「焔帝闘技の応用は、焔帝拳撃と焔帝蹴撃の組み合わせによって成り立つ。それぞれの技を連携させることで、より強力で多彩な攻撃を編み出すことができる」
ゾルガンは炎を纏った拳を握りしめ、情熱的な眼差しで俺に語りかけた。
「焔帝拳撃と焔帝蹴撃を組み合わせる場合、まず焔帝蹴撃で相手に近づく。そして、その相手に向けて焔帝蹴撃を叩き込み敵を打ち上げる。その勢いで高く跳び上がり、空中で全身に纏った炎を激しく回転させ、一斉に振り下ろす。これにより、まるで炎と旋風が交じり合うような美しい螺旋が生まれ、敵に猛烈な一撃を叩きつける。これが焔帝闘技の応用、その名も
俺は理解のためにゾルガンの動きを注意深く観察し、焔帝螺旋撃の強烈な一撃をイメージした。
ゾルガンは微笑みながら指導を続けた。
「この瞬間のリズム感が肝要だ。拳で一瞬の間隔をつくり、その後に足を追加で振り下ろすことで、敵は炎と旋風の螺旋に巻き込まれる。これにより、一層の威力と予測不能な動きが生まれ、焔帝螺旋撃の真髄が発揮されるのだ。焔帝螺旋撃は相手の予測を超え、華麗ながらも容赦のない一撃。だが、応用の際にはそのタイミングを見極めることが肝心だ」
ゾルガンが続けた。
「相手が動きを封じられた状態で放つことで、焔帝螺旋撃の真価が発揮される。理論だけでなく、戦局や相手の動きを見極め、状況に応じて巧みに繰り出すことが重要だ。これが焔帝闘技の奥義だ。理解したか、ハルト?」
「理解しました、ゾルガン。焔帝螺旋撃は美しさと威力を兼ね備えた技ですね。でも、そのタイミングを見極めるのは難しそうです」
俺は疑問を抱きながらも真剣な表情で言葉を続けた。
「でも、その難しさこそが、焔帝闘技の深みなのでしょう。習得法を教えてください」
ゾルガンが説明しながら言う。
「焔帝螺旋撃を習得するには、まず焔帝拳撃と焔帝蹴撃それぞれの基本を確実に身につけることが大切だ。ハルトはこれは出来ているから次はこの二つの技をスムーズにつなげられるようになるよう練習しよう。最初はゆっくりと、技の流れを確実に覚えることから始めよう。そして徐々にスピードを上げ、正確なタイミングを身につけていくんだ」
「繋げ方はどのようにするのですか?」
「焔帝蹴撃から焔帝拳撃への繋ぎは、足で相手を蹴り飛ばした瞬間、拳に炎を集中させる。そして、その拳を引き寄せるような動きで、再び相手に攻撃する焔帝蹴撃の勢いを利用して拳の炎を素早く操り、焔帝拳撃に繋げるのだ。流れを感じながら、連続で技を繰り出してみてくれ。初めはスピードよりも正確さに重点を置くといい。それでは、練習を始めよう」
ゾルガンが手本を示し、俺に対して繰り返しの訓練を指導した。その姿は優雅でありながら、その技の威力は圧倒的だった。俺はゾルガンの指導に従い、焔帝蹴撃から焔帝拳撃への流れを試みた。足から放たれる炎の勢いを利用し、拳にそのエネルギーを集中させると同時に、しっかりとアプローチしていく。ゾルガンの動きを見ながら、俺もその動きを追い、そのリズムに身を委ねた。焔帝蹴撃から焔帝拳撃への移行は、瞬く間に行われるべきだった。そのためには、俺の身体と炎のリンクを更に強化し、二つの技を一体として習得する必要があった。
ゾルガンの指導のもと、俺は焔帝蹴撃から焔帝拳撃への流れを掴もうと努力した。彼の手本を見ながら、足元から放たれる炎の力を感じ取り、それを拳に集中させる試みを続けた。繰り返しの訓練の中で、身体と炎の一体感が次第に高まっていった。焔帝蹴撃の動きを終えた瞬間、俺は炎のエネルギーを手元に引き寄せ、拳に集中させることに成功した。その瞬間、拳から放たれる炎の勢いは、まるで天をも焦がすような燃え盛る火のように感じられた。ゾルガンの声が耳に響き、彼の手本に続けと促す。決意を固め、俺は焔帝蹴撃から焔帝拳撃への流れをよりスムーズに行うために、身体を鍛え、技術を磨き続けた。これが焔帝闘技の真髄に到達する第一歩だと、心に刻んでいた。
「いいぞ、ハルト。動きがスムーズになってきたな。焔帝蹴撃の勢いを逃さず、焔帝拳撃に切り替える感覚が掴めているようだ。それでは、その調子でもう一度やってみてくれ。次第にスピードを上げていこう」
ゾルガンは励ましの言葉と共に、俺は訓練を続け、スピードを上げていった。
「ハルト、次は焔帝螺旋撃の威力をこのダミーに示してみてくれ。焔帝拳撃から焔帝蹴撃への流れを意識しつつ、ダミーに集中して攻撃だ」
ゾルガンはダミーを取り出した。俺はゾルガンの言葉を受け、ダミーに対して焔帝螺旋撃を繰り出した。それを見ていたゾルガンは納得した様子で言った。
「よし、なかなか形になってきたな。それが焔帝螺旋撃だ。他にも焔帝闘技には様々な技があるが全てを教えたら面白みに欠けるだろう。ここから先はハルト自身が戦闘を通して身につけろ」
「分かりました、ゾルガン。これで訓練は終わりですか?」
俺はゾルガンに尋ねた。
「いや、まだ最後の訓練が残っている。ヴェラの時同様に最後は俺との戦闘だ!この戦闘を通して焔帝闘技の技を身につけろ」
ゾルガンが俺に向けて最後の訓練の内容を伝えた。
「やっぱりそうなるのか......やってやる......」
ゾルガンの言葉に応え、俺は決意を胸に秘めて訓練に臨んだ。その胸には過去の経験と、焔帝闘技への熱い思いが交錯していた。彼の指導の下で鍛え抜かれた技術と、内に宿る情熱が、俺を前進させる原動力となっていた。最終訓練の前に立ちながらも、過去の挫折や努力が俺の胸を満たしていた。しかし、それらは決して後ろを向くことを促すものではなかった。むしろ、成長への渇望が俺を前に進ませ、次なる高みへと導くと信じていた。この一歩が、焔帝闘技の真髄に到達するための重要な段階であることを、俺は自覚していた。これまでの努力と経験が、最終訓練において花開くことを心待ちにしていた。