どうして、花もコアもコレットに渡せず失敗ばっかりなんだ!?
……まるで何かに取り憑かれて、邪魔されているみたいに感じがするんだが。
「――ん? なんじゃ? わしの顔をジロジロと見て」
『いや、何でもない……』
仮にナシャータがその原因だったとしても、ドラゴニュート相手じゃどうしようもないよな。
「何か失礼な事を考えているような気がするのじゃが……」
『気にするな』
この体がスケルトンじゃなかったらいけたか? ……いや、元の体の方が圧倒的に脆いか。
何ていったって、この体は魔晶石の間や
あの爆発だって、普通なら粉々に吹き飛んでいただろうし、意識だけ飛ぶだけですんだのはよかった方……ん? ちょっと待てよ、普段ならともかく強化されていた場合でバラバラになっても意識はあるのに、今回は何で意識が吹き飛んだのだろう。
『なぁ強化されて体がバラバラになっても意識があったのに、爆発した時は意識も吹っ飛んだがどうしてだ?』
「なんじゃそんな事か。魔晶石の間が崩落するほどの大爆発じゃぞ、さすがに体が頑丈になっていても意識の方は耐えられるわけないのじゃ。簡単に言えば気絶したわけじゃ」
『なるほど……』
……聞けば聞くほど、本当にコレットは無傷だったのかと思えてくる。
ナシャータは気をきかして嘘をつく様なタイプじゃない、むしろはっきりと言うタイプだし。
うーん、コレットの事が心配だが……俺自身が外に出られない以上確認しようもないし、ナシャータに見て来てもらうって事も考えたが、せっかくドラゴニュートが遺跡にいない事にしたのに、外をうろついていては意味がない。
となれば――。
『……よしっ!』
今は俺の出来る事をするのみ!
「うおっ!? 急に立ち上がったりしてどうしたのじゃ! びっくりさせるな!」
『うん? 今から魔晶石の間に行ってコアを探すんだよ。コレットが無事ならまたここに来る、だからその時に渡そうと思ってな』
今度こそプレゼントを渡すんだ。
「はぁ!? ケビン本気で言っているのか!? それはやめた方がいいと思うのじゃが……」
何だよ、探すくらい別に良いじゃないか。
『俺は本気で言っている。後ナシャータ、悪いが俺を上に連れて行ってくれないか?』
ただ、自力では登れないからナシャータ頼みになってしまうが。
「いや、それは別に構わぬのじゃが……しかしじゃがな、あの状態では……」
『何と言われ様とここは引けない! 頼む、俺を上に連れて行ってくれ!』
どんな状態で崩れているかはわからんが、大体の位置は把握しているんだ。
だからそこを掘り返せばいいだけの話、普通には大きな瓦礫とかで時間がかかるだろうが、そういった物はナシャータの力を借りれば簡単に撤去できる……なんか、ナシャータに頼りすぎている気もするが、これもコレットの為だ、利用できるものはとことん利用するのみよ!
「ごしゅじんさま、このエサになにをいってもむだだとおもいますよ? つれていってちょくせつみせればいいのでは?」
ナイスアシストだ、ポチ。
後、俺をエサと呼ぶなっての。
「う~ん……それもそうじゃな。わかったのじゃ、今から上げてやるからしっかり掴まっておるのじゃぞ」
よっしゃ!
これで上に行けるぞ。
「あ、ポチは自力で登るのじゃぞ」
「へっ!? どうしてですか、ごしゅじんさま!?」
「いや、どうもこうもないじゃろ。お前は自力で登った方が圧倒的に速いでないか……」
ワーウルフの身体能力は高いからな。
「そうですけど! ポチもごしゅじんさまにつれていってほしいです!」
「わがままを言うな! ほれ、行くぞ!」
「く~ん……――キッ!」
すまんな、ポチ。
だが、その殺意むき出しの目はやめてくれ! 怖すぎる!
※
「ほれ、着いたのじゃ」
『…………マジかよ』
「マジじゃ、その目でもこの悲惨さはわかるじゃろ?」
……思った以上に酷い有様じゃないか。
見事に魔晶石の間が瓦礫の間になっているし、この上の階にあったナシャータをモチーフにした石像が瓦礫の一部になっている。
という事は、上も一緒に崩れ落ちたのか……ってそれだと、コアはかなり下に埋もれているってことだよな!?
「じゃから言ったのじゃ。こんな状態でコアを掘り返すのは相当大変じゃぞ」
『……そんな』
いや、希望を捨てては駄目だ!
考えろ……何かいい手があるはず。
「よっほっと、ふぃ~ついた……」
ポチがあっという間に登ってきた。
本当に速いな、さすがワーウルフ……ウルフ? あっそうだ!
『ポチの鼻を使えばコアを簡単に見つけられるんじゃないか!? コアは俺が持っていたんだし、臭いが付いているはずだ!』
この瓦礫の中から俺を探し出せたのはポチの鼻だったしな!
これなら――。
「やだ、なんでエサにめいれいされないといけないんだ」
なっ!?
『ちょっといいじゃないか、しょうがないナシャータから命令をしてくれよ』
「いやじゃ」
『なんでだよ!?』
ただ命令を言ってくれれば良いだけなのに。
「コアの場所が分かったとしても、ケビン一人の力じゃこの瓦礫は到底どかせんのじゃ。となるとわしの力を当てにする気じゃろ?」
うっ心を読まれている。
「図星みたいじゃな。さすがのわしでもこれだけの量を片付けるとなると、相当力を使うのじゃ。悪いが、小娘の為にそこまで力を使いたくないのじゃ……」
『ちくしょ! わかったよ、俺一人でやりゃ良いんだろ! やってやるさ!』
疲れない体なんだ、一晩中掘り続けて絶対見つけ出してやる!!
その小娘、コレットの為にな!!
『うおおおおおおおお!!』
「……ごしゅじんさま。あのエサ、ほかのエサとくらべてへんですね」
「そうじゃな……ふわぁ~眠いからわしは寝るのじゃ、何かあれ起こすのじゃ」
「あ、はい……」
『うおおおおおおおお!!』
「ほんとうにへんなの……」