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第41話 先輩、カマをかける①

「こんにちはー!今日は突発的にコラボを思いついた先輩と」

「むしろ企画はどんとこい!な後輩でお送りする錬金チャンネル、始まりまーす」


<コメント>

:やんや やんや

:どんどん、パフー

:企画ものきた!

:一体どこの誰とのコラボなんやろな

:今回も告知なしでいきなり始まったからな

:すでに同接1万あるのが

:プレゼント配布期待組だろ

:毎回プレゼント企画はしないですw

:それに縋るしかない人もいるんだろ

:買うと高いからね

:先輩が値段釣り上げたわけじゃないけどな

:人の欲望は底なしだから


「と、いうわけでー? 今回の企画内容を発表していくよ」

「はーい。今回はですね、とある特殊合金を使った、別プレイヤーによるSSSランク攻略動画となりまーす」

「いえー!」


<コメント>

:特殊合金?

:ダンジョンアタック補佐?

:プレゼント企画はない系か

:一気に同接5000人減ってるやん

:草

:つまりそれだけの待機組が

:美にかける執念はすごいな

:そりゃ実際に若返ると聞けばな

:【A】の若返り効果は実際NNPでも販売してるやろ

:【S】狙いの時点で同業

:そんなことより誰と組むかだよ

:そこなー

:どうせガイウス達だろ

:一番顔が利くのがそこだからな


「おっす! アメリアだぞ」

「あ、まだ呼んでないのに出てきちゃダメでしょ」


<コメント>

:草

:先輩とお揃いの着ぐるみパジャマかわいいですね

:この27歳児ときたら

:早く見せたくてウキウキしてたんだろ

:相変わらずピンク色のサメの着ぐるみパジャマ着てるのな

:お気に入りか?

:これでおじさん売りは無理でしょ

:今回も当たり前のように実写で草

:アメリアが配信側にいるってことは、本当にコラボ相手誰だ?

:相変わらず翻訳機能すごいな

:流暢に日本語喋ってるけど、口の動きは英語のまんまだ

:先輩の発明品を当たり前のように組み込んでる後輩の仕業

:後輩ちゃんは今頃ツーショット写真撮ってるんやろな

:ブロマイド! ブロマイド!

:こうしてまた販売所に謎のブロマイドが拡散されるわけだ

:なんだったらあのショップの中でこの写真が一番高いまであるからな

:それは草

:後輩ちゃんが値段をつけるのに悩んでいるのがそこだからだよ

:他の商品がそれこそ雑に値付けされてるのがわかるな


「その前に特別ゲストのご案内! アメリアさん、はもういるから、他のみんなー入っておいでー」


 スタジオの中には以前のVの格好をさせられた3名が登場する。

 ドリィちゃんことガンドルフ(犬系V)にローディック師(うさ耳博士系V)、コーディ(アヒル系V)のいつものメンツが登場だ。

 今回はこの3人+顔役兼説明役のアメリアさんでやっていく予定だ。

 その上で参加者側じゃなく、企画側にもう1人。


「またこの格好か、帰りたくなったんだが?」

「ほっほっほ、今はこう言う見た目売りもしなきゃ物が売れなくなった時代じゃ。諦めも肝心じゃぞ?」

「コーディだ。今回は前回の雪辱を晴らすつもりできた。あの時の俺と同等に思わないように頼む」

「最後にトール」

「呼び捨てで草。まぁいいけどさ」

「他三人も呼び捨てなんですけどねぇ」

「このメンツに呼び捨てできるのが僕の強みだからな。トールは今回のゲストへの呼びかけ役と、あとはゲームのイベント企画者としての役割があるから呼んだんだ」

「どうせなら戦闘に参加させて欲しかったんっすけど」

「それは役割が被るからダメ」


<コメント>

:コーディだけやたらガチな紹介文並べてら

:トール呼んだってことは、またバトルウェーブ関係?

