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第10話

 小屋の電灯の下で、黒燈は、ココルの傷を治していた。

 犯人はわかっている。

 氷珂だ。

 問題は、ここが彼に割れていないかどうかだった。

 「まー、割れてもどうせ、あと十日といったところだけどねぇ」

 彼女は自分の考えに対して独白した。

 ココルの意識はまだ目覚めない。

 この怪我のせいで、時間が早まるなどということはない。

 だが、精神的な疲れはあるだろう。

 黒燈は、浮遊ディスプレイを広げ、ニュースをかけた。

 再び街が一つ、半ば廃墟になったと、どのチャンネルでも大騒ぎになっていた。

 「あーあ……」

 理由はわかっているが、彼女にできることは何もない。

 ただ、ため息をつくばかりだった。

 「……また、廃墟?」 

 アナウンサーの台詞に反応して、意識を取り戻したココルは、なんとか椅子に座った。

 「行く気? まだ全壊してないみたいよ?」

 「わかってる。でも、あたしは行かないといけないんだよ、黒燈」

 「だよねぇ……」

 仕方ないものだと頭を振りながら、黒燈は納得する。

 「あたしも行こうかな」

 「あんたはちがうでしょ?」

 「そうだけども。この前みたいなことがあったら困るし」

 「何もできないじゃない、お互い」

 「そうだけど」

 黒燈は困った様子で考えていた。

 「護衛でもつける?」

 「護衛?」

 ココルが訊き返す。

 「うん。いま、依頼してみるね」

 「そんなに凄い人なの?」

 「業界じゃ有名らしいね」

 「じゃあ、任せる」

 「はいよー」



 「ジュードローカ、依頼がきてるよー」

 朝、歯を磨いている彼に、リビングから楓李が声を投げかける。

 返事の代わりに唸っておいて、口をゆすぐ。

 浮遊ディスプレイを開いている楓李が座ってソファの隣に来る。

 「どんな依頼?」

 「なんか、護衛らしい。それも、詫護(たご)市で」

ちょうどニュースで軍事衛星からの攻撃で、半壊状態にあると言われている街だった。

 なんでも、生き残ったサイロイドが暴徒化し、街を支配しているマフィア組織が壊滅させられたらしい。

 そんなところに行きたいなど、どんな神経をしているのか。

 ジュードローカには、全く理解できなかった。

 「なんか、女性サイロイドの二人組で、報酬は規定より多めに出すってさ」

 楓李が言うが、ジュードローカには抱えている重大な仕事が残っている。

 芽羽凪だ。

 だが、どこから手を付けるべきか、一向に思い当たらない。

 「……気分転換にでもいいか」

 危険地帯にはいるのに、ジュードローカは気楽そうに呟く。

 「よし、依頼は受けよう」

 彼は決めて、楓李に返事を送るように伝えた。

 「本気で?」

 さすがに楓李は驚いたようだった。

 「危険すぎない、これ」

 「おまえらがいれば、問題はないさ」

 空名はいつも通りに、窓の脇で座っていた。

 「……ちょっと、人をあてにしないでほしいな」

 考えるように楓李が苦言を呈した。

 「今回、衛星から攻撃を受けたのが、昨日の午後十時二十五分。今まで衛星から狙われた都市は、四か所あるけど、すべて全壊してるんだよ?」

 「それで?」

 ジュードローカの鈍さに、楓李は逆に笑った。

 「だからね、第二撃がいつ来るかわからないって言ってるの。どの軍事衛星がやったかは分からないけど、半壊程度で満足するとは思えないんだよ?」

 「依頼者は、なんでそんなところに行きたがってるんだろうねぇ」

