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コレットの書~勘違い・5~

 ◇◆アース歴200年 6月13日・昼◇◆


「……簡単に遺跡に着いちゃった」


 あれほど疲労して遺跡に歩いてたのに装備が変わるだけでこんなにも違うなんて。

 ……考えれば考えるほどあの鎧を買った自分が情けない。

 いやいやいや、こんなネガティブな考えは駄目だよね、前向きにいかないと。


「よし、今日もがんばるぞ! ファイト私!」


 とは言ってもまずは入り口の安全確保の確認っと。


「大丈夫そう、ね」


 ではさっそく探索開始ね。

 今回は見取り図もあるから記憶に頼らずに簡単に進めるのは楽だわ~。


「え~と、まずは……ん?」


 なんだろう、この違和感。

 昨日来た時と何かが違うような……何だろう。


「う~ん――あ、この壁……」


 違和感の正体はこれだわ、壁に昨日はなかった斬り傷がいっぱいある。

 剣で斬りつけた感じだけどその割にはまとまってついてるけど……。


「……これってもしかして……文字? なの……かな?」


 だとしても私には見た事のない文字(?)だからまったくもって読めないわ。

 昨日来た時にはなかったのに……一体誰が書いたんだろう?


「…………」


 む~見れば見るほど、何だか気味がわるい物があるわ。

 あ、そういやグレイさんが何かあれば見取り図にメモるように言ってたっけ。でもこの文字(?)か分からないのを見取り図に書いても意味あるのかな……。


「…………」


 う~ん……一応書き込んでおこう、別に減るもんじゃないしね。


「――これでよしっと」


 ……実はこれってあのスケルトンが書いた、とかじゃないよね? ……ハハハ、まさかね。

 それじゃ先に進みますか。



 ここがケビンさんが見つけた隠し通路の入り口か。

 ふぅ……ここまでたどり着くのに物凄く長かった気がするわ。

 でもここがゴールじゃない――。


「――ここからが本番!」


 まずは奥の竜の巣まで行ってみよう、それから細かくケビンさんを探索して行く感じかな。


「よし! ファイト私!」



 えーと、見取り図によるとこの先に罠が――。


「……っ!?」


 ええええええ!? なんで!? どうしてここにもあの文字(?)が壁に書いてあるの!?

 ……う~ん、どうしよう……これも一応メモした方がいいのかな。うん、同じ文字みたいだししたほうがいいよね。

 でも、本当になんだろ? これ……。



 ふぅだいぶ奥に来たわね、竜の巣まであと少しね……。

 だけど、ここに来るまで罠の前には必ずあの文字(?)が書かれてたけど本当になんだろう? 戻ったらギルドの人やグレイさんに見せた方がよさそうね。


 ――ガサッ


 ん? 何かの音がしたような……もしかしてスケルトン!?

 だったら先手必勝、今度は私からこのメイスで殴り飛ばしてやるんだから。


「――音はこの辺りから聞こえるけど……え?」


「は~むっモグモグ……っ!? すっぱい! この実は熟していなかったのじゃ! ぺっぺっ」


 薄暗くて姿がちゃんと見えないけど、白髪の長い髪の緑色のビキニを着た小さな女の子……みたいね。

 でも、なんでこんな所に女の子がビキニを着て木の実を食べてるの?


「む? そこに誰かいるのか? ――くんくん、この匂いは……よいしょっと」


 あ、こっちに来た。

 ぱっと見た感じブレンと同じくらいの歳の女の子に見えるけど……。

 ――違う! あの娘は人間じゃない! 緑のビキニに見えたのは鱗だ!

 そして翼に尻尾も生えてるし! あれはモンスター!?


「あ~やっぱり人間だったのじゃ」


「っ!」


 見つかっちゃった!


「しまったのじゃ……つい食事に夢中になりすぎて、近づいて来ている事に気が付かなかったのじゃ。まぁよい――」


 紅い眼と目が合った……この眼を見ていると、魔力を感じない私でもわかる。

 このモンスターはかなりの上級、文字通りレベルが違いすぎる。


「わしの事は忘れるのじゃ、よいな」


 身の危険!! 早くここから逃げないと殺される!!

 でも、足が震えて動けない! どうすれば――。


『カタ! カタカタカタカタ!!』


「え!?」


「むっ?」


 嘘でしょ!? このタイミングでスケルトンまで襲ってきた!!

 なんなのよ! あのスケルトンは!


「なんじゃ? スケルトンか?」


『カタカタカタカタ! カタカタカタカタ!』


「はぁ? お主は何を言って――」


 あ、あのモンスターがスケルトンに気をとられてる。

 逃げるなら今しかない、この閃光弾を使って!


「っえい!!」


 ――わっ! すごい眩しい!

 私自信も目をあけてられない。


「な、なんじゃ! この光は!?」


『カタカタカタカタカタ!?』


 でも効果はあったみたい、どっちも怯んでる。

 これで逃げれるけど、また中途半端な探索で帰る羽目になるなんて。

 一体いつになったらケビンさんを探せる事が出来るのかしら。


「……ごめんなさい、ケビンさん。転送石起動!」




 ◇◆アース歴200年 6月13日・夜◇◆


「いつの間にか夜になってたのね、町の明かりを見るとほっとするわ……」


 文字(?)の事、女の子の姿をした鱗のモンスター、また襲ってきたスケルトン……。

 明日、グレイさんに話す事がいっぱいね。

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