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コレットの書~仲間・7~

「お前、何やってるんだよ!!」


「すんませんっス!! 弁償しますっス!!」


 今はそういう問題じゃないと思う。


「どうしますか? これじゃドラゴニュートの位置分かりませんよ?」


 とはいっても、どの道おかしな動きをしていたしあっても変わらないかもだけど……。


「んー……割れた物はどうしようもない、注意しつつこのまま進むとしよう。だが何時でも戻れる様に転送石の準備だけはしておく――」


 ――ブワッ


 ん? 今何か頭の上を通ったような……。


「ニヒッ」


 あ、目の前に長い白髪の小さい女の子が降りてきた。

 でもソレは緑色の鱗、羽、尻尾の生えた小さい女の子……それはつまり――。


「え? うそっ? 何でここに……」


 ドラゴニュートが降りてくるの!?


「ちっ、今はドラゴニュートとの接触は避けたかったんだがな!」


 さすがのグレイさんも焦ってるみたい。


「ほえーあれがドラゴニュートっスか。見た目は子供みたいっスね」


 マークさんは……うん、やっぱりこの人は何かがずれてる。

 いやそんな事より、ドラゴニュートと鉢合わせしちゃうのはまずい!

 ……そうだ! 前みたいに閃光弾を投げてから転送石で――。


「では小娘、お前だけ飛んで行ってもらうぞ」


「「「え?」」」


 小娘って、私……だよね?


「エアーショット!!」


 何!? すごい風が! このままじゃ飛ばされちゃう!

 何とか耐え……耐え……。


「うそおおおおおおおおおおおお!?」


 耐えられなかった!! しかも飛ばされた先には壁! そして、またスケルトン!? 何でいつもいつも出てくるのよ!?

 ああ、このままじゃ壁とスケルトンにぶつかっちゃう!

 何とか回避を!!


「――グエッ!!」


 馬鹿よね。私がそんな事が出来るわけがないじゃん。

 スケルトンを潰して、そのまま壁に激突しちゃうのは当たり前なわけで。


「いたた……」


 今ので背中を思いっきり打っちゃった……痣になってなければいいけど。


 ――ガコン。


「……って今度は何なのおおおおお!?」


 もしかして壁が動いてる?

 これってまさか、隠し扉なんじゃ……ウソでしょ!? このままじゃ中に閉じ込められ……。


  ――バタン。


 ……ちゃったみたい。



「きゃっ!」


 急に扉が開いたからバランス崩してこけちゃった。


「いった~……もう何なのよ……」


 ドラゴニュートに飛ばされ、壁にぶつかり、隠し扉が開いてバランス崩してこけたり、散々だわ。


「ここは何処……え?」


 目の前に……スケルトンがいる……まさか、さっきのぶつかった奴が一緒に中に入っちゃったの!?

 何処までついてないのよ私! しかもまたスケルトンだし!


『カタタタタタタタタタッカ』


 ……………………。


 このスケルトンはカタカタと歯を鳴らして何がしたいんだろう。

 あれ? 今スケルトンの後ろで何か動いたような……。


「――っ!?」


 え!? 何あの大きな獣は!? 犬!? 狼!? いや、今はそんな事はどうでもいい!

 早くに緊急時のアイテムを使って脱出を……あれ? ない、袋がない!

 あれ? あれ?? あれれ?? 体のあちこちを触ったけど何処にも袋がない。


「…………」


 ……もしかして飛ばされた衝撃で落としちゃった? どうして私ってこんなに運もないかな。

 っ何を弱気になってるのコレット! 今日は1人じゃない、グレイさんとおまけのマークさんが居るんだ。


「――っ!!」


 だから、武器をとって戦えコレット!

 きっと2人が助けに来てくれる、それまで絶対生き延びるんだ!!


『カタカタ、カタカタカタ――』


 ……え? スケルトンが花を出した? 虹色に輝いてて不思議な花、こんなの見たことないわ。

 でも、何でスケルトンが急に花を? あ、もしかして私が戦闘体勢に入ったから武器と勘違いして出したのかな、やっぱりスケルトンって訳が分からない。

 でも武器じゃなく花を持ってるスケルトンは置いといて大丈夫そう、問題は後ろの大きい獣……こればっかりは無傷は無理だろうけど。


「くっ来るならこい! このモンスター共!」


 でも来るならスケルトンだけにしてほしい。


「グルルルル……」


 あ~やっぱり駄目だよね……こっち見てる。

 あれも私に襲ってきそう。


『――カタ? カタカタ……?』


 あれ? スケルトンが後ろ向いて固まってる。

 もしかして獣が居るの初めて気がついたのかしら。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアア!」


『カタカタカタカタカタ!!』


「ひいっ!」


 すごい咆哮、やっぱり怖い……手足が震えてるわ。

 活き込んでたけど、あんなのに襲われたらやっぱり一溜まりもないよ、あの血走った眼は完全に私を見て……ないわね。

 じゃあ何を見てるんだろ、目線の先は……あ、このスケルトンだ。

 この獣は私じゃなくてスケルトンを狙ってるみたいだわ、でも何で?

 あ~もしかして、骨が好物なのかな……だとすれば生き残れる方法があるわ!


『カタカタカタ、カタカタカタカタ! カタカタカタカタ!』


 よし、スケルトンが背を向けてる今がチャンス!!

 食らえ、渾身の一撃!!


「えいっ!」


 ――パカーン!


 よかった、思ったより簡単にスケルトンがバラバラになったわ。


『――カタッ?』


「はぁはぁ……」


 頭だけは相変わらず動いてるみたいだけど、体の方は駄目みたいね。


「よし、これを――」


 獣の前に出して大人しくなってくれれば……。


「ほっほ~ら、おいしい……のかな。まぁいいや、骨よ~ほしいでしょ~」


 どうかな。

 お願いどうかこの骨に釣られて大人しくなって!


「ヘッヘッヘッ」


 や、やった!! 大人しくなったて、めっちゃ尻尾を振って喜んでる!!

 後はこの骨を部屋の隅の方へ投げて、この獣が追いかけてくれればいいんだけど。


「そ~ら、取ってこ~い!」


 まあ、この様子じゃたぶん簡単に走って行きそうだけどね。


「ワフッ!」


 やっぱり追いかけて行った。

 スケルトンの骨でエサ釣り作戦大成功!

 戻って来ても、これだけの骨があれば時間稼ぎは出来るはず。

 これなら助かるかも!

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