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第25話 先輩、大型コラボする⑥

ピンチはチャンス! コメントでは味方のピンチを喜ぶなんて最低だなんて言われるがなんとでも言え! 

確かに首の数だけ攻撃手段を持つ強敵だ。

そんなのに無策で挑もうとした時点で探索者側にだって非はある。

僕たちだけが責められる謂れはないのだ。


そもそも道中が余裕だからとボス戦まで余裕だなんて考える方がおかしい。

ここは改めてSSランクであると訂正されたダンジョンだ。今まで通りに通じるわけもないと入る時点で覚悟してるだろうに。


が、ここを打破する為の考えが僕にはある。

常に鉄板ネタで僕に欲しいものを要求していたキングにオススメする武器をここで公開すべきだろう。


重力で身動きが取れなくなる時のために転送系アイテムを前もって用意してたんだ。

すぐに死ぬことはない!

致命傷になったところで超回復する模造エリクサー1型(TSしないバージョン)を事前に渡してるからな!

快癒湿布もトールが持ってるし、すぐに戦線崩壊するわけでもないからヘーキヘーキ。


それに強敵を打破した方が撮れ高だって言うのはわかってて突っ込んだところもあるしね。


「ドリィちゃん、上下に矛がついた槍とか作れる? 素材は僕が出す」

「……」

「おーい、聞こえてる?」

「……だ」

「え?」

「ガンドルフだ。二度とそのふざけた名前で呼ぶな、ボマー」


お前も僕をボマーだなんてふざけた名前で呼ぶくせに。

自分のことは棚上げかよ。

そもそもこの企画に乗った時点で被害者ぶる資格はお前にないんだよ。

上手い話に食いついたお前が悪いって契約、今ここでぶちまけたって良いんだぞ?

その上で企画の趣旨を履き違えて低ポイントを叩き出しての罰ゲーム。

自業自得なの。

そこんとこわかってるぅ?


<コメント>

:もう辞めて! ドリィちゃんのライフはもうとっくに0よ!

:闇堕ちしてるで……

:この数時間の間に尊厳破壊されまくったからな

:先輩程鈍くないからだろう

:そっちの方でも先輩は強かったか


「僕もこの姿は恥ずかしいんだが? 慣れたみたいな扱いはよせ。そもそもさ、ここで負けたら今以上に惨めなアイテムが世界に向けて販売されるんだぞ? お前はそれでも良いのか? 負けっぱなしで職人のプライドは許さないのか?」

「……お前の金属を使えば絶対に勝てるって証拠はあるのかよ」

「僕は本職じゃないからわからんが、硬度は今のところ最高峰だと思ってるよ。ヒヒイロカネは知ってるか?」

「伝説上の金属だろ? オリハルコンに勝るとも劣らない強度と魔力適性を持つ魔法金属だ」

「それの模倣品だ。僕は形を真似るだけでせいぜいだが、研ぐことはプロフェッショナルに任せたい。頼めるか?」

「俺の砥石で研げるかどうか」

「もちろん同質の砥石も用意する。とっておきの魔道理念も組み込む。頼む、あいつらを出し抜くにはそこでも手を抜きたくないんだ」

「仕方ないなぁ、分かった。そのかわりガンドルフ以外の名前で呼んだら返事しないからな」

「そんな我儘が後輩に通じたら良いな」

「お前ですら諦めるレベルなのか……」


ほら、言われてるぞ、後輩。

因みにだが探索者チームはブレスを吸収してスタミナを回復させてるらしく、常に動き回ってる。

デバフで貢献してる僕と違い、ウサギさんチームのダメージ吸収を自己バフに変える装備はここにきて真価を発揮した。


<コメント>

:今の回避頭おかしい

:トールが頭おかしいのはいつものことだろ?

:いつにも増してスタイリッシュに磨きをかけてやがるぜ

:跳弾回避が可能なのは弾丸を自分の移動先に置き換える先輩のお陰なんだぜ?

:泥臭いキング、スタイリッシュなトール、修羅のアメリアちゃんか

:アメリアちゃん、一人だけ別次元の動きしとる

:ずっと飛び回ってるからな

:ウサギさんチームのスタミナ回復がマジチート

:被弾を防ぐ鎧のパワーアップ版だろ? 俺も欲しい

:普通に超有能なんだよ、鎧も

:ただ手数が多いとこっちの方が有用なのがバランス考えられてる

:あくまでもでっかいミノタウロス対策だから、鎧は

:雑魚狩りには持ってこい

:どれか一つでも手に入れようと思ったら億は覚悟しなくちゃいけないが

:この状況をぶった斬るようで悪いがこれお遊びで企画されてるって知ってた?