 「いや、依頼者とか……まぁそうだけどさぁ。訊いてみる?」

 「ああ、そうしてくれ」

 楓李はさっそく追加の通信分を入れた。

 返事はすぐに来た。

 自分たちは民間の土地開発業者の者で、焼け野原となった土地に興味があるという。

 内容を楓李が音読すると、ジュードローカは頷いた。

 「なるほど。いいんじゃないのか?」

 「でも、まだ、焼け野原じゃないよ?さっき言ったように、次がある可能性が高い」

 「次が来る前にさっさと済ませてしまえばいい」

 「随分とやる気になってるね?」

 不思議そうに楓李が尋ねる。

 「リー会長に、芽羽凪の件に関しての理由が欲しいから」

 「あー、なるほどねー」

 合点が行ったという風な楓李だった。

 詫護市は、壬酉市と姉妹都市だった。芽羽凪を隠すとしたら、絶好の街だ。

 実際は事務所兼自宅に住まわせていたのだが。

 ただ、さらに消えた二体のサイロイドの芽羽凪がいる。

 「でもサーエンミラーの依頼も残ってるよ?」

 「あれは時間がかかる。というか楓李、まかせるわ」

 ジュードローカは、遠慮なく頼み込んだ。

 「わかった。まかせて……。あー、凄い情報見っけたよ、ジュードローカ!」

 デッキを操作していた楓李の唐突な大声だった。

 「なんだよ、横にいるんだからそんな大声出さなくとも……」

 「詫護市に、トリッキー・ハットがいる跡がある!」

 「なんだと?」

 トリッキー・ハットといえば、氷珂だった。

 彼がいるならば、避けて通るわけにはいかない。

 「氷珂か。また俺の前に姿を現すとは、一体どういうことだ?」

 「ジュードローカが彼の前に現れたんでしょ?」

 楓李が間違いを訂正する。

 言われてみれば、そうなる。

 納得したジュードローカは、詫護市まで行く準備をするように二人に言った。



 黒燈とココルとは、壬酉市に近い詫護市までの街道で待ち合わせた。

 ココルはわかるが、黒燈は確実にまだ少女のサイロイドだ。職に就くには早すぎる。

 サイロイドも成長するのだ。

 だからといって、なにか指摘するジュードローカではない。警戒心が薄いと、楓李に携帯通信機の文字で怒られたが、彼は気にしない。

 「あら、可愛い子とお姉さんじゃない!」

 改めて楓李は二人を見ると、感想を正直に口にした。

 「あなたこそ、可愛いわよ。ねぇ、名前何て言うの? あたしの方が黒燈」

 「あたしは楓李」

 キャッキャいいながら、二人は褒め合う。

 「よろしく、楓李。これからなんか、怖いところ行かなきゃならないから」

 言って、黒燈はココルに目をやる。

 「いやぁ、結構面白いかもよー?」

 ココルという娘の能天気さは、ジュードローカを超えるようだ。

 「どういう神経してんだか……」

 黒燈のつぶやきに楓李は小さく笑う。

 すっかり警戒心が取れたらしい。

 彼らはジュードローカのホンダに乗り、改めて出発した。

 バックミラーで見ると、もうすでに楓李と黒燈は意気投合していた。

 ココルも隣でそれを微笑ましく眺めている。

 彼女はジュードローカの視線に気づいて、ウィンクした。彼はニヤリとして頷いた。

 ホンダは時折、不機嫌な唸りを上げながらも、二時間のドライブを無事完走した。

 詫護市は、まさに破壊されていた。

 半壊したビル、吹き飛んだマンション、瓦礫の山となった道路。

 それらは一様に焦げ付いていた。

 「おお、珍しい。まだ形が残っている!」

 ココルが陽気に言って、崩れ落ちた建物の傍に駆け寄る。

 何が楽しいのか、携帯通信機のカメラ機能で、崩壊した建築物と一緒に満面の笑みで写真を撮る。

