そんな感じでいろいろあったけど、私と沢田くんは目一杯楽しんだ遊園地を後にして家に帰ることにした。
「楽しかったね、沢田くん」
「……うん【ああ〜〜まさか観覧車で爆睡してしまうとは! 恥ずかしかったな〜!!(>_<)マジで夢オチかと思ったよ】
駅に向かって歩く二つの影が、私たちの前に並んで伸びている。
幸せのロスタイムだ。
【それにしても、いい夢だったな……。佐藤さんが俺のこと大好きだって……:;(∩´﹏`∩);: あああ、ごめんなさい佐藤さん。都合のいい夢を見ちゃってごめんなさい! いくら何でも大好きは言い過ぎだろ……。観覧車で二人きりになったくらいで気絶するような大バカやろうだよ? 佐藤さんだってもうすっかり呆れちゃってるよな、きっと……】
沢田くんは私の告白を自分の夢だと思い込んでいるようだ。
ちょっぴり残念。だけど、告白はまだ沢田くんには刺激が強いみたいだし、これでいいんだと思うことにした。
一日中二人きりでデートできただけでも私は大満足だ。
「また来たいね、遊園地」
「う……【えっ! 佐藤さん、こんなに失態だらけだった俺とまた遊園地に来たいと言ってくれるなんて天使すぎか! ありがたすぎて泣いちゃう。゚(゚´ω`゚)゚。】うん」
沢田くんがそっと私の横顔を見つめる気配がした。
【本当にまた佐藤さんとデートがしたいな……】
きゃああああ!! 嬉しいよ、沢田くん〜〜!!
飛び跳ねて喜びたくなったけど、私は聞こえていないフリをして前を向いていた。
【でも、どうやって誘ったらいいのか分かんない……。佐藤さんが行きたいところならどこでもいいんだけどな】
私も、沢田くんと一緒ならどこでも行きたいよ。
もどかしい気持ちをお互いに言い出せないまま、視線を外したまま、駅に着いた。
「えっと……私こっちなんだけど、沢田くんは?」
「俺も【途中まで一緒】」
きっぷの券売機の前で、二人で横並びになる。
どうしよう。これでバイバイなんて、寂しいな──。
せめて次の約束をしてから帰りたい。
そう思った時、私は券売機の真横の壁にでっかく貼られたポスターの存在に気がついた。
綺麗な夜景に大輪の花火が彩りを添えているポスターだ。
そこには『
「花火か……。いいなあ、行ってみたい」
私が何気なく呟いたと同時に、沢田くんが心の中で呟くのが聞こえた。
【いいなあ。俺も行ってみたい(´・ω・`)】
思わず見上げると、沢田くんも私を丸い目で見つめていた。
「あ……」
「ええと……」
不思議な偶然というものは本当に存在する。
もうすぐ夏だったり、駅にデートスポットとしてちょうどいいポスターが貼られていたり、それをたまたま二人で見つけてしまったり。
こういうのを運命と言ってしまっていいのかもしれない。
「沢田くん」
「佐藤さん」
ほらね、タイミングまでバッチリだ。
「一緒に行く?」
「一緒に……【行く〜〜〜ヽ(;▽;)ノ!!】」
ポスターに書かれていた日付は今から約一ヶ月後。
楽しみな予定がまた更新された。
《第三章 夢の遊園地デート編 完》