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第23話 仮面舞踏会

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 玉座の間にて沢山の国王直血貴族に囲まれ玉座にはシャルフィム国王陛下が座る中で赤獅子公レオパルド・レヴァンテンと妻のアリアは護衛十二騎士の一角に迎えられた。

 迎えられた後は護衛十二騎士全員が馬車に乗り国中を走り回る。

 護衛十二騎士の威厳を国民に知らしめる為だ。

『ーーーーーーーーレオパルド様!!』

 歓声が巻き起こり民衆はレヴァンテン夫妻に手を振る。

 こうしてレヴァンテン家は護衛十二騎士として王都中に知れ渡り誰もが知る貴族となった。

「驚きね……まさか新しい仮面粛清騎士を迎える事になるなんて……」

「てっきりレオパルド卿も断罪の仮面の様に仮面貴族マスカレイドを兼任するものだと思っていましたわ」

 同時刻に影の間で仮面粛清騎士が呟く。

 影の間は仮面貴族専用の社交場あり玉座の間の様な華やかさは微塵もない。

 簡素な作りの大広間には沢山の仮面貴族マスカレイドが集まっていた。

「しかし断罪の仮面が殺されたと聞いた時は驚いたな………まさか彼が負けようとは……」

 そして沢山の仮面貴族マスカレイドを六人の仮面粛清騎士とその妻が壇上で見下ろしている。

 彼らは新しい仮面粛清騎士を今か今かと待っていた。

「準備が出来ましたお嬢様」 

 傍らに控えレオパルド卿特注の仮面を被る侍女メイドのクロエは頭を下げ言う。

 侍女メイドのクロエは此処までだ。

 影の間には俺とリゼッタしか入る事は許さない。

「いよいよ仮面貴族マスカレイドか」

「はい……リオベルさま」

 侍女のクロエと同様に俺とリゼッタも仮面を被り影の間の出入り口である大きな扉の前に立つ。 

 同時に彼女の手が震えている事に気が付いた。

「緊張しているのかリゼッタ?」

「……すみません」

 珍しくリゼッタは緊張している。

 影の間と其処に集う仮面貴族達の雰囲気にリゼッタは完全に飲まれていた。

「手を握るか?」

「えっ?」

「一緒だと怖くはないだろう?」

 俺はリゼッタの手を握り語り掛けた。

 同時にリゼッタは笑みを浮かべ頷く。

「はい……リオ」

 影の間の扉が開き彼女と共に入場して行く。

 そうして目の前には沢山の仮面貴族と壇上に立つ六人の仮面粛清騎士がいた。

「なるほど……この前の御前試合は今日の為の前夜祭と言う訳か……」

 目の前に立つ一人の仮面粛清騎士が呟き俺とリゼッタは壇上に上がる六人の仮面粛清騎士の前で跪く。

「今日より仮面粛清十二騎士となります『黒狼の仮面』と『硝子の仮面』です」

 仮面貴族マスカレイドは実名の代わりに仮面の二つ名で呼び合うのが礼儀ルールである。

 俺は『黒狼の仮面』と呼ばれリゼッタが『硝子の仮面』だ。

「どうぞ一つお見知りおきを……」

 挨拶を終えようとすると一瞬で一人の仮面粛清騎士が間合いを詰め大剣を振り上げ襲い掛かる。

“ーーーーーーーーーーーーッツ!!”

 その剣撃をいとも簡単に受け止めると俺は大剣を振り上げ襲い掛かった『旋風の仮面』に問いかける。

「これは何用で?」

「君の力を知らしめる為の通過儀礼さ」

「それで……いかがでしたか?」

「……合格だ」

 『旋風の仮面』の一撃は何かの力を計るような能力であったらしい。

「申し分ない『断罪の仮面』を殺しただけの事はある」

「はじめまして『黒狼の仮面』そうして『硝子の仮面』我々は君達を歓迎する」

 檀上にあがる六人の仮面粛清騎士は誰もが何とも言えない覇気を発していた。 

 ひとたび戦場に出れば戦況をいとも簡単に変えうる兵器。

 それが彼ら六人の仮面粛清騎士であり彼らの妻を含める事で本当の国王護衛十二騎士が現れる。

 それが彼らでありその一角に今日から俺とリゼッタが加わったのだ。



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