:今更www

:くっそ熱い攻略動画だと思ってる奴なんているー?

:頭悪いタイトルしてるもんなぁ


ひどい言われ様だが、チャンネルタイトルは【BWで最強のアイテムをプロが本気で作ったったwww】なので何も間違えてない。

SSランクダンジョンを選択したことも、よもや最下層まで至ることも当初の予定にはなかったことである。

なので僕は悪くない。

現場については探索者チームが勝手にやったことだし。


<コメント>

ガイウス:俺が誘われてない件

リローデッド:俺も誘われてねーし。ひでーぜアメリア

:Sランクが仲間にして欲しそうに指を咥えてるのがこのチャンネルですwww

:ガイウスは石化させちゃうから残当

ガイウス:武器の配布があるなんて知らなかった!

:あ、ガイウス向きの武器とかドリィちゃん作ってたもんな

ガイウス:俺だったら高評価あげてたのに……

:ガイウスを入れてたらドリィちゃんが輝く世界線があった?

:ないだろ

:ないない

:トールがいる限り振り回される未来しか見えねー


全くもってその通り。

トールの我儘で僕たちは一喜一憂してる。

あの邪智暴虐を決して許してなるものか! 一致団結するくらいには打ち倒すべき邪悪だよ、あいつは。


「こんなもんで良いか?」

「お見事。設計図通り魔道具を設定できる箇所を残してくれたな。何よりも矛のついてる向きによって模様が違ってるのがシャレオツポイントでいいね」

「まぁこれくらいはな」


<コメント>

:なになに、何ができるの?

:初めから個人技捨ててるのは草

:コラボで天井知らずの点数つけられるから焼け石に水なんだぞ?

:全部トールが悪い


「後輩、テロップ出して〜」

「はーい」


<種類:武器>

 アンチノミー+9

 攻撃力355

◆スタミナキラー+9

 突き刺した相手の(耐久)スタミナを全て使用者の育毛に変換させる。

◆ガードキラー+9

 突き刺した相手のバフ、防御性能を毛根、鱗、甲殻と共に消失させる。

◆耐久+9

 所持者のスタミナは潰えない。


<コメント>

:え?

:え?

:は?

:はぁあああああああああ!?

:なんッだこれ!?

:攻撃力300越え?

:コーディでも作れるか?

:無理だろ。攻撃力なんて鉱石の質にもよるし、硬度も研ぎも相当要求されるぞ

:熟練度じゃどうにもならない壁だよな

:アダマンタイトの最高でも280までだった筈

:300越えなんて……なんの金属使ったんだ?


「金属は合成した! 溶解液は知ってるか? あいつにな、オリハルコン、アダマンタイト、ミスリルを黄金比でぶっ込むと出来上がるんだ!」


<コメント>

:謎の技術

:全世界の鍛治師があんぐりしてるぞ!

:オリハルコンの無駄遣い……じゃねーな

:初めて有効活用されてるところ見た

:オリハルコン製武器って誰か成功品あげてたっけ?

:出土はされてるが少量でなぁ

:純度の高いオリハルコン製はまだないよ

:まさかの合成金属!


「ボマー曰く、模造ヒヒイロカネだそうだ。攻撃力もさることながら、付与された効果がどれもやばい。アンチノミー……二律背反。要は矛盾してる属性を併せ持つ矛だな。問題は武器の所持者ではなく、受けた相手が矛盾してしまうという皮肉が効いている。通常であるなら最強の盾、スタミナキラー。これは相手の防御力を無理やり底上げしてスタミナを根こそぎ枯らす悪夢みたいな性能をしている。対して最強の矛であるブロックキラー。不本意とはいえ底上げされた防御が0になる無慈悲の極み。スタミナこそ回復させてもらえるが、一度0まで枯れたスタミナは回復したところで雀の涙だろう。スタミナキラーを突き刺されたらそれすら防御力に回され、枯らされる。対峙したら死を意味する武器でもあるな。正直こんな魔槍、生涯で一度手にできるかどうか。武器こそ作らせてもらえたが、いつかは自分でその境地に辿り着きたいもんだぜ」


<コメント>

:ドリィちゃんめっちゃ喋るじゃん

:さっきまで闇落ちしてたのにスッキリした顔してやがる

:実力の差を思い知らされたらなぁ

:これで先輩の方が熟練度下ってどんな冗談よ

:単純に鍛治に興味ないだけだろ

:興味ない奴が、150まで熟練度上げられるわけないだろ! いい加減にしろ!

