私の名前は
「
「良いんです、算数のドリルを終わらせたいので」
「そんなに勉強しなくても良いのに」
「いえ、お気遣いは結構です」
「そう?」
「はい」
母親が差し入れてくれたオレンジジュースを飲みながら一日中勉学に励んだ。金沢市立
「隼人さん、お友だちは居るの?」
「はい」
「あの、不躾でごめんなさいね、女の子のお友だちは」
「必要ありません」
父親に似て身長は183㎝と高く見栄えは良い、細くて垂れた目、少し綻んだような薄い唇は和かな風貌で女子大学生からの誘いも多かった。だがそれらは全て断った。あまりに冷淡で男色では無いかと陰で噂されていたらしい。
下らない。
惜しくも一年間浪人したが京都大学に合格、ところが何を勘違いしたのか京都大学大学院理学研究科に進んでしまい慌てて国家公務員試験を受験した。
「うん、問題ない」
私は理想通りの人生を歩み晴れて警察官になったが京都府民の気質に合わず、のんびりとした石川県金沢市に戻って来た。勤務先は石川県警察本部、キャリアは警部補からスタートし二年後には警部に昇格する。
ところがそこで順風満帆な人生に黒い染みが付いた。
「久我くん、君、見合いをしてみんかね」
ある日、廊下ですれ違いざまに上役に肩を叩かれた。
「は?」