 車の中で落ち着いていた様子から、一変して足取りも軽く陽気になっていた。

 「何やってんだ、あれ?」

 ジュードローカは、彼女の雰囲気に半ば理解できないとでもいうように呟いた。

 「ただの趣味よ」

 黒燈は律義にそれに答える。

 「趣味ねぇ……」

 放っておけば、どんどんと一人で奥に入っていくため、彼らはココルから離れないように追った。

 暫く、ココルの撮影に付き合っていると、都市の中心部から近い地点まで来ていた。

 影が動く。

 それを見逃さなかったココルは、歓声を上げた。

 「生き残りっ!」

 彼女は急に駆け出す。

 それより先に、空名が追い抜いて行った。

 左手に持った鞘の柄に右手を添えて。

 影が止まった。

 その姿は焼けただれ、表面も崩れて、もはや人間の形をしただけといっていい、サイロイドだった。

 その周りに五体は、同じような者が集まっている。

 「貴様ら、何しに来た……!」

 憎悪の塊のような視線と口調で、サイロイドの一人が言う。

 「え、あ、えーと……」

 足を止めたココルは、困惑気に一歩さがった。

 彼女の前面で空名が立ち止まる。

 サイロイド達は一斉に、二人に襲い掛かった。

 空名はこちらに向かってくるサイロイドたちに向かって走りだした。

 間合いまでくると、鞘から刀を抜きざま、横薙ぎに一体のサイロイドの首を斬り飛ばす。

 重心が後ろに来たのを利用して、さらにやや下段から次の相手の胴体に刀を振る。

 相手は、上下真っ二つにされて、倒れた。

 さらに跳ぶと、一体のサイロイドの喉に切っ先を突き貫いた。

 一瞬で、三人もやられた残りのサイロイドは、怯えて別方向に逃げ去った。

 「あ、ありがとうね」

 まだ動揺しているのか、ココルは硬い笑顔で空名に礼をのべた。

 刀を鞘に戻すと空名は、軽く手を上げただけで返答する。

 「まー、これは事故だわなぁ……」

 ジュードローカは、斬られたサイロイドを見下ろしていた。

 サイロイドにも人権というものがこの島にはあるのだ。

 特にうるさいのが、興明会だ。

 「完全なね。正当防衛よ」

 楓李が慰めるような口調で、断定した。

 「ほら、ココル。まだ危ないでしょ?」

 たしなめる黒燈に、ココルは反省の色もなく、死んだサイロイドを写す。

 「危ないったって、ジュードローカさんたちがいるし」

 ココルは目で、彼に合図を送る。

 「まー、やれるだけのことはしますよ」

 ジュードローカも危機感無く、のんびりしている様子だった。

 「……なんか、頼りになるのか不安になるべきか迷うなぁ」

 彼を見た黒燈は呟く。

 「俺がいる」

 戻ってきた空名が短くそれに答えた。

 「まぁ、あなたがいるなら心強いけど」

 黒燈は空名に言ったが、相手はもう関心がないといった様子だった。

 彼らは、また移動するココルについて行った。

 「待って……」

 楓李が言った。」

 写真を撮る瞬間だった。その反対側で、小さな破片が焼けたコンクリートの壁の上から、落ちて来る。

 「久しぶりね」

 光球を回転させて、五十口径二十・三センチ連装砲を二つ肩から離れた横に浮遊させ、

二十五ミリ機銃を腰の下に添えた、リーンカーミラが座っているのだった。

 ライト・装備だったので、何も用意していないジュードローカ達は匕首を喉に突きつけられているのと、一緒だ。

 早速一番奥に隠れていた楓李が、具現化した光球に干渉する。

 うまくいけば消滅までもっていけるはずだが、リーンカーミラの支配権が強く、中々にてこずっていた。

 集団から一人、いつの間にか空名は離れた場所にいた。 