:錬金でならその倍は持ってるから

:魔道具も200でフォースジョブに手がかかってる時点で化け物

:見た目は小物なのにな

:言うなよ

:見た目は言ってあげるな

:Vだしなぁ

:普通フォースジョブ持てる人にこんな格好させる?

:後輩ちゃんだから

:それで許されちゃうのがこのチャンネル

:怖いもんなしかよ

:因みにその合成金属の黄金比、レシピ集にあったり?


「レシピ集にありまぁす!」


<コメント>

:再販! 再販してくれ!

:ウサギ博士が億出してでも仕入れた理由はそこか!

:見る人が見れば宝の山なんだろうなぁ

:後輩ちゃんが先輩の説明待った方がいいと言ってた理由もそれ

:ああ、素人が見ても価値に気付かないってか

:熟練度の差、と言ってしまえばそこまでだが


『想像以上にやばいの来た。名前とかも含めて封印指定武器でいいかも。凄いのはすごいよ? ボス戦でもすごく楽になると思う。でも世に出回ったらダメなやつだよこれ。100点』

『待ってた。1000点』


<コメント>

:キングwww

:全てのちゃぶ台をひっくり返しやがったこいつ!

:確かに育毛効果はあるが、あれ、自分に刺せばスタミナ尽きないのか?

:トールとは違って初めて要望が通ったもんな

:自分の毛を復活させたいだけだろ

:毛生え薬がグッズ販売以外での入手が絶望的だったから仕方ない

:こんなの、SSランクのボス以外で使い道あるのか? 国宝もんだろ

:それがポンと出てくるのがこのチャンネルだから

:ポンと出てきてたまるかよ

:ほんそれ

:トールは静かだな。どうした?

:どうせバレットへの変更無しなら0点とかだろ?

:ありえる

:まぁ今更出てきたところでキング以上の点数は出さんだろ

:ここにきて仇になったな

:草

:職人達の生殺与奪権を自分が握ってるって思ってたもんな

:自ら点数を底上げした皺寄せがここにきたか

:でもウサギさんチームに同じくらいの点数やれば逆転もあるだろ?

:こいつ自分に素直だからなー、先輩を負かすために自分の意見曲げるか?

:曲げる未来は見えねーな

:効果はすごいけど、取扱注意がすぎるんだよ

:キング狙いで今回は来てるが、普通に強いのが憎いよな


『これ、バレットタイプにしたら攻撃力は……』

「まぁ普通に落ちるよね。貫通特化ではないし、性能が槍で初めて効果が出る仕掛けだ」

『因みにどれくらいまで?』

「50」

『50!????』


<コメント>

:攻撃力50は草

:そりゃ(基本性能から300も抜かれたら)そうよ

:ショートソードに毛が生えた程度やんけ

:今までのバレットは効果が先に来てたが、今回ばかりは銃弾には不向きかー

:銃弾としては高い方だよ、50

:普段5とか10だもんな

:装甲は抜けないけどな

:その為のブロックキラーだから

:トールが0点でも先輩は痛くも痒くもないの草

:そう考えると今までの付与効果って普通にバグってんのな

:当たり前だろ? 属性付きの時点で珍しいわ

:普通に属性バレットって一発1万とかするけどね

:銃無双は遠い夢へとなったのだ

:ボス以外では無双してたし十分だろ!

:それはそう

:ボスでも無双したかったんだろ

:討伐が可能だってわかるなり手のひら返す政治家かよ

:トールは社長だしあながち間違えてない

:銃の製品を売り出したかったんやろなぁ

:問題はレシピが職人の秘匿で再現できるかってところだよ

:先輩のは無理だろ

:当時の配布品がそこまでの価値を持つと何人が気づいたか

:受け取った側が相当のマニアでもない限り質に流れてそうなのが

:手放してから後悔するタイプの魔導書

:本人はただの雑記帳扱いだからなおタチ悪いのよ

ガイウス:想像以上にやばいのが出てきたな

リローデッド:素材が取り放題だな!