:ってことは前回のやらかしからなんの反省もしてない企画が再発するのか


「一応この合金の黄金比率を学会で発表した手前ね。それと各国のSランクからの発注オファーが重なったので、どうせなら遊びながら、なんならゲームのプロモーションも兼ねた方がいいなと思って」

「普通は引き受けるだけで恩が売れるもんなんすけど」

「先輩は恩を売るのにそこまで執着してないぞ?」


 アメリアさん、別にそんなことはないからそのドヤ顔引っ込めて?

 今回は強烈に恩に着させてからとあるお願いをしようとしてるんだから。


「はい、と言うわけで最近ドラゴン系統の活発化が見られる日本のダンジョンに来ています。今回のゲストさん達はそこで待機してもらってまーす」

「今回はNNPの機能をフル活動しての参加です。国内にいながら、いつでもダンジョンの入り口に入って来れる企画ですので、無理に来日してもらうものではありませんのでね」

「今やSランクが召喚される分にはいいものの、所得物は国に収める決まりができてますからねー。海外からの入国審査が厳しくなっています」

「流石に呼ぶだけ呼んで入国できませんでしたは馬鹿らしいですからね」

「なので、うちの企画だからでゴリ押しして、スポット参戦で取得物はお国に提出してもらう条件でダンジョンまでやってきてもらってます」

「取得物の原型が残るかどうか次第ですけどねー」


<コメント>

:違法入国やんけ

:え、集合場所日本だったの?

:日本に見えない景色してるんやけど

:あ、ここ樹海ダンジョンか

:あー、富士の樹海

:樹海って何?

:わからん

:おいおい、日本に住んでてわからんはないだろ

:いや、ゲストが母国語で流暢に喋ってる時点で察するべきだった

:あれ、もしかしてこれ母国語で入力しても日本語に翻訳される感じ?

:まじじゃん

:ぺろぺろぺろぺろ いけた

:↑www

:コメントで遊ぶな

:悪かったって


「あ、言ってなかったっけ。今回は全世界の言語+にゃん族、わん族、うさ族、ぴよ族、りゅう族の同時翻訳をやってます」


<コメント>

:さらっと追加される爆弾情報

:でもそっちの言語まで翻訳しちゃったら誰が喋ったかわからなくない?


「そこは一応対処してます。今撮り置きのアナウンスを流しますねー」


<コメント>

にゃん:すごいにゃ!


「こんな感じです」


<コメント>

:把握

:横に出る系ね

:直接書き込みなんてはしないだろうけど

:あくまでもダンジョン内で見つけた時の翻訳が主だろうな

:なるほろ

:即座に把握できるわけね

:相手の手の内晒しまくりで草ぁ!

:諸外国で把握してる種族より多くない?


「そこは、提供国からの譲歩ですね。主に今回のゲスト関連です」

「そんな賄賂もらってたんだ? まぁ僕のケモミミ薬の使い所さんができて嬉しいけどね」

「センパイ! そんなことよりバトルウェーブのアップデート版をやるぞ!」

「はいはい」


 アメリアさんに専用バイザーを渡されて、コンソールルームに引きずられていく僕。

 アディオス、みんな。

 今から僕はゲーム三昧だ、ワハハ。


<コメント>

:今回の主題なんだっけ?

:ゲームのアップデート情報を書き込みながらの?

:リアルダンジョンアタックの武器開発だったはず

:おい、主題を忘れてゲームに興じる主催者がいるぞ


「実際、僕は合金の提供者であって、そこから武器を作るのは本職の鍛治連だから。多少アドバイスはするけど、基本はアメリアさんとアップデート版を遊ぶだけだよ」

「それについては言ってませんでしたからね、ゲストの皆さんはどうぞ気張って手の内を晒してくださいね?」

「おいおいおいおい、そりゃこっちはペースを乱されなくて済むが張り合いがないぞ?」

「私は本職ではないのだが?」

「あんたは趣味でうちの一流職人ぐらいの知識があるからな。あんたがいてくれるだけでだいぶ助かる。俺たちに魔道具関連の知識はないし」

「ふむ、そういうことならここに呼ばれたのもわかるというものか。しかしな、今回は前回の価値をより強固にするための出番だったんじゃが」

「俺もだよ」

「俺もだ」


<コメント>

:ドリィちゃん、まだ諦めてなかったのか

:あれから随分腕を揚げたみたいじゃん

:もう日本とお別れしたからな

:それを思えば海外流出した職人が戻ってきてるのか

:ゲスト含め、日本組がいない件

:先輩も普段配信してるからすっかり忘れてるけど海外組なんだよな

:同時翻訳されてる個人勢なんてここくらいよ

:意所属言語も操ってるのほんとなんなの?

