あれよあれよという間に、遺跡の前まで到着。
しかも、カルロフさんが用意してくれていた馬に乗って来たからすごく楽だった。
「どうでしたか、乗り心地の方は?」
「あ~はい……よかっです」
う~ん、こんなに行き来が楽なら馬が欲しくなっちゃう。
「それはなによりです! このキングカルロフペガサスもコレット殿をお乗せ出来て実に誇らしいでしょう!」
自分の馬だから名前つけるのは自由だけど、明らかにおかしい点があるのよね。
名前にペガサスを付けているんだから、馬鎧に装飾をするなら羽根を付けたりする。
なのにこの馬鎧には羽根の装飾はなく、あるのは頭部についている一本角のみ……一本角を生やしているのはユニコーンなんですけど。
そんな知識もないのに四つ星級冒険者なの? まさか父親が幹部だからって……。
「どうかしましたか? 私の顔に何か……ハッ、私の顔に見ほれ――」
「あ、いえ。何でもないですから、気にしないで下さい」
いやいや、疑うのは良くないよね。
一緒に来てくれたんだし。
ただ……。
「あの今更遺跡まで来てなんですけど、グレイさん達がジャイアントスネークの捜索しているのに私達は遺跡の探索をしていていいんでしょうか?」
何というか、そこに気が引けて来た。
「大丈夫です! ホートンもいますし、契約冒険者は20人はいますから!」
だったら、グレイさん達も遺跡に来てよかったのでは?
「ですから何も気にする事はありません! さぁ中に入りましょう、心配いりませんモンスターなんぞ私の槍さばきで蹴散らしてやりますから!」
遺跡の中に行っちゃった……って一人で入って行かないでよ! 私が着いて行かないと、プレートの落ちていた場所がわからないでしょ!?
あ~も~カルロフさんってば、どんどん遺跡の奥に突き進んでるし……仕方ない。
グレイさんには悪いけど、私自身の目的も大事だものね。
「よし、ファイト私!」
気合を入れて行きますか!
※
失敗した……。
結局、私が先頭で案内すると言っても「いえ前は私にお任せ下さい!」の一点張り。
まぁ後ろからでも案内は出来るからと任せた私が馬鹿だった。
「むっ! コレット殿、ストップ!」
「またですか……今度は何です?」
「そこにスライムがいます、危険ですので私の後ろにいてください。――私が相手だ! とお!!」
こんな感じでスライム、ゾンビ、普通のスケルトンが出たら全力で倒し。
「ふん、私の敵ではなかったな。コレット殿、しばしそこでお待ちを……」
進もうとすれば槍先で床、壁、天井、を叩いて罠チェック。
「……よし、何もないな。安全です、進みましょう」
うん……何事も全力を出すのも、注意するのも大事なのはわかります。
ただ、そのせいで一向に進まないのも問題だと思いますよ。
こんなペースじゃ目的地の場所に着くのにいつになるかわからないじゃない!
◇◆アース歴200年 6月22日・昼◇◆
お腹すいて来た……という事は、もうお昼頃かな。
まさか、まだプレートの場所にたどり着けないとは思いもしなかった。
私だけ先に行っちゃだめなのかしら?
――ク~
「はうっ!」
あ~お腹が鳴っちゃった。
「む? コレット殿、お腹がすきましたかな?」
「えっあ~……はい……」
「私も腹がすいてきました。もう昼だなんて、いやー時間がたつのが早いですな」
あんたがの行動が遅いせいですよ! まったく。
「では、ここで食事をとりましょう。今火を起こしますので」
おお、カルロフさんの袋から薪が出て来た。
グレイさんからは一度だって出てこなかったのに。
「はい、わかりました」
今日はすぐに遺跡に行くと思っていたから朝一でやっていた屋台の野菜スープを買っておいたのよね。
火を起こしてもらえるから温かい状態で飲めるわ、ラッキー。
え~と、どこにしまって……あれ? この包みはなんだっけ?
「ああ……」
昨日、夕御飯用に買った野菜が入れっぱなしだった。
よっぽどプレートの事で頭がいっぱいになってたのね……ちょっと反省。
「お? コレット殿、料理をするのですか?」
失礼な、料理は出来ますよ!
「はい、家の手伝いをしていましたから」
「そうだったのですか。あー……コレット殿……」
「何ですか?」
「私もコレット殿の食事をいただいて宜しいですか? その、手持ちの食糧をキングカルロフペガサスに乗せたままだったようで……」
薪は持って来て、食料を忘れるってどういう事よ。
まぁいいか、一応野菜スープは2人分買って来てたし。
「いいですよ」
「宜しいのですか! やったあああああああああ!」
たかが屋台の野菜スープでそんなに喜ばなくても。
「では作っている間、私は周辺を調べてきます!」
「へ? あっ……行っちゃった」
作るってオーバーな人ね、野菜スープを温めるだけなのに。
※
そろそろ、温まって来たけどカルロフさんはまだかな。
「いやーいい匂いがしますな」
あ、戻って来た。
「お疲れ様です。――どうぞ」
果たしてカルロフさんの口に合うだろうか。
「いただきます。ズズ……うまい! この野菜スープはうまいですよ! コレット殿!」
なんか涙まで流して叫んでるよ、この人。
「そっそうですか、それは良かったです……」
あの屋台ってそんなにおいしいスープなのかな?
そんなに人が並んでたわけでもないんだけど。
「では私も……ズズ」
う~ん、おいしいけど……泣くほど?
私にはわからないわ。
「……よし、決めた!」
「? 何をです?」
「コレット殿!」
「はい!?」
カルロフさんが私の両肩を掴んで来た。
あれ? これまた揺さぶられるパターンじゃ――。
――カタカタカタカタ
……ん? この音は……。
――カタカタカタカタ
間違いない、レア・スケルトンだ!
一体何処!?
「あっ!」
右方向からレア・スケルトンがものすごい勢いでこっちに走って来た!
「コレット殿! 私の妻――」
「カルロフさん! レア・スケルトン――」
『カタカタ! カタカタカタ――」
「――にブッアアアアアアアアア!?」
「――があああああああああああ!!」
『――カタアアアアアアアアアア!!』
レア・スケルトンがカルロフさんの顔に思いっきり飛び蹴りを食らわせちゃったよ!!