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ケビンの書~びっくり箱・4~

 うーむ……プレゼントも方法と一緒にナシャータに話してみるかな。

 花の時の様に何かしら思いつくかもしれんし、あわよくばあの宝箱の中身を……。


「ふぃ~戻ったのじゃ」


 お、噂をすればナシャータが戻ってきた。

 って何で宝箱なんか持っているんだ、あいつは。


「――よいしょっと、いや~予想以上にバラバラに飛んでしまって集めるのが大変じゃったぞ」


 それはお前がやった事だろう。


「しかも、お前の体を集めても入れ物が無かったら運べない事に気が付いての。じゃから何処かに落ちている宝箱を探して、その中に詰め込んできたじゃぞ。感謝するのじゃ」


 感謝って、だからお前がバラバラにしたんだろうが。


「体の部品はこれで全部のはずじゃ」


 宝箱の中は俺の骨が詰まっている……。

 宝箱に入れるわ、部品って言うわ、俺の体は物じゃねぇぞ。


「で、どうじゃ? 少しは落ち着いたか?」


『え? 俺が落ち着く?』


 そういえば……今は何ともないが、俺は何でさっきまであんなにイライラしていたんだろうか?


「その様子じゃ今は大丈夫そうじゃの、お前は【母】マザーの特有の魔力に当てられ過ぎてスケルトンとして活性化していたみたいのじゃ。あのままじゃと本当のスケルトンになっておったかもしれんのじゃ」


 そういえば、さっきナシャータはそんな事を言っていたような……。

 というか本当のスケルトンになっていたかもって、これ以上どう変わるというんだろうか……。


「じゃから【母】マザーから離しつつ、わざと体をバラバラにさせて治す為に魔力もついでに消費させようとしている訳じゃ」


『そうだったのか……』


 ナシャータなりに考えてくれていたのか、何てありがたい事なんだ。


「まぁケビンが身体強化されておったじゃろうから強めに魔法を撃ったのじゃが、バラバラになるくらいでよかったのじゃ。もしかしたらケビンが粉々になるかもと一か八かじゃったがな、アハハハハ!!」


『はっ!?』


 前言撤回。

 何てしれっと恐ろしい事をしてるんだよ!


『いやいや! 笑い事じゃねぇだろうが、それ!!』


 粉々ってこえぇよ……あれ? そういや粉々になったら俺って再生できるのだろうか?

 あ、そういえば1度壁につぶされた時があったな。その時も何だかんだで再生していたし問題はないか……いや、そういう事じゃなくてナシャータの行動事態が問題だろ!


「じゃからそうなるかもと思い、魔法を使う前に謝ったではないか」


『……あの時のすまぬはそういう意味だったのかよ!!』


 謝ってすむ問題じゃなねぇぞ!!

 はぁ色々言いたい事があるが……これ以上は疲れるだけの気がするからここまでにしておこう。


『……もういいや、バラバラの件はここまでにしておこう。でナシャータ、ちょっと聞いてほしい事があるんだ』


「む? なんじゃ?」



「なるほど、その様な物があったとは……というかあの小娘のプレゼントを渡すという行為は絶対に諦めないのはケビンの素の状態じゃったのじゃな……それはそれで執着しすぎじゃと思うのじゃが」


 俺の天使を諦めろって言うのは無理だ。


『余計なお世話だ。で? どう思うよこの方法は、後プレゼントは思いつかないか?』


 重大なのはそっちだ、そっち。


「う~ん、その様な事をやった事がないからなんとも言えんのじゃ。後、小娘のプレゼントなんぞ今思い付けと言うのも難しいのじゃが…………………………とりあえず試すのじゃ、後もう一度、花でいいじゃろ」


 こいつ、考えるのが面倒くさくなったな。

 うーむ、花か……渡しそびれたから今度こそ渡すのもありか?

 ……あれ? 何か今、矛盾を感じたが――。


『あ、そうか。なぁ、【母】マザーの周りの花は……』


「却下じゃと言っておるのにまだ言うか!?」


 そこは本当に敏感に反応するな。

 尖った歯を出して威嚇してくる、しかし木の実しか食っていないはずなのにあの牙は何の為の物なのか。


『いやそうじゃなくてだな、【母】マザーのところの花は駄目なのはわかってるよ。じゃあ何でミスリルゴーレムの頭の花は取っていいんだよ?』


 あの花は【母】マザーのところに咲いていたって事は、ナシャータが自分でとってきてミスリルゴーレムの頭に乗せた訳だよな。

 自分はよくて俺は駄目って納得いかんぞ。


「ああ、あのミスリルゴーレムの花の事か? そりゃわしが作り出した物じゃからな。全然問題はないのじゃ」


『……は?』


 あの花を作り出しただって!?


『それはどう言う事だよ!?』


「どうもこうも、魔晶石になる途中で花のようになる物もあるのじゃ。そうなるのはその石に流れた込んだ魔力が歪だったせいじゃ、じゃから魔晶石になりかけの時にわしの魔力を送り込んで歪を作り、花にさせていたわけじゃ。魔力の調整が難しくいての、結構作るのは大変じゃったぞ」


 あの花ってそういう物だったの!?

 てっきり植物だと……ん? だとすると量産できるって事だよな。

 だったら花束をコレットに渡せるじゃないか!


『ナシャータ、だったらあの花を作って――』


「……」


 うーわー……話がまだ途中なのに、先が読めたとばかりにナシャータがすごい嫌な顔をしている。


「……何が言いたいのか当ててやるのじゃ、『あの花を大量に作ってくれ! それを花束にしてコレットに渡すんだ!』じゃろ?」


『うっ』


 完全に読まれてる。


「何でわかって感じじゃが、誰でもわかるのじゃ! 後、それは嫌じゃからな! 何故わしがあの小娘の為に苦労をして花を作らねばいけないのじゃ!?」


『……デスネ』


 はぁだとすると考え直さないとな。

 いや、それより体を早く戻さないと身動きが出来ん方が問題か。


『あーすまんが、そろそろ宝箱から俺の体を出してくれんか?』


「ああ、そうじゃったな。――これでよし」


 いや、よしって。


『何で宝箱から体を出さずに頭の方を入れるんだよ』


 これじゃ完全に箱詰めされた、ただのしかばねじゃねぇか。


「ん? なんかその方がしっくり来ると思ったのじゃ」


『そんなくだらない理由!?』


 やっぱり、このドラゴニュートの思考はまったくわからん!!

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