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第7話【現界でのクエストと懐かしい出会い】

 現界に足を踏み入れた瞬間、馴染み深い風景が目の前に広がっていた。その景色は俺にとって、日常の一部であり、学校や仕事、家といった場所と密接に結びついていた。まるで昔からの友人と再会したような感覚が心を満たした。


 深呼吸をすると、懐かしい空気が肺を満たし、安堵の息が漏れた。この場所での生活は、今までの日々と同じくらい慣れ親しんだものだ。しかし、今回は違った。俺はフィンから与えられた魔族のローブを身にまとっていた。その姿は他の人々と同じくらい普通に見えるように調整されていたが、内側では魔族としての力を持ち続けていることを自覚していた。


 魔族のローブが身に纏わり、その重みを感じながら、俺は自分の内なる力を信じていた。この現界での冒険に対する期待が胸を躍らせ、新たな挑戦に向けて準備を整えていた。


「よし、まずはクエストを受けに行くか」


 俺は酒場へ行くのを決めた。俺は魔族のローブを身にまとい、外見を変えて酒場に向かった。酒場は街の中心に位置しており、少し距離がある。街はにぎやかで、さまざまなプレイヤーやNPCが行き交い、賑わっている。俺は外見が変わったことで、他のプレイヤーからは普通のプレイヤーとして見られている。


 しかし、そのにぎやかな通りで、俺は以前まで俺のことをPKしていたプレイヤーに遭遇してしまった。彼は「レッドウルフ」という名前のプレイヤーで、俺とは過去にいくつかの対立があったプレイヤーの一人だ。


「おい、おい、お前は誰だ?」


 レッドウルフは俺に声をかけてきた。幸いなことに俺は魔族のローブを着ているため、こいつには魔族であることや昔の対立のことはバレないだろう。


「ああ、こんにちは。新しいプレイヤーとして参加したんだ」


 俺は笑顔で答えたが、その笑顔の奥には緊張感を含んでいた。こいつは俺を疑念の目で見つめ、少し考え込んだ後、挑発的に言ってきた。


「なんだ初心者か。まあ、ここは楽しい場所だ。でも、初心者は大変なことも多いからな」


 レッドウルフは少し考えた後、俺に微笑みかけた。


「初心者なら手伝ってやろう。俺はレッドウルフだ。お前の名前は?」


 俺はハルトと名乗るとバレると思ったため偽名を使うことにした。


「俺の名前はレオナルドだ、レオって呼んでくれ」


「よろしくなレオ、俺が楽しい冒険にしてやるよ。」


「よろしく頼むよ先輩」


 俺とレッドウルフは握手をした。


「とりあえず、手頃な難易度のクエストをやってみるか?」


 俺は頷いた。


「それはありがたい。どんなクエストがあるんだ?」


 レッドウルフはポーチからクエストの依頼書を取り出してそれを俺に差し出した。


「これだ。モンスターの討伐クエストだ。簡単な仕事だから、今のお前にはちょうどいいだろう」


 俺は依頼書を受け取り、内容を確認した。クエストは近くの森で特定のモンスターを討伐するものだった。俺はこのクエストに見覚えがあった。これは俺がレッドウルフに初めてPKされた時のクエストだったからだ。


「よし、早速行くか」


 俺は依頼書をポケットにしまい、レッドウルフとともに森へと向かった。森の中には静かな雰囲気が漂っており、木々の間から陽光が差し込んでいた。


 しばらく歩いていると、森の奥深くから何かの気配を感じた。それは特定のモンスターが現れる兆候だ。俺は警戒しながら、その方向に進んでいった。


 すると、突然、大きなモンスターが現れた。オーガだ。鉄の棍棒を手にしており、オーガは怒り狂ったような眼差しで俺達を睨みつけていた。


「これが討伐すべきモンスターか...案外楽そうだな」


 俺は武器を構え、モンスターに立ち向かおうとした。しかし、その瞬間、レッドウルフが俺の前に立ちはだかり、スキルを使ってモンスターを一撃で倒してしまった。


「ありがとうレッドウルフ」


「これぐらいどうってことないぜ、ほら、さっさとクエストクリアしちまおうぜ」


 レッドウルフそういうと次々にオーガを倒していった。


「お疲れさま、レッドウルフこれでクエストクリアだな」


「ああ、だが最後の一匹が残ってるぜ、レオ、お前がな!」


 そういうとレッドウルフは俺に向かって武器を向け襲い掛かってくる。


「やはりそうなるか、レッドウルフ」


 俺はレッドウルフの攻撃をひらりと避けた。ヴェラの訓練に比べたら簡単すぎる。


「初心者にしてはなかなかやるな、だが、これはどうかな!」


 なにやらスキルを使おうとしてるようだ。俺は影魔法を使おうとしたがその時背後から何者かがレッドウルフに切りかかった。


「ぐはぁあぁ!」


レッドウルフは切りつけられると地面に片膝を付けてしゃがみこむ。


「君大丈夫かい?私がきてなかったら危ないところだったねここは私に任せなさい」


 突然現れた金髪の女性は、笑顔でそう言った。彼女の髪はきらめくように輝いており、陽光の下ではまるで宝石のように輝いていた。彼女の長い髪は、風になびきながら優雅に揺れ、彼女の背中まで続いていた。


 彼女の瞳は深い青色で、透き通るような美しさを持っていた。その瞳には知識と冷静さが宿っており、彼女の内面の強さをうかがわせてるようだった。


 金髪の女性の肌は褐色で綺麗な輝きがあった。彼女の笑顔は優しさと自信に満ちており、周囲に温かい雰囲気をもたらしていた。


 彼女は金髪の髪を揺らしながら、優雅にレイピアを操り、その剣舞は美しいだけでなく、高度な技術を秘めていた。金髪の女性の特徴は、彼女の外見や振る舞いから洞察できた。


「あなたは一体......?」


俺は目の前の状況を一瞬では理解できなかった。


「自己紹介は目の前の状況を解決してからにしよっか」


彼女はそういうとレイピアを構える。

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