手を取り合い行ってしまった2人は、どこまで来たのか?
「そこ気をつけて」
遊歩道と並行するように小川が流れている。近道しようと、暗い斜面をスマホのライトで足元を照らしながら降りていく。
「きゃッ」
足を滑らすミレイユに、つられて一緒によろけるシオリ。
支え合いながら沢の
遊歩道の電灯が草木から漏れてキラキラしていた。
「はぁ、疲れた。ズルするもんじゃないね」笑
「うふふ、でも楽しかった♥️」
「ミレイユ、大丈夫だった?」
「ええ平気よ! でもちょっと足首痛くしたかも」
「え〜、それ平気じゃないじゃん、あれ、みんなはどこだろ?」
酔っ払っている為、よく分かりませーん
よろけながらも誰かを探しに戻ろうとするシオリだが、ミレイユは服の裾を掴んで座らせた。
「いいの、志織、少し座ってたら良くなるわ」
「そう?」
薄暗い小川のせせらぎを聴きながら、蛍を探すともなく、思い出話しに花を咲かす。
「そうそう、そんな事あったよね〜。ガキだなぁ アハハ」
「ねえ...、志織。もしあなたが転校しなかったら...、もしも私たちが もっとずっと一緒に居られたら...」
「あのころね、懐かしいね」
高校時代の2人は少し微妙な友達以上の関係だった。
多感な年頃故にそれを恋とか愛とか思いがちな、志織にとっては その形がまだよく分からないまま、恋愛に少しの憧れと触れ合いには大いに興味があって冒険心が先走るそんな少女時代。
今思えば、恋愛なんかとは程遠いものだったと分かる。
だがミレイユの方は、その当時 男に振られた後でもあり、 シオリに癒しを求めていた時期だった。
「私、凄く志織のこと」
「えー、なんだろ?すごく嫌ってたとかじゃないといいけど」あははは
自分で言って大笑いする志織
「そんなわけないわ、好きだった、凄く好きだったのに...」
「のに?のに今は嫌いってこと?」
「ちがうわ、今も、もの凄く好き❤」
「そうなの?ミレイユ、前そんなこと言ってなかったと思うけどなぁ、私の事、そんなに好きだって」
二人は見つめ合う
「そんなこと、言えるわけないわ💦 」
恥ずかしそうに下を向くミレイユ
「言ってくれなきゃ、分かるわけないよ」
覗き込む志織
「そうだけど、私、んん」
志織はミレイユの口唇をあっさり奪って、そのまま押し倒した。
ミレイユはもう待ってましたと嬉しそうに抱きつく。
草や土と混じり合いながら、そんな事はお構い無しで夢中になって互いの口唇を貪るシオリとミレイユ
酔っ払っていることも相まり、たかがキスでも異常に興奮した2人は どちらの舌も相手を求めて うねうねと口の中をさまよい合う。
「うんん」
「シオリ、大好きよ」
しかし、ここでこれ以上おっぱじめる訳にはいかない。
志織の唇に激しく吸いつくミレイユをなんとか引き剥がす
「ミレイユ、待って、それ以上ここでは💦」
「あ、あん、そうね、ごめんなさい。私、夢中になりすぎて、でももう少し、あなたとキスしたいわ 」
「んん、それはいいけど」
2人はまた吸盤のように吸いつきあって、身体をピッタリとくっつけるのだ。
~~~~
「 ねぇ、あそこになんか光が…。蛍じゃないか、あっ…💦 」
小川を見下ろすクレインが、スマホの光の中、重なり合う2人の影を見みつけた。
ハッとなって後ずさる。
「どうした?」
レイラが、後ろから声をかけて近づく。
「いや、」
「沢に降りるのは、どうもあっちらしい」
「あ、ああ...💦」
「いかないのか?」
「いや、なんか大きなカエルがいたから...。気色悪いから向こうへ行ってみないか?」
慌てて反対のほうにレイラを誘うクレイン
「ふっ、カエルが苦手とはな」
「ちがう、普通のカエルじゃないんだ、なんかこう…、デカいやつ💧」
大きな2匹のカエルは、今も周りを気にせず執拗に重なり合っている
「ああ、ウシガエルか?」
「もう、そんなこと。どうでもいいだろう」
「なにをイラついてる?」
「別に、そうじゃなくてっっ」
「?...。やつが気になるなら、車に戻ればいい、ゆっくり話してこい 」
レイラはクールな表情でクレインを見る
彼女がずっとルフィーに片思いしてきたことを知っているからだ。
「ちがう!! 私はっ、あなたといる時間が本当に大切だから」
(でもミレイユのあんな姿、貴方は見たくないだろうと思って...)
