目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
第三話 トクさん……めばえ

 トオルから教えてもらったのだが、地域チャンネルは1日に同じ番組を再放送するとのことで、夜にも同じ番組があり、トオルが帰ってから一人で見ることにした。もちろん、録画もした。


 一人でテレビの前でしっかりと正座をしてみるのは久しぶりだ。

『清流ガールズです!』

 昼はしっかり見てなかったが、一人一人自己紹介している。

 昔、子役として活躍していた大野郁美おおのいくみ……懐かしいなぁ。名古屋出身の子役で有名で、急に消えたかと思ったらもうこんな大きくなったのか。少し雰囲気違うが面影はある。そして胸の膨らみがすごい、いやそこばかりみてるわけではない。子役から脱皮して大人の女性になっていた。


 俺が惚れた真ん中の子は立花美玲たちはばなみれいというのか。センターである理由がわかる、可愛くて笑顔の素敵な子。ダンスも上手で他のメンバーは引き立て役のような……センターであるべき要素がたっぷりだ。胸の膨らみもしっかり強調され……なんでそこばかりみる、俺は。しばらく女性と付き合ってないからか?


 番組が終わり、俺は録画で何度もなんとも見返した。可愛い。可愛い。


 俺は久しぶりに自慰をした。初めて見た美玲ちゃんを目の前にして……俺が元気を取り戻してる……。生きている、俺は。


 ティッシュに吐き出された白いモノ。俺の精子には異常はなかった。妻も特に問題なし。

 だが子供はできなかった。してなかったわけでもない。それに下手では無かった、とは思うが。

 だがなかなかできなかった。もし子供ができていれば、妻は同僚の男と不倫しなかっただろうか。

 なんで俺が肩身狭い思いして、退職を迫られ……やつは昇進したんだ! くそっ、くそっ!!!!!


『今度フリーライブやりまーす!握手会もするからぜひ、遊びにきてください!場所は……』



 はーい、行きまーす!!!


って自然と口から出ていた。ヤッベェ、かわいい。


コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?