「まずは簡単なクエストからやっていこうか、これなんかどうかな」

　俺はルナにゴブリン討伐のクエストを提案した。

　俺がルナにゴブリン討伐のクエストを提案した後、ルナの表情が不安に包まれた。彼女は少し躊躇して、言葉を探しているようだった。俺はルナの不安を感じ取り、優しく微笑んだ。

「大丈夫、ルナ。初めての冒険はみんな不安に感じるものさ。でも、君はネクロマンサーとしての力を持っているんだ。それを信じて、一緒に進もう。ゴブリンたちなんて簡単に倒せるさ」

　ルナは俺の言葉に励まされつつも、まだ自信が持てない様子だった。

「でも、私のスキルはまだ十分に発展していないし、私にできるか不安です」

　俺はルナの肩を軽く叩いて、優しく言った。

「それは初めての冒険者にとっては当たり前のことさ。でも、君が頑張れば大丈夫だ。僕がサポートするから、一緒に頑張ろう」

　ルナは再び俺に微笑みながら、頷いた。

「ありがとうございます、レオさん。あなたの言葉で勇気をもらえました。私、やってみます」

「よし、早速ゴブリンの巣に行こうか！」

「はい！」

　ルナは笑顔で答えた。ルナは力強い決意を胸に、ゴブリン討伐のクエストに挑むことを決めた。

　俺達は酒場を出て、クエストの目的地であるゴブリンの巣へ向かった。

　ゴブリンの巣は森の中に位置しており、その場所にたどり着くまでの道のりで俺はルナのネクロマンサーとしてのスキルを確認することにした。

「ルナはどんなスキルを持ってるんだ？」

「えっと、アンデット召喚と幽魂強化というスキルです！アンデット召喚はアンデットを5体召喚します！幽魂強化はアンデットにバフを与えるスキルです！」

「それならアンデットでゴブリンの気をひいて攻撃を仕掛けようか！バフもかけてやったらもっと倒しやすくなるな」

　そんな会話をしていたら俺達はゴブリンの巣に到着していた。俺達は巣の入り口を見つけた。

「ルナ、ここからは慎重に進もう。ゴブリン相手でも侮ったらいけないからな」

　俺はルナに言いながら、二人でゴブリンの巣に入っていった。中にはゴブリンたちが数匹、不機嫌そうに武器を持ちながら待ち構えていた。

「よし、ルナ！作戦通りアンデット召喚でゴブリンの気をひこう」

「はい！アンデット召喚！」

　ルナは力強くスキルを発動し、地面から短剣を持ったスケルトンが三体現れた。その無生の者たちはじっと立っていたがゴブリンを見つけるとたちまちゴブリンへと攻撃を開始した。

　ゴブリンたちはスケルトンたちと戦い始めた。

「ルナ、今だ！ゴブリンたちが気を引かれている。攻め込もう！」

　ハルトはアンデットたちを前に指し示し、攻撃の機会を逃すまいと促しました。しかし、ルナは急に不安げな表情を浮かべた。

「本当に私にできるでしょうか......？」

　彼女の不安そうな言葉が俺に伝わった。俺はルナの不安を理解した。俺はルナの不安を取り除くべく、優しく微笑み答えた。

「大丈夫だよ、ルナ。君が使ったアンデットたちはゴブリンたちの気を引いているんだ。このチャンスは逃せないよ」

「でも......いや、私はここで変わるんです！行きましょう！」

　ルナは決意を固めてゴブリン達の元へ向かい、アンデットたちが引き寄せた注意を利用して攻撃を仕掛けた。この冒険の中で、ルナは自分のネクロマンサーとしての力を発揮し、自身のアンデットと共に戦う勇気を身につけた。

　ゴブリン達はとても弱っており、後はトドメを指すだけだった。

「ルナ！ゴブリン達にトドメを！」

　俺がルナに指示をしたがルナはそれを拒んだ。

「やっぱり......私にはできません。」

「チャンスは今しかないんだ！ゴブリンを倒してクエストをクリアしよう！」

「......できません。私には。」

　ルナはそういうとゴブリンにそっと近づき回復薬を手渡した。

「ルナ......！」

　俺はルナの行動が理解できなかった。それと同時にルナがゴブリンにやられるのではという心配が脳裏を駆け巡った。

「グワァ、グググ」

　ゴブリンはルナに感謝を示していた。

「こんなことがあり得るのか......！？」

　俺は目の前の状況が理解できなかった。

　ーーモンスターと友好関係を築きました。条件達成。称号〖冥界の調和者〗を獲得しましたーー

　システムの声がした。その瞬間ゴブリン達は笑顔を浮かべながら消えていった。

「レオさん......私称号を獲得しました......」

「マジかよ......こんなこと」

　ルナの言葉に驚き、俺は称号を獲得した瞬間を思い返した。彼女が冥界の調和者の称号を手に入れたことは、まさかの展開だった。

「ルナ、おめでとう！冥界の調和者ってどんな称号なんだ？」

「えっと......ネクロマンサー専用の称号で友好関係を築いたモンスターをアンデットとして召喚できるみたいです」

　ルナの言葉に、冥界の調和者の称号がどれほど特別なものかを感じた。俺はルナがゴブリンたちと友好的な関係を築き、初めてモンスターの笑顔を見ることができた。

「すごいな、ルナ。君はすごいことを成し遂げたよ」

「ありがとう、レオさん。でも、これもあなたのおかげです」

　ルナは感謝の言葉を口にすると、俺に微笑んだ。俺も彼女と一緒にいることで新たな体験をし、成長することができると思った。

　ーークエスト達成、酒場に行って報酬を受け取ってくださいーー

「友好関係を築いたらクエスト達成か、これにも驚きだな、ルナとりあえず酒場に戻ろう」

「はい！レオさん！」

　俺達はゴブリンの巣を後にして酒場に戻って報酬を受け取った。

「レオさん、今日は本当にありがとうございました！おかげで楽しい冒険になりました！」

「こちらこそ特別な体験をさせてもらったよ、本当にありがとう」

「あの......もしよければなんですが」

　ルナはモジモジして恥ずかしそうに言った。

「これからも私と冒険してくれませんか......！？」

　ルナからパーティへの勧誘だった。俺はすぐに返事をした。

「もちろんだよ！俺から誘おうとしてたくらいだったんだから！これからよろしくな、ルナ！」

「ほんとですか......！？よろしくお願いします！」

　俺達は正式なパーティーメンバーになった。新たな仲間となったルナとの冒険が始まった。未知の世界で待ち受ける数々の試練に立ち向かい、新たな友情を育む旅が今、幕を開けたのだった。俺達の冒険の行く末に、どんな物語が待っているのか、楽しみで仕方がない。