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第十一話 トクさん……俺は変わる

 はじめての美玲ちゃんとの握手で俺がなんの言葉を発したかはわかるだろ?


 あいうえお、しか言葉が言えなかった俺の黒歴史でもあるが、清流ガールズのオタク歴史の幕開けでもあった。


 あれから毎週のようにライブに通うことになるのだが、こないだのイベントでのライブとは全く違ってあれは単なる入り口だった。ライブ会場という名の沼にズブズブハマっていった。

 しかしなにぶんお金が必要である。一人で住むタワマンのローンも返さなくてはいけないし、無職である。(タワマンから退去すれば良いとのことだろうが、一部元妻が金を出してくれているし、引越し費用とかかかるしいろいろ諸々めんどくさい)


 それではいけないと俺は自分のケツを叩いて就職活動をして……結局人のつてで、もともと得意だったパソコンでの動画編集やアプリ製作の仕事に就職したのである。前の仕事の営業とは違うが、製作に携われるのはとても楽しいわけで。しかも在宅だから納品に間に合えば時間の融通も効くから申し分もない。なんていい世の中だ。通勤時間が憂鬱だったが家の中で仕事できる、これからこのスタイルが主流になればいいのになー。俺は先端をいってるぞ!


 ライブにしっかり通えるように組むこともできるし、仕事のスケジュールも組んで全力で仕事ができる→稼げる。前の仕事とは内容も違うし給料も減ったが、とてもやりがいがある。


 あと変わったこと言えば、筋トレやランニング、ウォーキングなど体力づくりをし始めた。健康だけでなく、体型、ヲタ芸するための筋力アップにもつながる。

 朝晩しっかり寝て起きてご飯もできるだけ自炊、髪型も、身嗜みも整えて、朝晩スキンケアもした。服装も清潔感のあるものを、そしてライブ資金のために節約も欠かせない。


 なんて健康的で文化的な生活なんだ! 全て清流ガールズ、美玲ちゃんのおかげだ。会社員の頃よりもなんか違うぞ、俺は!

 どうだっ!!! 俺を見捨てた職場の野郎、上司、元妻よ! 蘇った俺を見ろっ!!!!!


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