うさ:謎すぎます

:ん?

:今なんか誰か喋った?

うさ:気のせいではないですか?

:そりゃそっか

:悪い、気にしないでくれ

うさ:これバグです、直してください

:なんだバグか、何事かと思った


「バグじゃないので治しません。尻尾を出すのが早すぎましたね、うさ族さん」


<コメント>

うさ:言いがかりはやめてください

:これほんま?

:もうコメント打ち込めるくらいに紛れ込んでるんか

:あれ、これ実は人類とっくに追い込まれてる系?

うさ:バグですって、私はうさ族じゃありません!

:これどっち信じりゃいいの?

:これ含めてヤラセもある

:後輩ちゃんだしなぁ


「あーあー聞こえなーい」


<コメント>

:これは先輩に追及された時と同じ反応!

:完全に取り付く島はないですね

:いつもの塩対応で草

:何のための炙り出しや

:俺らと一緒に楽しませるためだったり?

:それは草

:それ以前に、この合金についてどう思う?

うさ:だから私はその該当種族ではないんですって

:まぁまぁそれはいいので

:そうそう、先輩はそれを含めて受け入れてるんだし、楽しまなきゃ損まである

:何だったら先輩自体がにゃん族の化身みたいなところあるし

:それは草

:出自が怪しい時点でな

うさ:それは本当ですか?

:お、気になる?

:これから先輩の謎について語ろうぜ

:あわよくばむくみ取りポーションの普及もしてもろて

:下心ありありで草

うさ:私はそのうさ族とは何の関係もありませんが、少し気になりますね


 突然現れたうさ族の容疑者。

 しかしコメント欄では受け入れられ、なぜか一緒になって僕を追求するというよくわからない流れが出来上がりつつある。

 どうして?

 まぁいつものことか。


「それでは気を取り直しまして〜! ゲストの登場です!」

『よぉ、日本人! フランスの伊達男セヴィオ様のお通りだ』

「はい、今回はフランスのイキリ種馬、セヴィオさんにきていただいてます。拍手!」

『おい! おい! お前のところの翻訳少しおかしくないか? ここはもう少し褒め称えるところだろ?』

「おかしいですね、少し翻訳の調子が悪いみたいです」


<コメント>

:翻訳の調子が悪いとは?

:後輩ちゃん、姿を隠してるからゲスト相手でも容赦ないなぁ

:こんなのでもトップなんやで


『こんなのとは聞き捨てならねぇなぁ? お前どこの所属だ?』

「はいはい喧嘩はなさらないでくださいねー。国際問題になりますので。今回はゲストで、わざわざ召喚しての参加ということをお忘れなく。特別な武器を作ってもらいにきた立場ということをもっとよく頭に刻み込んでから喋ってください」


<コメント>

:強気な発言の裏はそんな理由が

:抽選当たってイキってたからの注意か

:代わりはいくらでもいるぞってことね?

:あれ、じゃあ今回は1人だけ?


「1人だけ、というよりは1人づつですね。前回は一人一人に合わせてそれぞれの持ち味を活かしてましたから。でも今回は一人なので、職人たちも力を合わせやすいと」

「俺らに合わせてくれるってか。ありがたいねぇ」

「これで扱う合金が人の手に余るもんじゃなけりゃ最高だったんだが」

「何度か扱ったことがあるが、先輩ほどの扱いを求められても困るしの」

「はい、ということで最初の一人目、イキリ種馬のセヴィオさんの扱う武器種は槍です! 最初は一人で持ち前の武器で戦ってもらい、何回か武器の発表と、それを本人に使用してもらっての点数付けをしてもらいます」

『おい、その二つ名ずっと使い続けるつもりか?』

「態度を改めないようですので。こちらとしても続けたくはないんですが」

『わかった。こっちが悪かった。その二つ名は祖国を馬鹿にされてるみたいで気分が悪い。これからは態度を改めるよ』

「はい」


<コメント>

:特に了承もしないところが不穏

:満面の笑みである

:そして画面が左右に分割されー?

