祭りで雑踏が多い中、天に届くような
「お嬢様、あと少しです」
「うん……!」
私とレオンハルトは黒い
息を荒げながらも私は足を動かしていたが、レオンハルトは私を抱えて階段と壁を蹴って跳ぶ。その脚力はすさまじく、あっという間に階段を駆け上がる。
しかしながら状況は最悪だ。
(どこで情報が漏れた? 警備が手薄になるどころか、待ち構えていたような配置……。これは
私は
矢、
機会は一度のみ。最初で最後の救出劇。
(多少強引かもしれないけれど、このまま進んでいくしか突破口はない!)
「お嬢様、速度を上げますので私に掴まっていてください」
「わかったわ!」
レオンハルトの背中に抱き着く。
次の瞬間、階段の壁を
奥の扉は重々しく、鉄か何かの特殊なもので作られていた。
(警備兵どころか騎士団もいない?)
嫌な予感ばかりが強まっていく。
情報が漏れていたこと。的確な配置をするも、教皇の部屋の前に警護する者はいないことに嫌な予感ばかりが強まっていく。
アイシャは防御魔法をさらに強化する。
「はああああああ!」
レオンハルトは大剣を振りかざし、強固な扉を
眩い光と共に、部屋の向こう側から花火が舞い上がる火花が煌めいた。
一瞬、部屋で何が起こっているのか、私は目視しているのに頭に入ってこなかった。
飛び散る
白い法衣に血が
白髪の髪、私の思い出の中では、いつも
「聖下!」
教皇を殺したのは頭を隠して仮面をついていた──しかし枢機卿の証ともいえる藍色のストラが
「賊か、ちょうどいい。殺しなさい」
パタンと、枢機卿は手にしていた分厚い本を閉じた。それが合図ともいうかのように、控えていた二人は動く。
「ハッツ」
「ハイ」
彼らは私とレオンハルトとの距離を詰め──
「お嬢様、撤退しま──」
銃声が
私は防御魔法を展開したが、疲労が
(連続発砲が出来るなんて……。この
「……お嬢様、すみません」
振り返った彼は困った顔で微笑んでいた。レオンハルトの額から血が流れ落ちているのが見える。それよりも私は彼の言葉が気になった。
まるで今生の別れのような言い方。
そしてその予感は現実となる。レオンハルトは私を抱き上げると、
塔から飛び出す。背後からの魔法をかき消すが、物理防御壁が音を立てて砕かれる。それと同時に槍がレオンハルトの背中に突き刺さった。
「ぐっ……」
「レオンハルト!」
「大丈夫です……。まだ私は死にませんよ」
(急いで治癒魔法を──ッツ!)
「させません。貴女の加護は全て回収させてもらいます」
断罪する声は、固くなにものをも覆させぬ意思が
その男は塔の窓から私を見ていた。そして──巨大な魔法円が空に浮かぶ。
教皇に匹敵する魔力に私は背筋が凍り付いた。
「ッツ!!」
手の甲に浮かび上がる聖印に
視界が歪み、悲鳴染みた声を上げた。