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第177話 切れ味鋭く

言葉のナイフを研いでおけ。

誰かを傷つけるためでなく、

言葉で天下を取るために。


私は売れない小説家だ。

書籍化もしていないので、

そもそも売れるものがない小説家だ。

投稿サイトに投稿はしているけれど評判は芳しくなく、

気持ちが折れそうになることもある。

私の心は強靭な訳ではない。

メンタルは時としてちょっとしたことで折れる。

それでも私は小説を書くことを止められない。

この言葉のナイフで天下を取りたいと思うからだ。


小説とは、言葉という武器で、

読者にこの小説が面白いと認めさせる、

言葉の戦闘であると思っている。

小説投稿サイトは戦場だ。

思い思いの言葉の武器を振り回して、

読者にその言葉の力を認めさせる、

戦いの場であると思っている。

重い武器のような言葉を操るものもいる。

踊るように軽やかな言葉を使いこなすものもいる。

私は例えればナイフ一本で戦場で戦うようなものだ。

そのナイフはいつも研いでいる。

たくさんの言葉に触れ、たくさんの言葉をアウトプットして、

私の言葉のナイフはいつも研ぎ澄まされている。

ただ、ナイフという武器であるが故、

あまり広範囲の読者に刺さらない。

派手さがない。

言葉の重みが少ない。

衝撃が少ない。

それでも私はナイフにこだわる。

一番私に馴染んでいるのがこれだと思うからだ。


たとえば使いこなす言葉の武器が、

身の丈もあるような大きな剣であるとすれば、

その衝撃は多くの読者を驚かせるし、

また、見るだけで相当な使い手であろうと思われるだろう。

戦場では、一目見るだけでできそうなものと見られることも重要だ。

小説で言うところの、最初の衝撃が強いと、

続きが読みたくなるようなものに相当する。

言葉の武器の衝撃は、読者に確実に衝撃を与え、

これからどうなるのかと言葉を読みたくなる。

ただ、言葉の武器を扱いなれていないと、

言葉の衝撃が空回りして、

なんだ続きはこんなもんかとなる。

また、言葉の武器の型ができていないと、

支離滅裂な言葉で読者を得ようと戦うことになり、

この言葉の次にこの言葉が来ているけれど、

一体何をしとめたいのかがわからなくなる。

戦場において、迷いがあると致命的だ。

読者はその迷いを汲み取って導いてはくれない。

小説投稿サイトは戦場。

誰もが武勲を立てたいと思って戦場に立っている。


私は今日も言葉のナイフを研いで、

言葉の戦場に立つ。

ナイフは一度に複数の相手に刺さるものではない。

けれど、切れ味が確かならば、

着実に読者に刺さる。

刺さる読者がどれほどいるかはわからない。

刺さらないならば、言葉のナイフを研いでおく。

確実に読者に刺さり続けるよう、

私の言葉を操る腕を上げ、

言葉のナイフの切れ味を鋭くしておく。

派手な武器ではない。

今まで武勲をあげた小説投稿者のようにはいかない。

書籍化してメディアミックスまで至れるのは、

相当な戦績をあげて、言葉で読者を屈服させてきたつわものだ。

私のようなナイフとは違う武器を選んできたのかもしれないし、

あるいは、超高速でナイフを操り続けて、

読者に刺さらせていったものもいたかもしれない。

とにかく、戦場を戦い続けたものが、

いわゆる将軍のような存在と言われる。

もしかしたら、戦場で戦い続けることに、

疲れてしまって武器を置いて去るものもいるかもしれない。

戦場で戦い続ける言葉の操り手は、

ある意味狂っているのかもしれない。

まともな人間はどんな形であれ戦い続けることはできない。

それが言葉の戦場であっても、

終わりの見えない戦場に居続けるのは、狂った人間だけかもしれない。


言葉の戦場は今日も混沌と。

私は身軽なナイフを持って戦場をかける。

確実に、読者に刺さるように。

私のナイフは切れ味鋭く。

でも、まだまだだ。

まだまだ切れるようになる。

まだまだ上を目指せる。


私はこの言葉のナイフで天下を取る。

この戦場でいつかてっぺんを取ってやる。

心が折れそうにもなるけれど、

私は戦場を駆け続ける。

小説投稿サイトはどこも戦場だ。

私は愛用の言葉のナイフで戦い続ける。

刺され。刺され。

たくさんの読者に、刺され。

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