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10,000回PKされた俺、ゲーム内で一人だけの『魔族』に転生を果たす〜数多のスキルを極めて最強の魔王へ〜
ゆきや
ゲームVRゲーム
2024年09月30日
公開日
101,315文字
連載中
『オデッサイト』ーーそれは時代を超えた、最も革新的なVRMMORPG。その奥深い世界に没入するプレイヤーたちは、絶え間ない冒険と興奮に満ちた日々を楽しんでいた。主人公ハルトもその魅力に引き込まれ、新たなる世界に飛び込む。

しかしある日、ハルトはPKプレイヤーたちに狙われる。その日を境にハルトはPKをされ続ける日々が続く。10,000回ものPKを経験した時、ハルトの運命は大きく変わることとなる。

ーー条件を達成しました。魔族への転生を開始しますーー

ハルトは唯一の魔族として、新たなるゲーム人生を謳歌することになった。異種族に対する憎悪が渦巻く魔界で、彼の魔族としての新たな成長と冒険の扉が開かれ、彼は新たなゲーム人生を歩み出す。そして明かされる魔族と異種族の隠されし真実......新たなる冒険の物語が今幕を開ける!

第1話【魔族への転生】

 あの日から俺のゲーム人生は変わった。そう、あの日を境に全てが変わっていくのを肌で感じてる。


「また懲りずにやってきたのかハルト、今日もお前をPKして経験値稼ぎといくか!」


 こいつの名前はオデッサイト内で悪名高き存在であり、特に初心者を狙った行動で知られていた。こいつの攻撃は常に容赦なく、その名前はゲーム内で恐れられていた。その名はブラックダイヤモンド。ブラックダイアモンドの冷酷な声が響き渡る中、俺は再びPKの標的となった。ブラックダイアモンドは傲慢な口調で挑発した。


 俺は悔しさを隠せないまま反論した。


「なんで俺ばっかりPKするんだよ......俺はただこのゲームをプレイして狩りをしていただけじゃないか」


 俺の声には無念さが滲んでいた。


「それが気に入らないんだよ!お前のような雑魚野郎は家で寝てろ!」


 ブラックダイアモンドは冷徹な声で容赦ない言葉を投げつけた。


 ーーあなたは死にました。リスポーンしますーー


 俺はブラックダイアモンドに殺された。MMORPGでつきもののプレイヤーキルいわゆるPKをされたのだ。オデッサイトの世界では、プレイヤー同士の闘いも日常茶飯事だ。倒されれば経験値とステータスが得られるという仕様もあり、PKプレイヤーたちは常に新たな獲物を求めて狩りを続ける。しかし、俺にとってはPKされることは苦痛の連続だった。俺のステータスは低く、所持金も乏しい。デスペナルティを受けるたびに、ますます厳しい状況に陥っていく。 ゲームの仕様上、プレイヤーを倒せば経験値は入るし、モンスターを狩るよりも楽な場合もある。


 PKプレイヤーを倒すと倒したプレイヤーの装備が1つとスキルを一つ奪えることになっているが、そもそもPKプレイヤーを倒すのは俺にとっては難しい。PKプレイヤーにキルされる、つまり殺されるとデスペナルティが発生する。デスペナルティは所持金とステータスダウンだ。


 既に俺のステータスはオール1、所持金も0で何も買うことができない。俺が今持っているのは初期装備だけだ。こんなプレイヤーをPKしても経験値が入るんだ、PKプレイヤーにとっては恰好の的だろう。


 だがこんな生活ももう終わりだ。俺はついに逆転の糸口を手にしていた。俺は村の外れに落ちていた激レアアイテム『模倣の鏡』を少し前に手に入れていた。このアイテムは1分間だけ相手の能力値とスキルをコピーするというアイテムだ。これをブラックダイアモンドに使えば勝てるかもしれない。俺は機会を探し続けた。今日がその決行日だ。俺は決意を固め、模倣の鏡を持ちブラックダイアモンドの元へと向かった。しかし、そこに辿り着くと、不意に襲い掛かってくる別のプレイヤーたちがいた。彼らは俺の行動を察知していたのだ。


「おいおい、ハルト。何を持ってんだよ?」


 声をかけるプレイヤーたちに振り返ると、ブラックダイアモンドの他にも多くのPKプレイヤーが立ち塞がっていた。彼らの目は模倣の鏡に釘付けで、悪意に満ちた笑みを浮かべている。


「お前には関係ないだろう......!」


 そう言って俺は模倣の鏡を隠そうとしたが、遅すぎた。ブラックダイアモンドはすでに俺の意図を見抜いており、一瞬の隙をついて模倣の鏡を奪い取った。


「おおっ、これは面白そうなアイテムじゃないか」


 彼は優越感に満ちた笑みを浮かべながら、模倣の鏡を手に取り、興味深そうに眺めている。


「これを使って俺と勝負するつもりだったのか?残念だな!これは俺のものだ!お前は大人しくやられとけ!」


「くそ......!結局こうなるのか......」



ーーあなたは死にました。リスポーンしますーー


 またPKされた、これで10000回目、モンスターを狩りにもいけず、探索もできずにPKプレイヤーにPKされ続けてる。


「データリセットしてやり直したいけど生体認証システムのせいでやり直せないし、PKされ続け半年近く、ステータスもオール1で初期装備......これじゃ狩りにもいけない......よし!このゲーム辞めるか」


 オデッサイトには生体認証システムというシステムが搭載されており、これのおかげでアカウントは人生でひとつしか作れないようになっていた。俺にはやり直す機会すら与えられないのだ。俺は諦めてゲームをやめようとした、その時だった


