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コレットの書~仲間・1~

 ◇◆アース歴200年 6月15日・朝◇◆


「ふぁあ……はぁ……」


 ……もう朝か。

 寝ても全然疲れが取れていない、昨日の地獄のせいで遺跡探索していないのに疲れ出てるってどういう事なのよ……。

 いけない、いけない。これじゃ駄目だ、しっかりしないと。


「よし、気合を入れる意味もこめてこれを使おう!」


 ――え~と、何処だ、私の宝箱。持って来た袋の下に入れたはず……あったあった。

 宝箱と言っても昔作った手作りの木の箱なんだけどね、けどこの中には私の大切な物がいっぱい入ってるから私にとっては宝箱。

 綺麗な石、兄弟達に貰った物、そして決意を固めた前日の誕生日に貰った緑色のリボン。

 時間がたってるから少し色がくすんで解れている所もあるけど、このリボンで髪を後ろで結んでっと。


「……これで、よし」


 昨日は遺跡に行けなかったから今日は行かないとね、正直スケルトンとドラゴニュートが怖いから行きたくないけど……でも私は負けないんだから!

 神父様、シスター、必ずケビンさんを見つけるからね!


「さぁ今日も頑張るぞ! ファイト私!」



 けどその前にギルドに寄ってから、たぶんグレイさんはもうギルドに来てると思うんだけど……って、あれ? 今日はギルドの中にいる人が何か少ないけど、どうしてなんだろ?

 ん~……まっいっか、そんな事よりグレイさんはっと。


「え~と……あ、いたいた」


 やっぱりいつもの奥席にいた。

 あそこはグレイさんの指定席なのかな?


「おはようございます、グレイさん」


「おう、おはよう」


 ん? テーブルに拡げてあるのは……白竜の遺跡の見取り図、だよね。

 でも何で2枚も同じ物を?


「で、昨日はどうだったよ」


 どうだったって……。


「おかげさまで地獄を見ましたよ……前もって言って下さいよ!」


 だったらすぐ逃げたのに。

 いや、結局はあの人からは逃げられない……そんな気がする。


「やっぱりそうなったか。いや、すまんすまん、何事も経験だと思ってな」


 やっぱりってそれはないよ。

 そもそもあんなの経験したくなかった!


「経験って言ってもあれは酷すぎますよ! まったく。はぁ、もういいです……」


 色々文句は言いたいけど、これ以上は時間の無駄っぽい……。

 今日ギルドに来たのは、昨日貰った報酬でグレイさんから借りてたお金を返す為だしね。


「グレイさん。これ、お返ししますね」


 きっちり10万ゴールド。

 それにしても、自分でもこんなに早く返せるとは思いもしなかったな~。


「あん? 何だこの袋は? ――って、これ金じゃないか。別にすぐに返さなくたっていいんだ……いや待て! 昨日まで金なんて持ってなかったじゃないか! なのにこの大金はどうしたんだ!? ハッまさか盗みでもしたのか!?」


 ええ!? なんでそうなるかな!?


「そんな事していませんよ! これは真っ当なお金です! 昨日ジゴロ所長さんからお礼金として20万ゴールドを頂いたんですよ!!」


「にじゅ!? えっあの偏屈爺さんがそんな大金を出したのか!?」


 まぁ……驚くよね。

 私もかなり驚いちゃったし。


「はい。ですから、これは受け取ってください」


「ふむ……判った。じゃあ、これで貸し借りはなしだな」


 ふぅ、これで重荷の一つが減ったわね。

 これだけでもだいぶ肩が軽くなった気がする…。


「それでグレイさん。2枚の白竜の遺跡の見取り図を見てたみたいですけど、どうしてですか?」


 1枚は古くてもう1枚は新しい感じがする。


「ああ、これな。ギルドから直接俺に依頼が来たんで、念の為に俺が持っていたのと最近の奴のを見比べて誤差がないか見てたんだ」


 なるほど……私そんな事まったく考えもしなかった。

 後で私も新しいの買っとこう。


「それで、どんな依頼なんですか?」


 どう見ても白竜の遺跡関係の依頼みたいだから気になっちゃう。


「どんなって、コレットも関わってるんだが……」


「――へ? 私も? 関わってるってどういう事なんですか!?」


 私はただ、お金を返しに来ただけなのにどうして!?


「落ち着け、今から順を追って説明するから。ほれ、そこに座りな」


「……あう、すみません」


 いけないいけない、つい熱くなっちゃった。


「お前、変なスケルトンの話をしてただろ?」


 うっスケルトンの話が出て来ちゃった。

 かといって自分からふった話だし答えないと……だよね。


「……えと……はい……してました、けど……」


 え? もしかしてスケルトンと白竜の遺跡に何か関係が――。


「そんな変なスケルトンの事じゃないが……」


 ――ないんかい!


「スケルトンに関わらずここ数日、この周辺のアンデッド系モンスターが活発化しているみたいなんだ」


 そうだったんだ。

 遺跡にしか行ってないから知らなかった。


「んでギルドは今晩、一斉にアンデッド系を掃討する事にした。他の冒険者はその掃討の依頼を受けて、夜に行うから寝に帰ったり準備したりと出払ってるんだ」


 あ~それで今日はこんなにも人が少なかったんだ。


「だが、ギルドにとって白竜の遺跡に出たドラゴニュートの存在もほってはいられない。それで四つ星級以上で白竜の遺跡に詳しい俺に白羽の矢がたったわけだ、ほんといい迷惑だよ……まっその分報酬も多いがな」


 ドラゴニュート……なるほど、それで私に関わってるって話なのか。


「だから、すまんがコレット、お前も一緒に来てくれるか? ドラゴニュートの出会った場所を明白にしときたいんだ。別に戦うんじゃない、調査に行くだけなんだがどうだ?」


「えっ!?」


 いや、どうだってって言われてもドラゴニュートの調査か……。

 う~ん……お世話になっているグレイさんの頼みだから何か断り辛いな~。

 どうしよう、でもグレイさんと一緒なんだし……大丈夫かな。


「……わかりました、一緒に行きます」


 はぁ、この後そのドラゴニュートや変なスケルトンに会わない様にこそこそと遺跡を探索しようと思ってたのにな~まさかこんな形で遺跡に行く事になるなんて。

 これじゃケビンさんを探索することは出来ないよね、神父様、シスター、ケビンさんを見つけるにはまだまだ時間がかかりそうです……。

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