:そう言う見方もあるのか

:トールがなんとしてでも銃弾にしたい理由はそこか!

フランソワ:この装備、200億でお譲りしてくださらない?

:最強お嬢様きちゃ!


「すいません、販売は考えてないです。でもそうですね、次の企画にエントリーしてくださるのなら考えておきます」


<コメント>

:英国の権力者にこの対応!

:後輩ちゃん、怖いもの知らずか!

:犠牲者が増えるよ、やったね後輩ちゃん

:お嬢様って探索者だろ? 誰の代わりに出るんだ?

:もうこのチームでメンツ固まっちまったしな

:トール要らないだろ

:草

:BWのオーナーだぞwww

:企画をぶっ壊すな!

:いや、審査員に入れるなって話

:まぁこいつがルールぶっ壊したようなもんだし

:残当

フランソワ:トール様はお外しにならなくて結構ですわ

:お? じゃあ四人PT?

:アタッカーしかいないの草なんよ

:何言ってんだ、キングはタンクだろ?

:いや、トールは今日の見てる限り余計なことしかしねーから要らないし


『俺っちを外すとなると食材のデリバリーが絶望的になるっすけど良いんすか?』

『転送陣ならアタシも持ってるよ』

『俺もだな』


<コメント>

:草

:まぁ人体転送なんてマジックポーチの完全上位互換だしな。

:キングはともかく、アメリアちゃんは現役米国首相のお孫さんだしお金もある

:マネーパワーでのゴリ押しができる相手に渡ったのが運の尽きだったな


「いやいやいや、うちとトールの提携の今後を勝手に決めないでくれないか? 性格はともかく、こいつには世話になってるんだ。催促がエグいがな」

『そうっすよね、ボマーは俺の味方っすよね?』

「まぁ今回は少し思うところがあるので取引を縮小しようかなとは思ってるが」

『!!』


<コメント>

:トール追い込まれて草

:あれ、今ボス戦じゃなかったっけ?

:先輩の武器がボスキラーにも程があるので楽勝ペース

:ヒドラならキングとアメリアちゃんにボッコボコされてるで

:イキリが過ぎた結果

:今ならいくらでも先輩に融資したいって吾人が名乗り出るからな

:先輩、こう見えて米国の学会で博士号貰ってるから

:本人がそれを想わせないほど破天荒な性格してるのに目を瞑れば

:ざまあ!

:悪は滅びた

:一般人を悪にするほど凶悪な魅力を持つ武器を作る先輩が悪い

:アイテムも総じてオーパーツ行きだろこれ


今回は僕たちのネコさんチームの勝利でいいか、と思ったところで伏兵が現れた。ウサギさんチームのウサギ博士だ。


「何を終わったつもりでいるんじゃ、お前さん方。私達の出番はまだ残っておるぞ。戦闘終了、疲れた肉体を癒す簡易お風呂セットじゃ。一瞬で血を抜き取ってくれるマッハ洗濯機もつけておくぞ。柔軟剤入りじゃ!」


<コメント>

:ガタッ

:ガタッ

:ガタッ

:ガタッ

:ガタッ

:ガタッ

:ガタッ、ズルッ、ドンガラガッシャーン!

:おい誰か一人転んだぞ

:いつもの


『うわー、これすごい助かる。返り血浴びて帰るのしんどかったんだー』


<コメント>

:ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク

:ヒュー、アメリアちゃんの一番出汁だぜ

:↑通報しました

:↑↑通報しました

:なんでフィルター薄いの!?

:アメリアガチ恋勢憤怒

:そいつらは総じてフィルター抜けられないんだよなぁ


「後輩はそこらへんゆるゆるだから」


<コメント>

:二番風呂に野郎が入るだって!?

:ペッ、野郎の裸なんて見たくないな

:イケオジの裸が見られる? 神回か!

:後輩ちゃん、一生ついていきます!

:退きなさい男ども、<◯><◯> トール様のご身体よ!!!

:このチャンネルのリスナー、変態が多いな

フランソワ:ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク

:変態大国日本だし

:↑↑お嬢様、いけませんお嬢様ーー!?