未だにこだわっているのは私だけか?
「クレイン...」
レイラもまたずっと昔からミレイユに思いを寄せていた。
多分、今でも誰よりも背中を任せられる相手として唯一無二の存在だろう。
「さぁ、もういこう」
だが2人はそれと知りつつ結ばれた。
始まりは傷の舐め合いでも、いつしか無くてはならない存在になった。
「...。本当によかったのか、今回の移住のこと、後悔してない?」
じっとクレインを見つめるレイラ
「ええ、もちろん!ブラッセルにはもう二度と戻らない。ずっとあなたの
そう言ってレイラに抱きつくクレイン。
人に見せるクールなうわべとは裏腹に、その内側には
~~~~
駐車場では、なんだかんだと怖い話しで盛り上がるカンナとルフィー
「マジかよww それで本当にいたのか?」
「そう! なんと、そこにはくっきり2つの足跡がついていたんだって!」
意外と楽しいカンナとの時間を満喫するルフィー。
表情豊かに語るカンナの笑顔も、まんざらでもないと思えてくる
「すげー🤣こえー」
「怖すぎでしょー」
そこへ、チロチロと小さな光の粒が目の前を通り過ぎたような気がして、今の見た?と二人は顔を見合わせる。
駐車場にも蛍がいたのか?
それともずーちょんじじいの登場か!
「蛍かな?」
「こんなとこに?」
ここでホタルが見れるなら、あの4人はなんのために一生懸命、蛍の宴まで行ったのか?
「火の玉かもよ〜」
「火の玉? ハハハ、ちっさ」
ルフィーは鼻で笑う
「虫の魂かもしんないじゃん」
「あー虫のな」笑
面白いやつと笑うルフィー
ふざけながら車を降りて、2人は光りが飛んでいた方に歩いてみるが蛍はいない。
ずーちょんじじいも現れない。
「気のせいじゃね?」
「そーだね、こんなとこに居たら、わざわざ小川まで行く必要ないしね」
ちょっと期待したせいか、ガッカリ感に溢れているカンナの横顔。
「やっぱオレらも見に行く?」
「え❤」
(何?あたしを気遣ってる?)
あの憎たらしい態度しか取らなかったルフィーが?とカンナの瞳は輝いている
「せっかく来たんだしよ」
「んー、まあ。あんたがどーしてもって言うんなら?」⸝⸝> ̫ <⸝⸝ᐡ♡
「んだよ、俺とじゃ嫌なのかよ」笑
ルフィーは素早く腕を回して、首をしめるかのように抱き寄せる。小柄なカンナはすっぽりハマってちょうどよい。
わざとひねた感じも、意外とカンに障らない。もうひと押ししてやろうかという気にさせるのはカンナの魅力か。
「あははっ!まあ…/// ずーちょんじじいを見るより蛍のほうがいいよね❤」
「🤣 それな🎶 」
そしてじゃれ合いながらルフィーとカンナは小川の近くまで向かう。
すると先の4人と合流した。
なぜかふた組とも蛍は見つからなかったと言う。
「ふーん😏」
いったい何をしていたのか?
きっと別のことに夢中になっていたに違いない...とカンナは思う。
結局、誰も蛍を見ることも無く、最終のフェリーに乗って、島に帰った。