 「よぉ、リーンカーミラ。何か用か?」

 呑気な様子で、ジュードローカが声を掛ける。

 「用があるのは、あたしじゃないよ」

 クスクスと笑う。

 悪意のこもった声は、瓦礫の風景に響いた。

 「あんたがジュードローカか……」

 ズートスーツにコーンロウの頭髪をした青年が、壁の一つから出てくる。その視線は鋭く、殺意に満ちていた。

 体にいくつもの光球を旋回させている。

 「どちらさん?」

 答えを聞く前に、ジュードローカはベルトにぶら下げていた光球の連なりの紐を、指で切った。

 すぐにハニカム防弾装甲が彼らの前に連なり、頭上に二十五センチ連装機銃が二基現れる。

 「さて、誰かな。名乗るほどのものでもないさ」

 ジュードローカのライト・エグディスティングを前にして、余裕ぶった口調だった。

 「教えてやるよ」

 横から、リーンカーミラが言ってきた。

 「そいつの名前は、八祐理氷珂。ちまたじゃ、トリッキー・ハットで通っている」

 「あの殺人鬼か……!?」

 呟いたジュードローカに、氷珂は舌打ちした。

 余計な情報を与えられと、あとあと困ったことになる。

 大体、殺人鬼というものはだれがそうかとわからない段階で、活動できるものだ。

 それが、表立って出てきてしまったら、意味がない。

 「俺の事なんか関係ない。それより、芽羽凪の居場所を知りたくないか?」

 頬を吊り上げながら、氷珂は言う。その名前に、彼らが明らかに動揺した。

 「貴様、芽羽凪をどうした!?」

 ジュードローカが大声を上げる。

 「さーてなぁ」

 氷珂は口だけで、ジュードローカからのむやみな攻撃を阻止していた。

 だが、空名だけは違った。

 彼は氷珂がジュードローカに向かってしゃべっていた隙に跳ぶように近づき、抜き打ちの一太刀をあたえようとした。

 光球の一つを刀とした氷珂は、間一髪で、その一撃を受け止めた。

 重なった刃を倒した空名は、そのまま刀を柄近くまで滑らせて、氷珂の首に横から振り込む。

 のけぞって逸らしたが、重心が後ろに回った分の勢いで、胸に向かって突きを繰り出された。

 半身になって、そのまま空名の首を叩き斬ろうとするが、少年はそのまま素早く通り抜けて、距離を取った。

 「待て、空名! そいつを殺るのは、芽羽凪の話を聞いてからだ!」

 ジュードローカが叫ぶ。

 空名は、頷きもせずに、刀を鞘に戻した。

 「……見た目に寄らず、やるじゃないか」

 言ったのは、リーンカーミラだった。それも相手は楓李だ。

 光球の一つ、左の三連砲塔がモザイク状になっていたからだった。

 「あんたこそ、随分なものね」

 落ち着いて楓李は、ニヤリと笑った。

 全力でライト・エグディスティングを解除しようとしているが、漸く、ここまでできたのだった。彼女の腕は悪くない。それどころか、一級品だ。なのに、光球一つで手間取っていた。

 リーンカーミラの支配権が尋常ではないのだ。

 「なんか面白くないなぁ」

 彼女は言った。

 「いい事おしえてやろうか、ジュードローカ」

 氷珂に目をやりつつ、ジュードローカはリーンカミラの声に意識を向けた。

 「おまえのところに行った芽羽凪は、偽物だ。ただの孤児で、マトリアスとは全く関係がない」

 「なんだと!?」

 ジュードローカは思わず、声を上げる。

 「本物は行方不明の二体のサイロイドのウチの一体だ。いや、二体と言った方がいいか」

 「どういうことだ?」

 「二体で一体なんだよ。中身半分づつ。それも、陰と陽、女と男だ。さらに言えば、女の方はサイロイドじゃない。そして、最初の出所不明の女の子は、そこの氷珂のところにいた」