:翻訳されてるからわからないだけで普通に海外ニキネキもいるぞ

:日本語通訳同時なの草なんだ

:日本人向けなだけで、先輩達も海外勢だから

:ああ、国籍米国にしたんだっけ?

:国のトップが自分たちの立身出世しか考えてないから逃すのよ


『戦闘には全く役に立たないけど、普通に便利。常用したいから50点』

『俺には必要ないな。10点』

『なーんか出た後に気持ち悪い視線を感じたので0点で』

「よーし、三回戦は僕たちの勝利だな! 後輩、罰ゲームの内容は?」

「はい。グッズ販売コーナーを増設して今回登場したアイテムの説明などをしていただきます。その際、こちらで用意したキャラを公認キャラクターとしてグッズ販売する許可をさせてもらいます。ハンカチとかキーホルダーとかですね」

「あれ、それだけ?」

「はい、それだけですよ?」


あれ? じゃあさっきの煽りはなんだったんだ。

抱き枕とか、着せ替えフィギュアとか。

ドリィちゃんとは一蓮托生じゃなかったのか?

あれー?


<コメント>

:もしかしなくても用意されてたフィギュアとか抱き枕って……

:先輩のだけって……コト?

:勝っても負けても先輩が損する仕掛けとか……

:草

:後輩ちゃんブレねぇな!


「なおこの配信はアーカイブ化されませんので、切り抜き勢に期待ですね!」

「まぁ、それが賢明だろうね。トールの悪い面とかフランソワさんの奇行もバッチリ写っちゃってるし」


<コメント>

:お嬢様はトールガチ勢だから

:きっと槍もトールとおそろいのが欲しいだけだぞ☆

フランソワ:そうしていただけると助かりますわ

リローデッド:お嬢、なんであんな男が好きなんだ?

ガイウス:あいつはやめておけ

:同期のガイウスが引き止めにかかるの草

:まぁ今回の勝負見てたらヘイトしか稼いでないしな

:成金の思考そのものだったからな

フランソワ:強いて言うならば顔でしょうか? もちろん野心家であるところや、有言実行するところとかも好きです

:結局男は顔www

:女も顔だから平等だろ

:見た目の印象は最後まで付きまとうから

:先輩とかな

:それwww


「お前ら、僕をいじらないといけない病気にでもかかってんのか! 気分悪い! 今日はここでおしまい! じゃーな!」


<コメント>

:ほら、先輩拗ねちゃった

:かわいい

:かわいい

:かわいい


強制的に配信終了後、後輩が何やら作業をしてるので横から見たら、どう考えてもウサギさんチームだけでは済まない規模のグッズ展開をしているようだった。

その中には配信中に発表したアイテムに限らず、各キャラクターの2Dキャラの商品展開がされていた。


僕のやつだけ数がやたら多いのは気のせいか?


「なぁ後輩」

「なんです先輩?」

「僕達点数勝負に勝ったよな?」

「ええ、手に汗握る名勝負でしたよね」


会話場は特に問題はない。

だと言うのにピックアップされていく商品数がどんどん増加する。

その中には僕のキャラがあられもない格好で寝転がる抱き枕や、いつ寸法を図ったのか問い詰めたくなるほど作り込まれたフィギュアが並ぶ。

明らかに他のキャラより多いのだ。


「それは罰ゲーム用のアイテムじゃないのか?」

「え、私そんなこと言いましたっけ」

「言ったような言ってないような……あれ?」


言ったっけ?

確かにアップを始めてしまうかー? とは聞いた。

けどそれが罰ゲームのアイテムだとは聞いてないな、うん。


「これは私の趣味で作ったアイテムですが、もちろん非売品です」

「じゃあなんでそれを載せてるんだよ! 恥ずかしいじゃないか、僕が!」

「ぬっふっふ。その顔だけでご飯三杯いけます〜」

「この変態め〜」


グルグリとこめかみをえぐる。

非力な僕が彼女にダメージを与えるには急所を打つしかないのだ。


「いたたたたた〜やめ、やめてくださー」

「やーだーねー。これを消すまでやめないからな!」

「それだけは絶対に死守します!」

「公の場所で出すなっつってんの!」

「公の場所じゃなきゃいいって事ですか?」

「心のうちに秘めとけ!」

「はーい」


そっけない返事。

これは反省してないな。

あとで懲らしめてやらなければ。

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