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第30話【ギルド冒険譚:卵の秘密とレイドバトル】

「レオ!ちゃんと参加申請しとけよ!」


「あぁ!任せとけ」


 俺はギルド対抗戦への参加申請をして皆と別れた。


「一度ギルド対抗戦の内容確認をするか」


 俺は皆と別れた後すぐにギルド対抗戦の内容のお知らせを確認した。


 ーーギルド対抗戦のお知らせーー


 プレイヤーの皆様へ明日から開始されるギルド対抗戦についての詳細をお知らせします。ギルド対抗戦は二日間開始します。


 1日目: 1vs1トーナメント

 個々の力を試す1vs1トーナメントです。各ギルドのメンバーが互いに対戦し、個人の腕前を競います。勝利によるポイント獲得と共に、報酬として個人ランキングに応じた特別なアイテムやギルドポイントを獲得できます。


 2日目: エリア占領戦

 2日目は各ギルドの連携と戦略が試されるエリア占領戦です。特定のエリアを占領し、敵ギルドとの戦略的な競り合いが待っています。勝利ギルドにはギルドポイントや占領エリアに応じた報酬が与えられます。


 報酬内容:

 1日目の個人ランキングに応じた特別アイテム

 2日目の占領戦でのギルドポイントに基づくギルドアイテム


 上位ギルドへの報酬:ユニークアイテム、ギルドランク向上


 ギルドに加入していないプレイヤーも観戦可能です。皆様の参加心からお待ちしております。


「なるほど2日間開催するのか、俺は表上職業は黒魔導士なんだが黒魔導士ぽいスキルがなぁ......トーナメントは諦めるか。アストライアのように魔族に訓練されたプレイヤーもいるかもしれないし1日目のトーナメントは観戦するか。ギルド対抗戦まで後数日あるし、ヴァリアントから貰った卵の孵化の仕方でも調べるとするか」


 俺は王都の様々な場所を巡ったが卵の孵化に関する情報は何一つ得るのことが出来なかった。


「一つくらいは情報があるかと思ったんだがな、一つもないか。どうしたものか......」


 俺は宿屋の部屋で一人考えていた。卵の情報の部分に孵化ゲージがあるが未だに0%である。これを100%にすることでドラゴンが産まれるのは確実なんだがこのゲージの溜め方が全くわからない。その時お知らせが届いた。


 ーー15分後エボンの丘にてレイドバトルを開始します。参加するプレイヤーはエボンの丘まで集まってくださいーー


「エボンの丘か......近いな。卵の孵化方法もわからないし行ってみるか」


 俺はレイドバトルに参加するためエボンの丘へと向かった。そこには既に数多くのプレイヤーがレイドバトルの参加のために来ていた。


「流石にプレイヤーが多いな。ざっと1000人程度かな?」


 俺は丘の上からレイドバトルを感染していた。そうしているうちにレイドバトルが始まる。


 ーーまもなくレイドバトルが始まります。一度でもエリアから出たり死んだりしますと再度参加は出来ないのでご注意下さいーー


「一度でもやられたら終わりか......まぁ、なんとかなるだろ」


 そしてレイドボスが姿を現した。そこには体が岩でできた恐竜がいた。全身が堅固な岩で構成されており、岩肌は鋭い岩の刃のような形状を持ち、岩の層が重なり合って筋肉や鱗のような特徴を作り出している。頭部には固い岩でできた角があり、赤く発光する眼から力強い光を放っている。その恐竜の巨体は、踏みつけるごとに地面を揺るがすほどの重みと堅牢さを誇っている。重量感のある足は岩盤を砕くように地面を踏みしめ、その一挙一動は岩山のような頑固さを物語っていた。



「あれがレイドボスか、名前はストーンレックスか、見た目のまんまだな」


「ゴォォォォォオォォォンン!」


 ストーンレックスは雄叫びを上げる。


 ーーDEF、MDFが25%減少しますーー


「雄叫びだけでデバフかよ!流石レイドボスだな」


「行くぞぉおぉお!」


 プレイヤー達がストーンレックスに攻撃を開始する。後衛では魔法使いが呪文の準備を、前衛では剣士や格闘家など近接職業が攻撃をしている。

 ストーンレックスは急速に体を振り向け、巨大な尻尾で前線のプレイヤーを薙ぎ払う。その尻尾は岩の塊のように重く、空気を切り裂きながら急降下する。巨大な尻尾が地面に叩きつけられ、その衝撃で岩盤が砕け散る。その一撃で前衛の半数近いプレイヤーが死んだ。俺は後衛でその様子を見ていた。


「レイドバトルだからって強すぎないか?こんなに勝てるのかよ」


 プレイヤーの一人が弱音を吐く。今の一撃で大半のプレイヤーの士気が下がっていた。そんな時にある槍使いが攻撃をする。その攻撃でストーンレックスは一歩下がる。


「やっぱり固いねえ、さすがレイドボス!やりがいがある!」


「あれはギルドランキング1位のセイクリッドオーダーのギルドマスターだ!このレイドバトルは必ず勝てるぞ!」


 プレイヤー達は大騒ぎだ。どうやら既にギルドランキングとやらがあるらしい。レイドバトルが終わったら俺達のギルドのランキングも確認しよう。


「僕は攻撃じゃなくて指揮をとらせてもらうね!前衛!このモンスターの攻撃モーションは比較的長いから攻撃モーションが始まり次第後退して!」


 セイクリッドオーダーのマスターが参戦してからレイドバトルは順調に進んだ。


「第2フェーズ突入か、ここから慎重に行こう!」


「グルォオオオオォオ!」


 ストーンレックスは咆哮とともに突進し、その巨大な体が破壊的な勢いで後衛の防衛線に迫る。尻尾を振り回し、岩の塊のようなものがあたり一面を覆い、魔法使いたちのいる地点に炸裂する。