 「いた?」

 過去形なのが気になった。

 何しろ相手は殺人鬼だ。

 基本、殺人鬼は自分より弱いものを獲物にする。

 あの子なら、丁度良いのではないか。

 二体で一体という話も驚いたが、ジュードローカは芽羽凪と名乗った少女のほうが気になった。

 彼は改めて氷珂に集中した。

 そこの頃にはもう、氷珂はライト・エグディスティングを装備していた。

 四十五口径三十六ミリ連装砲を、上部と左右、やや離れたところに三基。後方にはミサイル垂直発射装置(VLS)。レーダー装置。前面には、ハニカム装甲の盾。

 「まー、あのガキは、鬱陶しいといえば鬱陶しかったなぁ」

 氷珂が頬を吊り上げる。

 「貴様、殺したのか!?」

 ジュードローカの言葉に氷珂は何の反応もしなかった。

 彼は、前面のジュードローカより、リーンカーミラの反対側にいる空名のほうを警戒しているのがわかった。

 その隙に、ジュードローカも光球を変化させる。

 ミサイル垂直発射装置(VLS)を二基後方に、上部には、ハニカム装甲の合間から、四十五口径三十鹿ミリ砲を並べた部分を、左右に展開した。

 そして、六十一ミリ魚雷発射管を八基、サイドに置く。

 楓李は、ターゲットを替えて忙し気に浮遊ディスプレイに向かう。

 なんとか氷珂のライト・エグディスティングを分解しようとしていた。

 すでに黒燈とココルも一緒に邪魔にならないよう、三人はジュードローカ達から見えないところまで避難している。

 ジュードローカが走った。

 回り込むように、氷珂も駆ける。

 砲のために距離を取るのと、狙いを定めさせないようにするためだ。

 リーンカーミラは、その様子を楽し気に見下ろしている。

 互いに、周るように、百メートル近く離れたか。

 もちろん、空名も移動しているのだろうが、姿が見えない。

 まず、氷珂の三連装四十五口径が、放たれた。

 ジュードローカの近くの瓦礫が吹き飛び、爆発する。

 彼は、冷静に狙いをつけているのか、まだ攻撃をしてこない。

 その間に、氷珂の砲撃が続く。

 楓李からハッキングを受けているが、どうにか対処できていた。

 彼が、ジュードローカに集中している時、左脇から突然、刀を上段に上げた空名が、飛びだしてきた。

 刀は、四十五口径砲塔の砲身を、竹のように、斬り落とした。

 「クソガキ!?」

 氷珂は驚きとともに、激怒した。

 右の砲塔を旋回させて、空名を狙い、砲撃する。

 だが、巨大な装置の鈍重さは、燕並みに早い空名にあっさりと避けられた。

 そこに、ジュードローカが連続で砲撃してきた。

 一発目が足元に落ちたせいで、爆風に氷珂の身体は後方に飛ばされる。

 空名の姿はすでに見えない。

 さらに砲撃は続き、ハニカム装甲が粉砕される。

 氷珂は垂直発射装置で、ミサイルを六基、ジュードローカに放った。

 だが、ミサイルは途中で迷走し、次々と自爆していった。

 楓李が干渉したのだった。

 代わりに、ジュードローカのミサイルが四基、放たれてくる。

 レーダーを放つと、迷走して、なんとか自滅した。

 「ジュードローカよ!」

 氷珂は、己が劣勢であることを自覚して、相手に呼びかけた。

 「見せてやる。本気の俺の力を!」

 「ジュードローカ、そこから離れて中心部から離れるように移動し続けて!」

 楓李が叫ぶ。

 ジュードローカは言われた通りに走った。

 氷珂が両手を広げる。

 楓李の浮遊ディスプレイが、歪んだ。

 とたん、頭上から一条の光が唐突に立ったかと思うと、詫護市の真ん中で大爆発が起きた。

 爆風は、彼らのところまで届き、塵や埃があたり一面に漂う。

 煙の中、何が起こったかわからないジュードローカだった。

 視界が無くなったので、レーダーで氷珂を探すが、リーンカーミラとともに、その姿は捕えられなかった。


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