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第21話【大型アップデート前夜 再び現界へ】

 ーー大型アップデートのお知らせーー


 システムから大型アップデートのお知らせが届いた。


「お、ついに大型アップデートか。一度確認するか」


 俺はお知らせを開いた。



 ーーアップデートのお知らせーー


 冒険者の皆様へ、お待たせしました。アップデートの詳細です。まず、新たなマップが開放され、新しい世界が広がります。この新マップには、新たなスキル、装備、職業が登場し、新たな挑戦が待っています。さらに、新しいモンスターもあなたを待ち受けています。勇気を持って、未知なる領域への探検をお楽しみください。


 さらに、ギルド機能を追加し、それに伴ってギルドハウスが登場します。仲間と協力して新たな戦略を練り、ギルド内外での絆を深めてください。


 そして期間限定イベントも開催されます。イベントをクリアして特別な報酬を獲得してください。詳細については後日お知らせを配信します。


 最後に、待望のレイドバトルも新たに追加されました!強大なボスとの壮絶なバトルに挑み、連携プレイの真髄を味わってください。


 俺はお知らせを見て興奮した。


「盛りだくさんだな、このギルドシステム......うまく使えれば仲間を集められるぞ」


 俺はギルドシステムてが俺に新たなる仲間を見つける手助けをしてくれることを確信していた。


「そいえば訓練してからステータス確認していなかったな、確認するか」


 俺はステータスを確認した。


 名前: ハルト(魔族)

 LV53: HP 348 + 50, MP 420 +300 , ATK 267 + 50, DEF 206 + 50, INT 354 + 410, MDF 238 + 150, AGI 168 + 50, LUK 151 + 50


 新たな称号を獲得しました。


 感情を司り者 感情を瞬時に引き出し、炎に変換することができる。


 新たなスキルを獲得しました。


 焔帝闘技(LV6): 感情を炎に変え、様々な技を繰り出す。


 焔帝拳撃(LV5):MP-5 クールタイム3秒 拳に炎を纏わせ攻撃する。

 焔帝蹴撃(LV3):MP-6 クールタイム5秒 足に炎を纏わせ攻撃する。

 焔帝螺旋撃(LV2):MP-8 クールタイム9秒 焔帝拳撃と焔帝蹴撃を組み合わせて攻撃する。

 熱情爆裂波(LV1):MP-12 クールタイム16秒 炎を一箇所にまとめて波状にして攻撃する。

 焔帝裂斬(LV0):MP-??クールタイム?? 使用不可。

 烈火連鎖拳(LV0):MP-??クールタイム?? 使用不可。

 炎龍の咆哮(LV0):MP-?? クールタイム?? 使用不可。


 俺はスキル欄を見て疑問を持った。


「ゾルガンとの訓練で身につけた焔帝闘技の技は4つのはず......残りの三つは一体なんなんだ......まさか、暴走しているときに!?」


 俺はある結論を導いた。それは確信に変わる。


「なるほど、自分で見つけていない応用技は見つけない限り使えないのか」


 俺は酒場へと向かっていた。その時チャット欄から通知が来た。


「ん?ルナからだ。待てよ......俺ルナに何も言わずに訓練に行ってないか!?まずい、謝らないと」


 ルナ:レオさん今日は狩りに行けますか?連絡待ってます。


 ルナ:あれ、もしかしてメッセージ届いてないですか?


 ルナからメッセージが届いていた。俺は急いで返事をする。


 レオンハルト:ごめんルナ!実はメッセージが見れない場所にいて連絡が遅れた!今から会えないか?


 ルナ:良かったです!今からですか......今から習い事があるのでログアウトしようとしてました。すいません!また誘ってください!


 レオンハルト:わかった。習い事頑張ってな!


 ルナ:はい!ありがとうございます!


「なんとかなったな、良かった。ルナとクエストに行けないとなると......そうだ!ヨイチに通話をかけて誘うか」


 俺は一度ログアウトしてヨイチに電話をかける。


「もしもしヨイチ?今からオデッサイトやらないか?」


「マジか!今からちょうどログインするからフレンド申請送ってくれよ!名前は「ドングリ」だ」


「流石のネーミングセンスだな!俺もログインするからフレンド申請しとくな」


 俺はログインしてヨイチにフレンド申請をした。


「よ!こっちではレオンハルトか、いい名前じゃないか」


「お前に言われるとなんかダサく感じるな、レオって呼んでくれ」


 俺とヨイチは和気藹々と会話をした。そして俺がヨイチに質問をする。


「そういえばお前の職業はなんなんだ?二次転職がなんとかって言ってたが」


「俺の職業は暗黒騎士だよ!魔族が誕生したってシステムから通知が来たからさ暗黒騎士になれば何か繋がりを得れるかなって思ってさ。でもそんなことしなくても魔族は身近にいたんだがな」


 俺はヨイチの職業を聞いて確信した。戦争の時に魔族側についていた職業だと。だが説明は後からでいいだろう。


「そういえば次のアップデートでギルドが追加されるよな、俺ギルドを作る予定なんだが入らないか?」


 俺はヨイチをギルドに勧誘した。


「ギルドを作るのか!?ちゃんとお知らせを読んだか?あれはLV50以上のプレイヤーのみが作れるんだぞ?俺なんて二次転職てレベルが上がりにくくなったからLV35だぞ?レオの今のレベルは?」


