャリ)お待たせ2人とも。ところで士狼? 今さっきリビングで蓮季さんと会ったんだけど――」
「はいしーちゃん、よちよ~ち♪」
「ようこママのよちよち……ちゅき♪」
「……ごめんなさい、部屋を間違えました」
バタンッ! と無情にも閉まっていく自室の扉。
いけないッ!?
あの顔は絶対に俺が幼児退行プレイを楽しんでいる変態だと認識している顔だ!
このままじゃ芽衣の中で俺のあだ名が【赤ちゃんクソ野郎】に確定してしまう!
瞬間、俺は電光石火の速さで扉まで近づくなり、引き返そうとする芽衣の手首をガッチリと掴んだ。
「待ちゅでちゅ芽衣ちゃんっ!? 誤解でちゅっ!」
「いや誤解も6階もないでしょ? 絶対に正解でしょ? ファイナルアンサーでしょ? 完膚なきまでに大正解でしょ? むしろなんでその口調で
完全に冷めきった瞳で
気のせいか俺が言葉を発するたびに、心の距離が離れていっている気がしてならない。
「テメェッ!? 自分が普段俺らがドン引きするようなことをしている癖に、今さらこの程度で引くなんて理不尽だぞ!」
「その言い分の方が理不尽だわ。だいたい同級生に赤ちゃんプレイを要求する方がおかしいのよ! 普通にキモいから、いやマジでっ!」
「なんだとぉ!」
「なによぉ!」
バブバブ、オギャオギャ! と気がつけば芽衣と醜い言い争いに発展していた。
残念ながら双方どちらも
そんな仁義なき戦いに終止符を打つかのように、ようこママが両手をパンパンと鳴らした。
「はいはい喧嘩はめーですよぉ? 大丈夫、ママが2人まとめて面倒みてあげますからねぇ」
「「……えっ?」」