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コレットの書~発見者・3~

「んあ……? ……四つ星級……? ……ここは……レストランか?」


 駄目だ、完全に寝ぼけてる。

 四つ星級冒険者ってグレイさん以外に会った事がないけど、基準は何なのかしら。

 まぁ知識はあるし戦闘の実力も……あれ? そういえばグレイさんがまともに戦っている所を見たことないような。

 ……もしかして不正を? ――ってそんなわけないか、それだったらギルドから直接ドラゴニュート関係の依頼がグレイさんに出るわけがないし、だとすると戦闘の実力も信じてもいい……よね?


「あーうー?」


 このゾンビみたいな人を……。


「はぁ……いいえ、ここはギルドです! それより、何でここにって言葉はそのまま返しますよ。グレイさんこそ、なんでギルドのこの部屋で寝ているんですか?」


 それもだらしない格好で爆睡して……。


「……ああ……そうか……ここは……ギルドだったな……いや、何でって……言われも……昨日の夜から……今朝まで……エフゴロの奴に……捕まって……たんだ。昨日の事で……質問攻め……にあって、徹夜したんだ……」


 私がジゴロ所長さんにされた事がここにも起きていたよ!! なるほど、それでこの体たらくになっちゃっていたのね。

 そう考えると、あの日は朝に行ってよかった……もし、夕方に行っていたらグレイさんみたいになるところだったかもしれない……血筋って怖いわね。


「……だから……すまんが……今は……寝かせ……て……くれ。――ぐがあああああああああああ!」


 そうか、やっちゃったな……状況がわからずつい起こしたけど、何だか悪い事しちゃった……。


「すみません、グレイさん。ゆっくり眠ってください」


 かといってこのままにしておくのもあれだし、ん~何か羽織る物があればいいんだけど……それが出来るのはあのカーテンくらいしかない。

 さすがにカーテンを勝手に使うのは駄目だし……よし、せめて着ている鎧くらいは脱がしておこうかな。


「じゃあまずは、体を起こしてっと。――よいしょ……ん? 持ち上がらない? フン!! よっこいしょおおおおおお!! んぎいいいいいいいいいい!! ――はぁ……はぁ……」


 重っ!! 駄目だ、重たすぎてグレイさんの体を起こせない!

 鎧が重いのかしら? それともグレイさん自体が重いのかしら?

 ……いや。どっちにしろ、こんなに重たいんじゃ私の力だと鎧を脱がせるのは無理があるわね。


「ぐがあああああああああああ!」


「……」


 そうだよ、私が見つける前からずっと鎧を着たままで寝ていたみたいだし……それにさっき起きて気にせず寝ちゃったし、別にほっといても大丈夫でしょ、うん。


「んがあああああああああああ!」


 それにしても、すごいイビキね。本当にモンスターの鳴声みたい。


「よっぽど疲れていたのね……ん?」


 グレイさんはエフゴロさんのせいで徹夜する羽目になって、今爆睡している……という事はもちろんエフゴロさんも徹夜だった事だよね……。

 え? 何であの人、徹夜したのにあんなに元気だったの? おかしくない!?


「……うん、これ以上考えるのはやめておこう。あの一族には常識が通じない気がするし」 


 さて、それじゃお昼からどうしようかな。

 グレイさんは爆睡しているし、たぶん夕方くらいでないと起きてこないよね。

 マークさんは……そういえばいつも何処にいるかわからないや、今日の朝ギルドに来た時は悪臭がなかったけど、この時間は来ているのかしら?

 けど正直マークさんがいてもな~……また爆裂石を投げられたらたまったもんじゃないし。


「……よし、今日は久しぶりに私一人で遺跡に行こうかな」


 パーティーに慣れちゃったのか1人で行くのに多少の不安を感じるけどあるけど、一番の問題だったドラゴニュートはもういないしね。

 そうと決まれば、さっそく――。


 ――グゥ~


「――お昼ご飯を食べよっと!」



「お昼~お昼~っと」


 ……あ、そういえば何を食べるのかまだ考えてる途中だったっけ。

 まぁいいや、メニューを見て考えればいいだけの事だし。


《ガヤガヤ、ワイワイ》


「――? なんだろう」


 やけに1階が騒がしいみたいだけど。


「みんな、よく集まってくれたっス! 鑑定の結果を聞いてほしいっスよ!」


 あ、マークさんだ。


「おう、朝から待ってたぜ」

「おせぇよまったく、昼飯食ったら冒険に行くとこだったぞ」

「本当に本物だったんだろうな!?」


 今日は人が多く感じたのはマークさんが集めたからか、それにしても鑑定の結果ってなんだろう。


「昨日の夜、あのコアを見て偽物だの何だのと散々馬鹿にして奴は……これを見るっすよ!!」


 ――ドンっ!


《おおっ!》


 テーブルに置かれたのは……袋に入った大量のゴールドじゃない!


「やはり、あの遺跡のスケルトンが持っていたのは本物のミスリルゴーレムのコアだったっス! この金が証拠っス!!」


「すげぇ量だ」

「偽物じゃなかったのかよ、賭けに負けちまったぜ」


 やっぱりマークさんはあのコアを売っちゃったんだ。

 なるほど……会話を聞く限り、マークさんはあの後ギルドに来たけどコアを本物と思われてなくて、その証拠を見せたかったのね。


「そして、魔晶花を持つスケルトンもあの遺跡にいたっス! つまり特殊なスケルトンが出る事は間違いないっス!」


 レア・スケルトンの事ね。

 キャシーさんとエフゴロさんが支部長に報告したら情報公開されるのかしら。


「俺はそんなレアを持つスケルトンにレア・スケルトンって名前を付けたっス!!」


「ブッ!」


 まさかの名前被り!!

 しかも同じレア・スケルトンでも、種族とアイテムで全然意味が違うし。


「よっしゃ! それじゃさっそくレア・スケルトンを狩って一攫千金だ!」

「おい! 抜け駆けするな! レア・スケルトンは俺のエモノだぞ!」

「ちょっ! レア・スケルトンを見つけたのは俺っスよ!? 何で俺より先に遺跡に向かっているんスか!」




 みんな出て行っちゃった。

 レア・スケルトンについて色々言いたい事がはあるけど、とりあえず何でマークさんが発見者みたいになっちゃってるんだろ?

 う~ん、どうも負に落ちないところが……。

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