「俺は......LV50だよ、訓練していたら上がってたんだ」


 俺の言葉にヨイチは驚きを隠せない様子だった。


「お前が......LV50!?その訓練とやらも気になるがどうせ魔族限定なんだろうな。それなら大歓迎だ!お前のギルドに入らせてもらうよ。俺たち二人だけか?」


「いや、一応ネクロマンサーのフレンドがいるからその子も招待するつもりだ」


「ネクロマンサー!?あの鬼畜職業の!?はぁ......お前といたら驚くことばかりだな」


「これからはもっと驚かせてやるよ!次のアップデートが楽しみだな!」


「そうだな!」


 俺とヨイチはアップデートに期待を膨らませていた。

 ヨイチが俺に尋ねる。


「今日は何する予定なんだ?」


「そうだなぁ......フィールドボスとやらを狩りに行こうかな」


「俺たち二人だけでか、フィールドボスって普通5人とかで挑むものなんだけどな。魔族の力とやらを見せてもらうか」


「期待しとけ!」


「とりあえず今から行けそうなフィールドボスは......マッドロードだな、マッドロードは巨大な泥塊みたいなものだ。やつは泥沼の中を這いずり回るから討伐が困難なんだよ。まぁ、とりあえず向かうかマッドロードは沼地にいる」


 俺達はマッドロードのいる沼地へと向かった。ヨイチが指を指して言う。


「見ろよレオ、あれがマッドロードだなかなか討伐されないからサイズが大きくなっているな」


 そこにはマッドロードがいた。大地の粘土と混じり合った暗い色合いの泥が一体化したような、巨大な塊のようだった。泥の流れがその身体を覆い、周囲の湿地を支配しているかのようだ。その大きな塊がざわめくような音をたてている。周りの泥や水がその体から滴り落ち、地面がわずかに震える。


「あれがフィールドボス......やりがいがあるな」


 俺はフィールドボスを前に興奮していた。今の俺ならやれる。そう確信していたからだ。


「やつは胴体の割に動きが素早い。攻略法としてはマッドロードは泥や濁った水で構成されているから炎魔法で攻撃をして泥を乾燥させ、固めることでマッドロードの動きを鈍らせたり、攻撃力を減少させたりする。俺は剣術中心だから炎魔法は持ってないんだが、レオはどうだ?」


「炎魔法か......ここは俺に任せてくれないか?やれるところまで一人でやってみたいんだ。やばそうだと思ったら加勢してくれ」


 ヨイチは呆れた顔で言った。


「そんなに自信があるのか?さっきも言ったが普通は5人以上で討伐を......まぁ、お前に任せてみるよ」


「ありがとう!じゃあ行ってくるよ」


 俺はヨイチにそう告げ、マッドロードへと向かった。


「よし、やるぞ!焔帝蹴撃!」


  焔帝蹴撃でマッドロードに迫ると、俺の足元に激しく泥水が跳ねた。マッドロードは慌てて蔓を振り回し、周囲の泥を操って攻撃を試みたが、俺は機敏にそれをかわしてから、攻撃に転じた。


「焔帝拳撃!」


 俺は炎をまとった拳で打撃を放ち、マッドロードの表面を燃え盛るような光景が広がった。マッドロードは炎に抵抗し、巨大な体を激しく振るって俺に向かって突進してきた。


「グォオオオッ!」


「焔帝螺旋撃!」


 俺は瞬時に拳と蹴りを組み合わせ、マッドロードの体に向けて炎を纏った攻撃を繰り出す。その炎が泥の塊を貫き、マッドロードの体勢を崩させたが、それでもなおマッドロードは倒れない。


「そろそろ仕留めるか......」


 俺は息を整え、炎を纏った身で立ち向かい、全力でマッドロードに立ち向かっていく。


「熱情爆裂波!」


 俺は両手を合わせ、炎を一箇所に集中させる。炎は次第に波状の形を成し、マッドロードの方へ向かって広がっていく。マッドロードはこの攻撃に咆哮を上げ、自らの体を守るように腕を巻き付かせた。


 しかし、炎の波は迫り来る。マッドロードの防御も及ばず、炎は彼の体を包み込む。爆発的なエネルギーが炸裂し、熱情爆裂波の衝撃でマッドロードは吹き飛ばされた。そのまま地面に激しく叩きつけられ、炎によるダメージでマッドロードは消え去った。


「案外苦戦しなかったな」


 俺が戦利品を集めているとヨイチが俺のところにやってきた。


「おいレオ!今の技なんなんだよ!あんなのみたことないぞ!まさか魔族限定の技か?」


 ヨイチは興奮しながら聞いてくる。


「あぁ、そんなところだな、身につけるまでほんと苦労したがな」


「身につける......?普通スキルはスキルブックを手に入れて使えるようになるものなんだが」


 ヨイチは違和感を感じていた。それは俺もだった。


「俺は魔族と訓練をして身につけたぞ?」


「そんなことあるのか?」


 ヨイチは首を傾げ、不思議そうな表情を浮かべた。彼の言葉には、スキル獲得のあり方に疑問を抱いている様子がうかがえる。


「もしかすると訓練で身につけたスキルの方がスキルブックで手に入れたスキルよりも強いとか......?」


「それはありそうだな。とりあえず戦利品回収しようぜ!」


「あぁ、お!レア素材もドロップしてるじゃん!これもらうな」


 俺たちは戦利品を回収して街へと戻った。


「フィールドボスを一人で倒しただと......あのスキルは......まさか......一応追跡するか」


 岩陰から何者かがハルトの戦闘を観察していた......


 ヨイチは俺に提案した。


「大型アップデートは明日だ。明日学校から帰ったらすぐにギルドを作ろう!」


「あぁ、バイトが終わり次第ログインするよ」


「わかった。また連絡してくれ!」


 俺達は明日に備えて早めに寝ることにした。

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