「あ、でも、ちゃんと住む場所が、決まったら集めたいものがあるのです」
「姫さんが集めたいものとは?」
「ドレスでしょうか?」
「宝石やアクセサリーかもしれませんわ」
ロロ、レオンハルトは嬉々として話に参加する。こう注目されると告白するのが少し照れ臭い。
「その……可愛いヌイグルミです。中立国リーベで独自展開をしているお店なのですが……肌触りがとても良いのです」
「愛らしい」
「お嬢様、可愛いですわ」
「天使か」
モフモフのヌイグルミは、中立国リーベ産のものが特にいい。肌ざわりはもちろん、抱き着くフィット感が最高なのだ。大量生産はしておらず、一つ一つ手作りの作品はそれなりに値が張る。今回の騒動が終わったら自分へのご
思わずヌイグルミ趣味があると
「ええっと……。話を戻すけれど、私個人と特定出来るものなんて、なんとでも言えばできるでしょう。でも、そうさせないように手は打っているわ」
「ああ。それで帝都中に噂を先に
「さすがお嬢様ですわ」
(二人とも褒めすぎ……)
話が逸れてしまったが、リリーたちが私を「悪役令嬢」として名を広めようとするならば、その前に別の噂を流してしまえばいい。そしてそこに嘘を入れない。つまりキャベンディッシュ家が、今まで私にした仕打ちを
実際、聖女の活動が忙しいという理由で、私がお茶会を開くことも、他の公爵家を訪ねることもなかった。けれど聖女をキャベンディッシュ家が
「あと帝都で怪しい動きをしている建物は三つ。さすがに同じ手は使えないでしょうから──私が望む場所に敵を誘導する。実際に卓の上で計画を立てる方々なら踊ってくれるでしょう」
「この調子なら
「ええ、そうね。出来るだけ
その後に魔物が大量に発生するのだ、国内の問題は早めに解決するに限る。本当は強引に終わらせる方法もあるのだが、そうなると無関係の人たちが巻き込まれてしまう。甘いかもしれないが、出来るなら被害は最小限にとどめたい。
「それにしても姫さんが、あの計画を考えたんだよな」
「ン? なにか問題点でもあったかしら?」
「いや、どこぞの天才軍師並みの
「ふふっ。これでもチェスと将棋なら腕に自信があるのよ」
ナナシの
私は改めて部屋を見回した。
このホテルは貴族、皇族専用でありサービスはもちろん、情報機密なども統制されている。皇帝陛下の提案により、資金面に関しては今のところ問題ない。むろん国庫ではなく陛下個人から支払われる。
「ところでお嬢様。本当に奥様の
「いいの。商人に売られてもう数年経っているもの。陛下も探してくれるとは言ってくれたけれど、期待していないわ」
母の遺品は大事だが、そのために私自身の未来が消えてしまうのであれば、本末転倒だろう。実際、前回はそれで失敗したようなものだ。何かを選択するときに、切り捨てなければならないのなら──私は天秤にかけて悩んで、悔いのない方に賭ける。
「それより今は、聖下を救出するための計画を立てましょう」