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第27話【ギルド冒険譚:ダークエルフへの復讐】

「我が名はヴァリアント、汝達が我の封印を解いたのか?」


 ヴァリアントの重厚な声が神聖な場所に響き渡った。その声はまるで山々を揺るがす轟音のようであり、空気中に重みを与えるような迫力を持っていた。


 ヴァリアントの圧倒的な声が広がる中、アストライアは一瞬のうちに対応を始めた。


「黒龍!俺達は封印を解いたわけではないんだ。俺達の目的は魔石にかかった呪いを解くことだったからな」


 彼の声は静かにも戻った。


「この地の呪いをか?確かに呪われた感覚が失われている......」


「......そうかそうか!汝達が呪いを解いてくれたのか!」


 ヴァリアントの声が響き渡り、その声は驚きと同時に感謝の意を含んでいた。静かな空間に大きな声が反響し、その重みを感じさせた。


「そこのスケルトンよ、汝がこの呪いを魔石に込めてくれたのだな?お陰で呪いが少し楽になったぞ、感謝する。」


 その言葉はまるで雷鳴のように響き渡り、ギルドメンバーたちはその威圧的な力に圧倒された。吹き抜ける風が、少し穏やかになったように感じられた。


 ヴァリアントは深い息をついて、静かに言った。


「呪いを解いてくれた汝達よ。頼む。我に呪いをかけた奴を討伐してくれ」


 彼の声はその場にいる全員を包み込むような威圧感を持ち、その存在感は圧倒的だった。


 ーー連続クエスト発生。このクエストは拒否できませんーー


 クエスト難易度SS


 クエスト報酬

 ヴァリアントからの信頼

 特別なスキル、装備


 クエスト目標

 ヴァリアントに呪いをかけた者を討伐せよ。


「連続クエスト!?オデッサイトは本当に面白いゲームだな」


「難易度が上がってるんだけど......ここまできたしやってやるわ!」


 俺達は連続クエストに挑むこととなった。


「ヴァリアントに呪いをかけたと言う奴はどこにいるんだ?」


 俺の質問に対してヴァリアントが説明を始める。


「そもそも我らドラゴンは孤立した種族。そこにダークエルフ達は目をつけた。ダークエルフは我らを従えようとした。だが我らは従わなかった。その誇り高き姿勢が、戦いの火種となったのだ。ダークエルフたちは我らへの恐れを、呪いという形で我らに与えた。我には他の仲間達がどこにいるのかも我にはわからぬ。我らは呪いをかけてきたダークエルフに復讐をしたいのだ」


「復讐か......俺と似てるなヴァリアント」


 俺はヴァリアントに親近感を抱いていた。俺はヴァリアントにさらに情報を聞いた。


「ダークエルフ達はダークウッドの森と呼ばれるところにいる。我がそこまで案内しよう。我の背中に乗れ」


「背中......?まさか飛んでいくの?私高所恐怖症なんだけど......」


 イザベラがヴァリアントに言う。ヴァリアントは頷いた。俺達は神父に別れを告げヴァリアントの背中に乗った。すぐさまヴァリアントは空を飛び始めた。


「空を飛べるなんて最高です!」


 ルナはとても喜んでいる。イザベラは叫びながらルナにくっついている。ヴァリアントが口を開いて言う。


「前を見ろあれがダークウッドの森だ。空から攻めてはすぐバレる。一度着陸するぞ」


 ヴァリアントは地上へと着陸した。


 ーーダークウッドの森 適正LV???


「適正LV???だと!?そんな場所があるのか......このゲームの広さといい、自由性といい、本当最高だな」


 アストライアはゲームに対して感銘を受けていた。


「俺は怖いけどな。てか、ヴァリアントがその姿で近づけばすぐバレるくね?」


「あぁ、そのことなら心配するな。我はヒューマンに変身できるのだ」


「どういうことだ?」


 ヨイチの質問共にヴァリアントは変身を始めた。


 力強い黒龍がその巨大な鱗を、輝く黒い光の中で次第に変容させていく。まるで夜空に浮かぶ黒い星のような鱗が、光を放ちながら次第に溶けていく。その光は闇夜を照らすようでありながら、異次元のようなエネルギーを秘めている。

