「で、拙者の役回りはなんだ?」
「そう、ナナシさんにお願いしたいのは
私は思わず口を
「姫さんの護衛なら喜んで」
「え? ちょ、あの……なんで?」
あまりにも都合のいい流れに、私は
「そりゃあ、命の恩人だからな。それに、まあ姫さんを気に入ったというのが一番の理由だ」
なんともシンプルな理由だった。極東の「
「お嬢様の魅力に惹かれたというのは、わからなくてもないのですが……それはお嬢様に
「レオンハルト、殺意を振りまかないで」
「はい、お嬢様」
何とかレオンハルトを
「姫さんは見ず知らずの拙者に、治癒魔法を使って助けてくれた命の恩人だ。それに従者の
「なにより?」
「可愛らしい。帝国いや大陸全土を見回してもこんなに可愛らしい子はいないだろう!」
(えええええええ!?)
「フッ、なるほど。なかなかの洞察力と美的センスを持っているようですね。少しだけ見直しました」
「事実を言ったまでさ」
なぜか急に
(私は何を見せつけられているのでしょう……。あといつの間に大剣をしまったのかしら)
とにもかくにも、この二人は怖いぐらいに私の評価が高い。過大評価に対して反論しようとしたが、ナナシによって
「それと、拙者には内縁の妻と娘がいたので、貴殿のいう恋愛感情で動いている訳ではない。なに、……娘と重ねているだけだ。生きていれば姫さんと同じぐらいだったからな」
ライバルが減ったと思ったのか、レオンハルトはかなりご機嫌なようだ。
「お嬢様、彼は信用に値する人物だと思います。護衛としてよい人選かと」
「すごい手のひら返し。……まあいいけれど」
「妻と娘がいた」という過去形、そして昨日の深手をから見て死ぬ気だったのだろう。この国で何らかの形で妻と娘を失った彼は、
今更ながら彼を助けたことによって、新たな面倒ごとが増えたのではないかと私は頭を抱えた。一つの未来を変えることによって、水面下だった問題が浮き上がる可能性だってゼロではない。
色々考えた結果、ジッとナナシを
「ン? 姫さん。睨んでいるけど、なんだ?」
視線を返すナナシは口調こそ軽いが、言外から発する
「ナナシ=ランスイさん。手伝ってくれるのは嬉しいですが、私からの守って欲しいことがあります」
「というと?」
「勝手に死なないで下さいね」
「…………!」
「貴方のような初対面でも義理堅い人が父親なら、きっと娘さんは誇りに思っていますし、きっと生きて欲しいと思います。……その勝手かもしれませんが、私を娘さんと重なると言ってくれたのなら、自分の命もちゃんと守ってください」
死なれたら困る。そう思って説得するために選んだ単語は
(もっとも私には一生縁のないものね)
「ああ。……善処しよう」
(思ったよりも反応はよさそう。言ってみるものね!)
こうして極東の