先輩へ。
先輩のことが大好きです。
好きを自覚したのは最近ですけれど、
ずっと前から先輩のことを意識していました。
先輩は部活でとても活躍されています。
私は、その他大勢の後輩の一人でしかありません。
先輩は輝いています。いつでも。いつでも。
その輝きに魅了された一人だと思ってください。
先輩が活躍するたびに、嬉しくなりますし、
先輩が苦しんでいると、なんとかしてあげたいと思います。
その他大勢の私では何もできませんが、
なんとか先輩のサポートをすべく、
雑用も裏方もこなしています。
便利に扱われているのならばそれでもかまわないです。
先輩が活躍できればそれでいいのです。
一度、雑用をこなしている私に、
先輩が声をかけてくれました。
無理すんなよ、と。
ああ、先輩は私のことも見てくれていたのだと、
その瞬間に先輩が特別になりました。
その特別が恋心になるのに、時間はかかりませんでした。
先輩は部活で輝く存在です。
私は雑用をするその他大勢です。
交わることはありません。
それでも、先輩の活躍を同じ部員として見られるのは、
私にとって特等席で先輩を見られるようなものです。
他のレギュラーのみんなと比べると遠いかもしれませんが、
あまりに先輩に近づきすぎると、
輝きで目がくらんでしまうかもしれません。
この手紙をしたためますのは、
噂を聞いたからです。
先輩は進学を目指していて、
進学先では勉学に集中すると。
部活はそろそろ引退して終わらせると。
そういう噂を聞いたからです。
輝く先輩がいなくなるようで、いてもたってもいられず、
手紙をしたためています。
しかし、私に何ができましょうか。
すべては先輩が決めたことです。
私は先輩の人生に何のかかわりもありません。
先輩が今後部活をしないのも、先輩が決めたことです。
ただ、私は悔しいのです。
あれほど輝いていた先輩が、
その他大勢になってしまうのが悔しいのです。
その他大勢は私のようなものがなるものです。
先輩は輝いていてほしいのです。
先輩は私の太陽です。
唯一の輝きです。
どうか、どうか、
お願いです、部活を辞めましても、輝きを失わないでください。
私に無理するなと気遣ったような、笑顔を浮かべ続けていてください。
勉学に励んでも、どうか健康でいてください。
心を病むようなことはなさらないでください。
悪い誘惑に乗らないでください。
それからそれから、
部活の日々を少しでも覚えていてください。
その他大勢の私はこれくらいの願いしかできません。
この手紙は、
恋人になる要望の手紙ではありません。
ただ、その他大勢だった私が、
輝く先輩に輝き続けてほしい、
そして、輝く先輩が大好きな、そんな気持ちをつづった手紙です。
どうか、進学なされても、輝き続けてください。
先輩ならはきっとどこでも輝けると信じています。
私は輝く先輩の恋心を抱いて、
もう少し季節を過ごしていこうと思います。
私のことは特定しないでください。
輝く先輩が近くにいては、
目がくらんでしまいますから。
きっといつまでも先輩は私の青春です。
輝く季節の太陽です。
そんな先輩のことが、きっとずっと、私は大好きです。
先輩に出会えて幸せでした。
その他大勢の後輩から、
たくさんの、愛をこめて。
とある後輩より