:左に先輩とアメリアちゃんのゲーム配信、その右に今回の企画

:メインどっちなんだよ

:どっちも高画質で見れるのおかしいんだよ

:ダンジョンの中ってこんなにクリアに見れるもんだっけ?

:謎の技術

うさ:これ、異世界の技術とかじゃないんです?

:うささんも知らないのか

うさ:その名称は不服ですが、まぁそうです、知りませんね

:技術ってどっちの話?

:ダンジョン内高画質撮影?

:それとも合金を使った武器やろか

:最悪転送陣の安定化とかじゃないかなぁ

:全部やばい技術だったか

:最後がなけりゃ、他二つも焼け石に水だろ

:合金も即座に譲渡できるからこその価値だよな、思えば

:今じゃ当たり前のように使ってるから

:普通に考えて、英雄のスポット参戦は攻める側からしたら最悪だもんな

:兵糧攻めが何の意味もなさなくなるから

:草

:盤石な防衛陣なんだよなぁ

:その上で遊び感覚で英雄の強化イベントを図ってるとな?

:先輩にとっては遊びなだけ

:Sランクにとっては死活問題だから

:探索者のトップですら死活問題なの笑えない


「ただ上を目指しすぎてるだけですねー。現状に満足できない人ってそれなりにいますから。では一度ダンジョンの中を歩いてもらって、戦い方を職人に見せてもらいましょう。セヴィオさん、お願いします」

『ああ!』

「センパイ、今のアイテム投擲ナイスタイミングだった。一気に盤面がひっくり返ったぞ!」

「でしょ? 今新作用意してるからもう少し耐えてくれたら楽になると思う」

「さすが先輩だな!」


<コメント>

:このタイミングよ

:完全に見失ってたわ

:先輩たち、今何やってんの?

:難易度・ルナティックで100の軍勢を二人で捌いてる

:今3ウェーブ目ね

:トータルで100じゃなくて1ウェーブ100なのかwww

:こっちはこっちですんごいことやってた

:先輩のアイテム制作能力は相変わらずバグってる

:通常武器で無双してるアメリアちゃんも相当なんだよなぁ

:セヴィオも負けてないぞ

:ツインヘッドドラゴンを槍技で一蹴よ

:おい、これ本当にどっち見ればいいんだ?

:配信楽しみたい勢は左

:技術革新を見たい人は右とかじゃない?

:分けて配信してくれよぉ

:両方見れてお得、とならないのがこの配信チャンネルの醍醐味だよな

:先輩が見たことないアイテム作り出してて草を禁じ得ない

:もう最新アイテムに適応してんの?

:早すぎんでしょ

:普通にアイテム作りながら実験もしてるから

:これが熟練度の差かぁ

:本来はもっと慎重にアイテム製作するんやけど

:先輩は片手間です

:まるで何度も通い慣れた道みたいに最善を知り尽くしてるみたいな

:その差は埋められないかー

:この空気の中で職人は武器を?

:ゲームの中で暴れてる未実装武器を上回れるのか?

:リアル準拠なんだよなぁ


「と、今回の合成用素材は揃ったね。これを溶解液の中へポイー。次から複合合金が解放されるよ、お待たせアメリアさん」

「やっとか!」


<コメント>

:ん?

:もしかしてこっちでも合金オリハルコンが投入される?

:職人たちにも火がついた

:これは負けてられませんね

:実は今回一人ずつだったのってこういう意図があったのでは?


「先輩、ちょっとペース早すぎます」

「え? そんなことないでしょ。予定通り、予定通り」


<コメント>

:予定調和だったか

:これ、もしかして先輩VS職人連合なのか?

:アメリアVSゲストの可能性も出てきたな

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