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コレットの書~金・3~

「それは俺も聞いた。トカゲじゃなく人間の姿と言うんだからリザードマンじゃない、そうなるとドラゴニュートとしか考えられん。譲ちゃんの反応を見る限り白竜の遺跡でドラゴニュートを見たって報告はないみたいだな」


「そんな報告はありませんよ!」


「ふにゃ……」


 やっと開放された……。


「あったとすればとっくに対策本部や討伐隊が組まれてます!」


 対策本部!? 討伐隊!?

 聞けば聞くほど私よく生きて帰ってこれたわね……。


「そりゃそうだよな……」


「とっとにかく! すぐに上に報告をしないと――」


 書類を取り出して何か書き出したけど、手が震えててまともに文字が書けていない……。

 めちゃくちゃ動揺してるみたい。


「あーさっきの話にはまだ続きがあるんだ。だからその書類を書くのは最後まで聞いてからにしてくれないか?」


「ふえっ!? まだ何かあるんですか!?」


 受付嬢さんが涙目になっちゃってるですけど。


「この見取り図に書かれているのは落書きじゃなく、古代文字だと思うんだ。しかもこれを書いたのはドラゴニュートかもしれん」


「…………は?」


 あ、受付譲さんの目がまんまるに。

 そりゃそうよね、唐突すぎるもの。


「……すみません、よく意味が……モンスターが、文字をですか……?」


「コレットの話じゃ、ここ毎日遺跡に入っていたがこんな物はなかった。しかし昨日入ったらこれが書かれていた、そしてその奥でドラゴニュートと鉢合わせをした……そう考えるとこれはドラゴニュートが書いた可能性がるってわけだ」


「…………」


 真顔! 今度は真顔のまま受付譲さんが固まってる!


「それにドラゴニュートは頭がいい、どこかで見たのを真似てここに書いたかもしれん。それがわざとやったのか遊びでやったのかはわからんがな。これらは憶測だがありえない話じゃないと思うんだが、どうだろうか? っておーい、聞いてるかー?」


 ――プシュー


「ちょっ煙が! 受付譲さんの頭から煙がでてますよ! しかも白目むいてますし! 水、水!!」



「大変失礼しました……これまでにない事例だったので頭がついていけませんでした……」


 よかった、何とか意識を取り戻してくれた。


「憶測なんだから事例もくそもないと思うんだがな」


 ドラゴニュートの話の時点でかなり動揺してたのだからそこに推測でも理解不能なこと言われたら思考停止するとおもいます。少なくとも私も同じことが起きると思う。


「――ゴホン。とりあえずドラゴニュートの件はギルドで調査します。その古代文字? についてはギルドよりジゴロ所長に直接お話した方がいいと思いますよ」


 ジゴロ所長? 誰なんだろ。


「はぁ……やっぱりあの爺さんのとこへ行くしかないのか……まぁこれはしょうがねぇか」


「あの、グレイさん。そのジゴロ所長さんって誰なんですか?」


 初めて聞く名前だけど。


「あーそうだな、簡単に言えば遺跡からモンスターまでありとあらゆる物を幅広く研究してる爺さんだ」


「ありとあらゆる物の研究してるってすごいじゃないですか!」


 すごい賢人に違いない!


(――確かにすごいんだが……ただ、その爺さん自身に問題ありなんだよなー)


「え? グレイさん何か言いましたか?」


 ボソッと何か聞こえた気がしたけど。


「あ? いや、俺は何も言ってねぇぞ」


「そうですか?」


 確かに何かいった気がしたんだけどな、まぁいいか。


「……あーそうだ! すまんがコレット、俺はドラゴニュートについてギルドと話す事があるからジゴロの爺さんの所へは一人で行ってくれるか?」


「え? いや別にグレイさんがいなく――ムガッ!?」


「――そっその見取り図を持って、俺がさっき話した事をそのまま伝えるだけでいいからな」


「はい、私は別にかまいませんけど……」


 なんだろう、グレイさんの行動に違和感を感じる。


「それで、ジゴロ所長さんってどこにいらっしゃるんですか?」


「あっああ、場所だな。バザーを道沿いに真っ直ぐ進むと森がある、その森の奥にへんてこな建物があるからそこに爺さんがいる」


 よかった、バザー方面なら何回も行ってるから迷わず行けそう。


「わかりました、それじゃあ行ってきます!」


「おう、気を付けてなー」


「は~い! それじゃまた後で」


ーーーーーーーーーーーーーーー


「ふぅ、行ったようだな」


「――プハッ! 急に口を塞がないでくださいよ、苦しかったです!」


「すまんすまん」


「後グレイさん、コレットさんにジゴロ所長を押し付けて逃げましたね……」


「しょうがないだろ、あの爺さんは苦手なんだ……できるだけ関りたくない」


「あーそれは分かる気もしますけど、コレットさん一人ではかわいそうですよ……」


「まぁ、冒険者してればいつかは会わないといけないからな。社会勉強って奴だな」


「それ、ただの屁理屈だと思います」


ーーーーーーーーーーーーーーー


 ん~? なんか2人で私の事をこそこそと話してるみたいだけど、別に呼ばれなかったしいいか。

 とりあえず与えられた仕事を最優先だよね。


「よし、ジゴロ所長さんに会いに行くぞ~」

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