「後衛!シールド展開!」


 後衛は指示に従いシールドを展開したが、魔法のシールドがガラスのように砕け散る。


「まずいっ!前衛!後衛を守って!後衛がやられると勝ちが遠のくよ!」


 前衛は急いで後衛の守護へと回る。しかしストーンレックスの突進はあまりにも速く、追いつくことができていない。


「そろそろ俺も参加するか!」


 俺は丘から飛び降り攻撃する。


「焔帝螺旋撃!」


 俺の攻撃はストーンレックスに直撃した。ストーンレックスはその場で怯んだ。


「君強いね!助かったよ!どこかのクランメンバーなの?」


「あぁ、そんなところだ」


「それじゃうちのクランには入れないか、残念」


「あんたがマスターなのか?」


「そうだよ!でも今はこんな雑談してる暇ないよ!さ、ストーンレックスを討伐しようか!」


 ストーンレックスは怒りに燃え、その巨体は暴れだし、地面を踏み鳴らした。ストーンレックスの攻撃はより激しくなり、まるで地響きのような轟音が響く。


「さ、ファイナルフェーズ突入だね!そろそろ僕も参戦しようかな!」


 アルケミストのマスターは槍を取り出した。そして俺と一緒に本格的にレイドバトルへと参加した。マスターは戦いにおいて的確な指示を送り、俺はその指示に従い攻撃を仕掛ける。ストーンレックスの攻撃は激しく、俺ははかろうじてその攻撃をかわしながら、反撃に躍起になった。俺は拳を振るい、マスターはその間合いを見極めながら効果的な攻撃を行う。ストーンレックスの身体は怒りと暴走によって暴れ続けるが、俺達は連携を取り、その攻撃を次々にかわしながら、攻め立てた。


「すげぇ、息ぴったりだ」


 アルケミストギルドのメンバーの魔法使いが魔法の準備をしながら呟く。俺達は初めて会ったとは思えない程連携が取れていた。まぁ、ギルドマスターの指示が的確なのが主な要因だが。


 マスターの的確な指示と俺の攻撃が絶妙に合致し、俺達の連携プレイがストーンレックスを次第に追い詰めていく。ストーンレックスの攻撃は激しくなるが、マスターの戦術によってその力をかろうじて抑えることができた。


「さ、トドメをさすよ!風神の怒り!!」


 槍の先から突如として強風が放たれた。その風は激しく渦を巻き、まるで竜巻が槍から生まれ出たかのような迫力を持っていた。


 風は槍から生まれて一筋の風切れを形成し、その速度はまるで疾風のようにストーンレックスに向かって疾走した。激しい風の渦が空間を駆け抜ける。


 風は激しくストーンレックスに突進し、槍の先端から放たれた風切れはまるで竜巻のように目標を襲い、それを包み込んだ。その瞬間、激しい嵐がマスターの攻撃の目標に向かって轟音を立てながら駆け抜けていく。その風切れはまるで自然の力が彼の手元で暴れるかのような迫力を持っており、風の渦が目標を襲い立てていた。


「グオオォオオ......」


 ーーストーンレックスが討伐されました。レイドバトルを終了しますーー


「すげぇ......これがギルドランキング1位のマスターか......」


「そんな凄くないよ!後僕の名前はエウロスだよ!覚えておいてね!」


「俺の名前はレオンハルト、レオって呼んでくれ」


「レオか、これからよろしくね!あ、レイドバトルの報酬先選んでいいよ!」


「いいのか?俺が先に選んで」


「助けてもらったし良いんだよ!」


「それなら......」


 俺はエウロスに言われた通り報酬を選ぼうとした。その時卵が反応した。


「ん......?これが欲しいのか?」


 卵はストーンレックスの心臓に反応している。俺は報酬として心臓を選んだ。


「心臓を選ぶなんて、レオは本当面白いね!」


「あ、あぁ......それじゃ俺はこれで!」


 俺は逃げるように立ち去った。


「あ、ちょ......」


「エウロス、やけに楽しそうだね!」


「なんだアルか。今面白い人を見つけたんだ!どこかのクランに所属してるらしいし、ギルド対抗戦で会えるかな?」


「きっと会えますよ、次は敵同士だけどね」


「そうだね!さ、報酬選んで帰ろっか」


 俺はギルドハウスへと帰ってきた。そして卵に心臓をあげてみる。すると心臓は卵に吸い込まれた。そして孵化ゲージが5%上昇した。


「こうやって孵化ゲージを上げるのか。たった5%か......あと20回......先は長いな」


 俺は卵孵化させるために後何回レイドバトルをするのか考えて頭が痛くなった。


「さて、そろそろ寝るか」

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