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第31話【ギルド冒険譚:ギルド対抗戦 Ⅰ】

 ーー数日後ーー


「ついにギルド対抗戦の日だ!この日のためにLVあげてきたぜ!1vs1トーナメント優勝するぞ!」


 ヨイチがどれだけ楽しみにしていたのかがよくわかる。


「俺はトーナメントには出ないでおくよ。アストライアの時みたいに魔族とバレたら困るからな。観客席から応援させてもらうな」


「確かに一理あるわね、それなら仕方ないか。レオは私が優勝するところ見といてね!」


「いや、私です!アンデット達と必ず優勝します!」


「俺が優勝はもらう!」


 3人も思いの外楽しみにしていたそうだ。俺達はギルド対抗戦の会場の王都にあるコロシアムへと向かった。



「人多すぎだろ!何人居るんだこれ!」



「まぁ、初めての大型トーナメントだし皆集まるよね」



 ヨイチは人の多さに圧倒されていたがイザベラは冷静だった。



「それじゃ俺は観客席に向かうからな。必ず優勝してこいよ!」



 俺は皆を激励して観客席へと向かった。



「こちら観客席のチケットとなります。座席番号をお間違えないようご注意ください」



 俺は受付で座席番号のチケットを貰った。そのまま観客席へと向かう。



「えっとB-10は......あった!」



 俺は自分の座席に座る。座席からはフィールドがよく見える。これなら観戦しやすいだろう。



「あれ、レオくん!僕の隣の席がレオくんだなんて奇遇だね」



 横の席にエウロスがやってきた。どうやら隣の席らしい。



「あ、エウロス!トーナメントには出ないのか?」



「トーナメントはギルドメンバーの戦力確認のために観戦することにしたんだ!レオくんはどうして出ないの?」



 俺は返事に一瞬困った。だが黙ってても怪しいのですぐに答えた。



「ま、まぁそんな感じ?そんなことよりトーナメント楽しみだね!」


「そうだね!そろそろトーナメント表が発表されるはずだけど」



 その時司会からのアナウンスが流れる。



「みなさん大変長らくお待たせしました!トーナメント表の発表です!」



 司会のアナウンスと共にトーナメント表が発表される。



「予選はトーナメントはAコート、Bコート、Cコート、Dコートの4試合を同時に行います!」



 俺はトーナメント表を確認した。ヨイチがAコートの第3試合、ルナがBコートの第1試合、イザベラがCコート第4試合、アストライアがDコート第6試合だ。


予選はなるべく同じギルド同士で当たらないように配慮されているらしい。


「うわぁ、トーナメント表大きいねぇ!こんなトーナメント表初めて見たよ!」


「俺もだよ。誰が優勝するか楽しみだな」



 俺達が雑談していると、司会がフィールドに出て説明を始める。


「みなさんお待たせしました!これより第1回ギルド対抗戦1日目のトーナメントを開始致します!」



「わあぁああ!」



 歓声が巻き起こる。まるで会場全体が一体化しているようだった。



「それでは予選第一試合を始めます!」



「Bコートの女の子がうちのギルドの子なんだ!」



「そうなんだね!レオと同じギルドの子頑張れー!」



 ルナの対戦相手は大盾使い。所謂タンクだ。



「みんな来て!」



 ルナはアンデットを呼び出す。



「ほぉ......あの子ネクロマンサーなのか。あの難しい職業を選んだなんて癖の強い子なんだね」



「エウロスのギルドメンバーの試合はまだなの?」



「あぁ、今Cコートでやってるけどあの子は強いからそれよりもネクロマンサーの方が気になるよ!」



「そうなんだね」



 その瞬間司会が話し出す。



「おーっと!Cコート早速決着がつきました!勝者はセイクリッドオーダーギルドのアルです!」



「もう試合が終わったのか!?強すぎるだろ......」



 エウロスの言う通りアルはとても強かった。



「エウロスも大概だけどセイクリッドオーダーのメンバーは皆あんなに強いのか?」



「そんなことないよ!僕とアルが強いだけで他の子は普通よりちょっと強いくらいだよ!さ、Bコートの試合に集中しよう!」




 俺はルナの試合を集中して見始める。



「そんなアンデット俺の盾でぶっ壊してやるよ!」



 大盾使いは突進してくる。



「そうはさせません!魂の束縛!」



 ルナは大盾使いを拘束する。



「くそ!ネクロマンサー自体も戦えるのか!」



「あの盾使いネクロマンサーとの試合に戸惑ってるね。あのままいけば勝てそうだね」



 エウロスは冷静な判断をしている。その眼差しは真剣な眼差しだった。



「霊魂強化!召喚!スケルトンウィッチ!」



 ルナは畳み掛ける。この数日でスケルトンウィッチを仲間にしたようだ。



「へぇ......ネクロマンサーって色んなモンスターを召喚出来るんだね。ポテンシャルが高いね」



「ま、まぁルナは少し特別と言うか......」



「ん?なんか言った?」



「なんでもないよ!」


 ルナが称号持ちとバレても他のギルドに狙われても困る。今は言わない方が妥当だろう。



「スケルトンウィッチ!サンダーボルト!ファイアーウォール!」



 スケルトンウィッチはルナの指示で魔法を放つ。その威力は普通の威力より強くみえた。



「あのネクロマンサー凄いね!サンダーボルトもファイアーウォールも中級魔法だけど上級魔法くらいの威力だった、あの子強いね」



「Bコートも決着がつきました!勝者はシュバルツリベリオンギルドのルナ!」



 ルナはコート上で喜んでいる。


 そのままトーナメントは順調に進んだ。他の3人も1回戦を突破しそのまま4回戦まで進んだ。5回戦を勝ったプレイヤーが本戦に出場できるためあと2回勝てば本戦出場だ。


「いやぁ、他の試合も見どころ満載だったね!」


「そうだな!次の試合はと......」


 俺は更新されたトーナメント表を確認した。


「次のヨイチの相手はギルドランキング3位のアルケミストのメンバーか......しかも3回戦とも対戦相手を一瞬で倒していた強者だ......ヨイチ大丈夫かな」


「それでは予選4回戦開始します!」


 俺は不安を胸に抱きながらも試合の観戦を始めた。

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