だが意外な所でジゴロの爺さんの先祖の話が聞けたな、それはそれで面白い話だ。
まぁ実際ナシャータのやった事は正解だったかも知れんな、俺も魔晶石の量産を思いついたし。
ちゃんと守護者とし役目を……って、ん? ちょっと待て。
『ナシャータはこの
「うむ、そうじゃ」
無い胸を突き出して鼻高々にふんぞり返ってる。
『約200年寝ていたんだよな? しかも起きのは最近だ』
「――ギクッ」
こいつの事だから恐らく……。
『この遺跡が完成して寄り付く者が居なくなったからお前、暇になって寝ていたな?』
「――ギクギクッ」
ナシャータの顔から汗がすごい出てきた、どうやら図星だったみたいだな。
感心していたのにコイツは……。
『おい、守護者! 役目を果たしてないじゃないか!』
「いっいや、違うのじゃ!! ……え~と、とっ冬眠していたのじゃ! こればかりは避けられない習性、仕方のない事だったのじゃ!」
ドラゴニュートが冬眠? 爬虫類系と考えれば冬眠の可能性もあるが、お前は完全な爬虫類じゃないだろ! 仮にそうだとしても約200年も寝るわけがないし!
守護者たる者、守る物をほって普通寝るか?
――いや、こいつの性格上ありえるじゃないか、ポチという例がある……。
「何か言いたそうな顔をしておるのじゃが気のせいか?」
よくこのガイコツ顔でそれが分かったな。
言っても、またあれやこれや言ってきて疲れそうだからやめておこう。
『いいや別に……それにしても魔樹の種を生み出す唯一の樹か……あれ? こんな洞窟の中じゃ魔樹の種を落としても自分の下にしか落ちないだろ。他の洞窟とかに魔樹が生えるわけがない……これはどういう事だ』
「いい着眼点じゃな。その答えは――お、丁度いい所に来たのじゃ。あれを見るのじゃ」
『あれ? あの……ニジイロコウモリの事か?』
ニジイロコウモリ、名前の如く羽根が虹色の洞窟に住み着くコウモリ。
ニジイロコウモリの体内には魔力が蓄えられてそれが結晶化していた場合、高密度の高い魔石が取れるから採取の依頼もあるくらいだが……。
『ん? 虹色? 魔力? ……そうか、魔樹の実を餌にしていたから体内に魔力が蓄積されて魔石になっていたのか。そして住処の洞窟でフンと一緒に種も出て、そこから発芽するのが出てくるわけか』
「その通りじゃ。あのコウモリ以外の動物もここを餌場にしておる」
まさに自然の摂理って奴だな。
『じゃあ、ポチもあの木の実を食っているから魔石があるかもな』
もし結晶化されていたら、200年分にあの巨体なら相当でかいのがあるだろうな。
まぁさすがに取り出すのは無理だがな、ポチ自体もそうだがナシャータが黙っていないだろう。
「あ~なるほど、ふむ……」
『それにしても本当にすごい光景だ、
だとすれば、物凄い数がある。
「ん? そうじゃ、ミスリルゴーレムの頭の奴はあの花じゃ」
『ここに生えてるのに、何でミスリルゴーレムの頭にも生えてるんだ!?』
「わしがミスリルゴーレムの頭に付けたのじゃ。かわいいと思ってな」
ナシャータのセンスが謎すぎる。
『……というか花ならここから摘めば良かったじゃないか! わざわざミスリルゴーレムから取らなくてもここだと安全だし、何よりたくさん咲いてるし!』
「馬鹿を言うな! それは駄目じゃ! 言ったじゃろ、本来ここは隠すつもりじゃったと」
あ、そうだった。
『でも……ちょっとくらい……』
「今度は本当に、お前をこの世から消してもいいのじゃよ?」
マジだ、あの目はマジの目だ。
『はい、すみません』
くそ! あんなにあるのに取れないだなんてあんまりだ。
『はぁ……贈り物の花が目の前たくさんあるのにな……』
「女々しい骨じゃの……」
うるさいわ。
『花が駄目なら他に……あるじゃないか! 辺り一面の魔晶石が――』
「却下じゃ!」
『なっ! 魔晶石も駄目なのか!?』
あれも駄目これも駄目って、俺は子供かよ。
「と~に~か~く、花も魔晶石もその他ここにある物は全て駄目じゃ! ここは自然界の大本じゃ、変に弄って生態系が崩れたらどうするのじゃ」
言いたい事は分かるが……ここにある物は駄目となると。
ナシャータが普段上に生っている
別に
『じゃあ上に生っている
「却下じゃぁあああああ!!」
何でだよ!
というか候補に上げた中で一番怒ってやがるし!
『どうしてだよ、確かに
……あ、却下の理由がわかった。
わしの主食を人間の小娘なんぞに渡してたまるか!! 的な奴か。
卑しいドラゴニュートだな。
「何を考えているか一発で分かったのじゃ、わしは別に主食を取られるから拒んだわけじゃないぞ?」
え? 違うの?
『だったらなんでだよ』
「魔力の宿った木の実をただの人間が食べると中毒死する可能性があるのじゃ! それでもいいのなら止めはせんがな」
中毒死……?
あっ危ないとこだった! 危うく俺自身がコレットを殺めてしまうところだった。
コレットは俺が守らなければいけないのに逆の事をしてどうする。
『……じゃあ一体何をプレゼントすればいいんだよ!?』
八方塞、後はもうその辺にあるヒカリゴケ位じゃないか。
そんな物をプレゼントして喜ぶ女なんて居るわけがない。