 ーー10000回連続PKでデス達成。条件を満たしました。魔族への転生を始めますーー


 システムの声だ。


「なんだ?魔族ってなんだよ?このゲームでそんな種族選ぶことできないはずだけど......」


 オデッサイトには様々な種族がありその中から選ぶことが出来る。その中には魔族なんて種族は無いはずだ。俺はシステムの声に戸惑っていた。


  ーーあなたの種族は魔族と強制変更されます。ステータスをご確認くださいー ー


 名前 ハルト(魔族)

 LV1 HP1/10+50 MP1/35+50 ATK2+50 DEF3+50 INT2+50 MDF3+50 AGI5+50 LUK1+50

 パッシブスキル 魔族の復讐 (LV1):魔族専用スキル。魔族以外の種族に10倍のダメージを与える。与えるダメージに追加で50のダメージが付加されます。


  復讐に燃える者 (LV1):体力が0になる時1で踏ん張り攻撃力が2倍になる。


 デーモンスキン: 魔族専用スキル。自身のMDFに比例して被ダメージを減らします。


  称号 孤高の魔族: 全ステータス+50


  初代魔族プレイヤー: 魔族からの好感度が最大になる。魔族に対する信頼度が向上し、特別な報酬が獲得できる。


  古の魔王の息子: 全ての能力上昇が10倍になり、特殊なスキルを得ることができる。ただし必要な経験値量が3倍になる。


  スキル ダークブラスト (LV1): MP-5 クールタイム 3秒 ダークエネルギーを集めて放つ攻撃魔法。相手に闇属性のダメージを与える。


  ブラッドラスト (LV1): MP-6 クールタイム 35秒 相手からHPを吸収するスキル。ダメージを与えながら自身のHPを回復できる。


  ダークシールド (LV1): MP-10, クールタイム 15秒

 ダークエネルギーで作られたシールドを展開し、一定時間DEFを大幅に上昇させる。


「なんだこのステータス......LV1でこのスキルの量、しかも上位ランカーでも一つ持ってたら強い称号を3つも、魔族ってこんな強いのか?」


 俺はステータスを見たがそこには信じれないことが多すぎた。


  ーー転送を開始しますーー


 システムの声と同時に俺の体は光に包まれ、転送された。

 目が覚めると俺は見たことない城の前にいた。


 俺は自分の体を確認した。

 肌は青みがかった白色であり、紫色に輝く瞳は魔族ならではの深みを持ち、時折、光の加減で青や赤みを帯びることがある。漆黒に近い色合いの髪は短くて、ときには炎のように揺れる。やや長めの耳は、先端が尖り、魔族特有の耳型をしており、頭には二つの角が生えていた。その特徴的な外見がアイデンティティを際立たせていた。身長は人間よりも少し高めであり、その体つきは細身だが鍛えられた筋肉が見え隠れしていた。


 俺はその場に立ち尽くし、自分の変わった体と新しいステータスを驚きながら確認していた。魔族に転生したことが信じられなかったが、俺の体と称号、スキルは明らかに魔族としての力を示していた。


 周囲には何もなく、俺の前に広がるのは大きな城だけだった。城へと近づき、扉を開けると、中には不気味な雰囲気が広がっていた。暗闇の中、赤い炎が明滅している灯りだけが頼りだった。

 城の中を進んでいくと、不気味な声が聞こえてきた。それは城の奥から漏れるようにして聞こえてくる、何者かの声だった。


「ようこそ、ハルトさん」


 声の主はどこからともなく現れ、不気味な笑みを浮かべていた。彼は黒く艶やかな髪を持っており、その髪は彼の肩に優雅に垂れている。髪の一部は前髪として額に掛かり、瞳を隠すことなく顔全体を引き立てている。その瞳は深い赤色をしており、一瞬で相手を魅了するような輝きを秘めてる。


 彼の背は非常に高く、周囲の人々よりも目立つ存在だ。その長身は彼に優雅で品のある雰囲気を与え、彼の立ち居振る舞いが一層引き立っている。彼は自信に満ちた姿勢で立ち、まるで王族のように高貴な雰囲気を漂わせてる。


「誰だお前?なんで俺の名前を知っているんだ?」


  俺は疑念と警戒心を隠さずに尋ねた。目の前の魔族はこちらを見ながら言った。


「私はこの城の主人に支えるフィンです。ハルトさんようこそ魔界へ」


 そう言いながらフィンは一礼し続けて言う。


「この城は魔界としての要塞でございます。魔界は、私たち魔族が住む場所でございます。魔族として生まれた者たちは、外部の異種族に対する強い憎悪と敵意を抱いており、それは異種族からの攻撃や苦しい経験によるものでございます。我々は自身を守り、復讐を果たすべく、強大な力を必要としておりました。ハルトさん、あなたもまたこの魔族としての新たな力を手になさったのです」


 俺はフィンの言葉で自分が魔族になったことを再認識した。


「ハルトさん、この魔界には魔族たちが新たな力を見出し、訓練するための場所が数多く存在します。あなたはその場所を巡り、新たなスキルや力を習得し、より強力な魔族として成長していくべきでしょう。私もまた、あなたの成長をサポートし、必要な知識や指導を提供いたします。古の魔王の息子であるあなたに不可能はないでしょう」


 俺はフィンの言葉を聞き、この新たな世界での冒険が始まることに胸を躍らせていた。俺は力強い決意を胸に、魔界内の訓練場や遺跡を巡る冒険に挑む......

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