 黒龍の体はそのままに、徐々に人間のような形状へと変わり始める。鱗が融けて肌へと変わり、筋肉と骨格が人間のような比率に変容していく。その変化は神秘的であり、周囲の空気を緊張させる。

 尻尾や翼は黒龍の体内に収縮されていく。その様子はまるで星空から消えていく星のようで、変身のエネルギーが体内に封じ込められていく。しかし、その姿は完全にヒューマンになっていた。鱗のデザインがしっかりと残されたスーツを着ているようだった。その鱗のパターンは、スーツのデザインに緻密に織り込まれ、肩から背中にかけて装飾的なレイヤーが存在した。肌は人間らしい肌色で、髪は黒く艶やかで、瞳も同様に深い黒色をしている。彼の身長は非常に背が高く、人間としては長身の部類に入るが、それでもドラゴンの威圧感や存在感は失われていなかった。その外見からも、彼のドラゴンとしての力強さや威厳がうかがえる。


「この姿になると力の八割以上が使えなくなるからあまり好まないんだが......ダークエルフの住居に入るまでだ。その間の援護を頼む」


「八割以上もか.....私達も相当頑張らないといけないね」


 ダークウッドの森を進む間夜の闇に包まれた森の中で数多のモンスターと遭遇していた。その際俺は力を使うとダークエルフ達に気づかれて逃げられるかもしれないと言うことで俺は戦闘に参加しなかった。モンスターのLVは俺達よりもはるかに高く脅威となり続けていた。

 ギルドメンバーたちは苦戦していた。彼らは慣れない環境で、LV差がある敵との戦いに手を焼いていた。武器を振るいながらも、不安定な動きでモンスターたちと戦っていた。ルナのアンデット達でモンスターを集めイザベラがデバフをかけ、ヨイチとアストライアでモンスター達を倒していたがダークエルフ達との戦闘も考え、MP温存の戦闘をしていたため苦戦を強いられていた。


「くそ......これで雑魚モンスターなのか、ダークエルフ達はどんなに強いんだよ」


 その頃ヴァリアントは異なる次元で戦っていた。モンスターの攻撃を見切り、その瞬間に反撃を打ち込む。彼の一撃は確実で、モンスターたちが砕け散る音が夜空に響いていた。


「あれで八割以上も力が使えていないのか......どんだけ強いんだよあの龍」


 アストライアが呟いた。


 ヴァリアントの戦いぶりは驚異的だった。彼の身体の奥深くに秘められた龍の力が、限られた力しか使えない状態でも他を圧倒するほどの強さを示していた。その姿は、まるで伝説の存在が暗闇の中を舞うかのようだった。俺達はそのまま進行を進めダークエルフ達の住居目前までやってきた。


「みろ、あれがダークエルフ達の住居だ、ここからはスピード勝負だ。奴らの呪いを避ける術を我は知らない。呪いを詠唱されたら負けだ」


 ヴァリアントが忠告をした。俺達は頷き奇襲をかける作戦を立てた。


「俺の影魔法とアストライアの冥界黙示録なら奇襲は出来るだろう。その後はヴァリアントが変身を解きみんなで一斉に攻めよう」


「あぁ、その作戦で行こう。早速作戦開始だ!」


 俺は作戦通り影魔法を使いダークエルフに奇襲を仕掛ける。


「闇の縛り......」


 俺は影魔法を使いダークエルフの動きを封じた。


「動きが......何者だ!」


 ダークエルフの門番が声を上げたと同時に俺は影刃撃を使い一撃で仕留める。その後も着々と門番を仕留めていく。


「敵襲だ!皆武器を構えろ!」


「ち.......ついにバレたか」


 ダークエルフに気づかれたと同時にヴァリアントが変身を解き皆で攻撃を始める。ヨイチ達も準備万全だ。


「ダークエルフ達よ、復讐の時間だ!」


 ヴァリアントの声は嵐のように荒々しく、怒りに満ちていた。彼の瞳は燃えるような青に煌めき、まるで雷光がその体を貫くかのようだった。

 彼の身体は怒りのエネルギーで揺れ動き、周囲にその怒りの波を広げていった。闇の中、その姿勢はまるで怒りの神のように威厳を放っていた。

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