アール君と急いでキッチンに向かったけど、パパとママは怒ってはいなかった。むしろシュワシュワを美味しそうにコップで飲むママと、密封容器ごと、ゴクゴク喉を鳴らせ飲んでいるパパがいた。
「うまい? なんだ? 喉がピリリする飲み物は!」
「美味しい、コレ、エルバが作ったの?」
……ちょうど、冷やし庫で冷えて飲みごろを全部飲まれた。
「そうだけど……パパ、容器のまま全部飲んじゃうなんて、アール君とシュワシュワが冷えるの待っていたのに」
「すまん。これはシュワシュワというのか……仕事からの帰り、少し飲むつもりが喉を通り過ぎる爽快感とピリリが美味くてな」
「ごめんね、エルバ。もう一度シュワシュワ作ってみて、ママが魔法で冷やすから」
「いいの? アール君、冷えたシュワシュワが飲めるよ」
「それは楽しみです」
飲み終えた容器に水瓶から魔法水を入れて、エルバの畑から採取したシュワシュワの実を、アイテムボックスから取り出して一粒入れた。
この赤い実にママが食いつく。
「エルバ、その赤い実はなに? 食用? エルブ原っぱで見つけたの?」
「そうだけど……ちゃんと、食用だから安心して」
「……わかったわ。でも、見たことがない実で驚いた。あの原っぱに……まだ私たちの知らない植物があるなんて、発見したエルバはすごいわ。コメ草の時もそうだけど、エルバには不思議な力があるのね」
「そうなのか! 俺の娘は凄いな」
パパとママは嬉しそうに笑い、それ以上はくわしく聞いてこなかった。
ピコン。
《料理レベルが1レベルに上がりました》
シュワシュワで私の料理レベルが上がった。
ただ、魔法水に赤い実を入れただけなんだけど……
《新しく、エルバのレシピ帳を取得いたしました。シュワシュワをレシピ帳に載せますか》
エルバのレシピ帳?
私に新しいスキルが増えた?
《レシピ帳に載せますか?》
お願いします。
シュワシュワがエルバのレシピ帳、一ページに載ったらしい……あとで確認しよっと。
「【アイス】」とお母さんは氷魔法を唱えた。
水色の魔法陣が光り、シュワシュワが入る容器の中に氷がコロンコロンと増えていった。
飲みたかった氷で冷やしたシュワシュワ。
氷で冷やされ、炭酸水がプクプク泡を出してコップにそそがれる。
「はい、エルバ、アール君。冷えたシュワシュワ」
「ありがとう、ママ、いただきます……ゴク、ゴクゴク、んんっ、喉がシュワシュワする。んん、冷えたシュワシュワはやっぱり美味しい!」
「エルバ様、パパ様、ママ様、冷やすとまた格別です!」
「ホントに、うまいな!」
「美味しいわね。ものは提案なんだけど――これに果物を入れるのはどう?」
「果物? いれたい」
「いま温室から持ってくるわね」
ママが温室に果物をとりに行った。
炭酸水にフルーツを入れたら? だなんて、絶対に美味しいに決まっている。