そういえば、さっき出て行った人の中にバザーのぼったくりおじさんもいたけど……何でなんだろ。
やっぱりあの体格を生かして冒険者にでもなったのかな?
「あ、コレットさん」
「あれ? キャシーさん、エフゴロさんと支部長に報告しに行ったはずじゃ」
何でこんな所にいるんだろ。
「はい、報告してきましたよ。後はエフゴロさんと支部長で、レア・スケルトンについて今後の話し合いをしています。その記録は秘書が取っているので、私は元の業務に戻る所なんです」
「なるほど、そうだったんですか」
エフゴロさんの事だから、支部長さんが相手でも話が止まらないんだろうな……。
「あっそうだ、忘れていました! コレットさんに渡さないといけない物があったんですよ!」
今頃ですか。
もし、私が今いなかったらどうするつもりだったんだろう。
「私に渡す物って一体なんですか」
「ちょっと待ってくださいね、え~と……」
キャシーさんが資料の入っている袋の中を探っているけど、報告を聞いていた時でもあの袋の中を何回か見ていたよね……?
それでも忘れる物だから、別にたいした物じゃなさそう。
「あ、あったあった。――はい、これ先ほどの情報提供のお礼金です。受け取ってください」
たいした物だったし!
お金は大事でぎますよ! 何でそんな大事な物を忘れるかな!?
「あ、ありがとうございます。――それじゃ私は今からお昼を食べてから遺跡に行ってきますので、ここで失礼します」
「はい。冒険は十分にお気を付けて行ってらっしゃいませ」
「はい! 行って来ます!」
※
さて、1階に下りてきたけど……え~と、何処に座ろうかな……お、グレイさんの席が空いている。
丁度いいや、あの席にしよっと。
「よいしょっと。――何を食べよう……あ、そうだ」
貰ったお金の確認をしてから、何を食べるか決めよっと。
ひ~ふ~み~……おお! 5万ゴールドもある!
う~ん……本当は節約したいけど……たまにはいいか、自分へのご褒美としても罰は当たらないよね。
「すみませ~ん!」
※
「お待たせしました~。ギルド特性ソースのステーキになります」
「は~い! ありがとうございます!」
うわ~……カットされた部分から肉汁が出て、さらにその肉汁とソースが鉄板の上で焼かれてすごくいい香り!
見ているだけで、よだれが垂れちゃいそうだわ。
「では、いただきます! あ~ん――モグモグ……ん~~~~! おいひぃ!!」
さすが、このギルドで一番高いだけあってすごく美味しい!!
ああ、噛み締めるたび肉汁が出てきて涙が出てきそう。
「おい、聞いたか! 今白竜の遺跡でお宝が手に入るらしいぞ!」
「は!? まじかよ! 飯を食っている場合じゃねぇな、早く行こうぜ!」
朝もそうだったけど、たぶんあれが冒険者にとって当たり前の行動なんだろうな。
目的はレア・スケルトン狩り、確かにお金は大事だけど私にとって一番はケビンさんを見つける事。
だから、儲け話が出ようが焦らずこうやってステーキの味を楽しむ事ができる、後ついでにレア・スケルトンも退治されれば探索もしやすくなるしね。
「――ゴックン。ごちそうさまでした」
あ~本当に美味しかったな~。
さて、私も白竜の遺跡に向かいますか。
※
で、白竜の遺跡に来たものの。
「いらっしゃーい! いらっしゃーい!」
何これ?
「いらっしゃーい! 回復ポーションが安いよ!」
本当にここって白竜の遺跡なの!?
露店が並んでいて、これじゃまるでザバーじゃない!
「この剣は不死のモンスターを簡単に斬れる一品だ! 今なら安くしとくぜ!」
あ、あのぼったくりおじさんがいる。
結局、商売しているし! 私は信じない、あの武器に絶対そんな効果はない!
「何でこんな事に……?」
「お、コレットさんも来たっスか! いやーそりゃ来るっスよね」
来る理由がかなり違うけどね。
「あの、マークさん。この露店は何ですか?」
「ああ、レア・スケルトン狩りの為に冒険者がここに集まっているっスからね。となると自然とバザーはここになっちゃうわけっスよ」
「なるほど……」
そりゃそうか、人がいなきゃ商売にならないものね。
商売魂がすごい事で。
「さて、休憩は終わり。それじゃ俺はレア・スケルトン狩りの続きに行って来るっスよおおお!」
「あ~はい、行ってらっしゃい……」
走って行っちゃった、人が集まるって事は遺跡の中も――。
※
ああ、やっぱり。
「この、あっ! てめぇ、そのスケルトンは俺が狙っていた奴だぞ!」
「へん! 早い者勝ちだろうが! ちっ、こいつも普通のスケルトンだったか」
白竜の遺跡の中は見たことがないほどの人、人、人、人でいっぱい!!
広いと思った遺跡が狭く見えるし!
「おらおら! どけどけ! こっちの通路は俺達が行くぜ!」
「おいこら! 何勝手に決めているんだ! そっちは俺達が行こうと思ってたいた所だぞ!」
この遺跡に来た数は少ないけど、他の冒険者なんて誰一人来なくて、とても静かな遺跡だった。
まぁ、レア・スケルトンやドラゴニュート、ダイアウルフはいたけども。
「あーくそ! お前ら邪魔なんだよ! 狩りが出来ないじゃないのよ!」
「そうよそうよ! そのデカ物軍団! あんたたちのせいで遺跡内が狭いのよ!」
「あんだと!? だったらお前らが他の所へ行け! ここは俺たちの場所だ!!」
「何よ!! 無駄にでかいくせに場所を陣取っているんじゃないわよ!」
「無駄にだと!? この鍛えられた美しい筋肉を馬鹿にしやがって! 女だからって容赦しねぇぞ!」
「あたしたちは冒険者だ! 女も男も関係ねぇよ!!」
それがウソの様に、今はモンスターが倒され、冒険者達の罵倒が飛び交い――。
「ちっこれじゃ狩りにならねぇな、おい! ここの壁を壊して他のルートに行くぞ!」
「了解! おりゃああ!!」
――ドカアアアン!
「――よし、空いたな。行くぞ!」
「「おお!!」」
そして、どんどんと破壊されていく……何て殺伐した遺跡になっちゃっているんだろうか。