そろそろこの関係に白黒つけようか。
私とあなたの関係は、
白とも黒ともつかないグレーな関係だ。
いい関係ではあるのだけど、
関係を表す確たる言葉がない。
何と表現すればいい関係なのかわからない。
友人でもない、恋人でもない、
幼馴染のような気もするけれどそれだけでないし、
親友といえばそれのような気がするけれどしっくりこないし、
兄弟のような関係というのもなんだか違うし、
ただの同級生という関係でもない。
あまりにもずっと近くに居続けて、
私たちの関係が何なのかわからなくなってしまった。
グレーの関係というのは、
関係を表す色彩が全部混じってしまっているからかもしれない。
ただ、そろそろ白黒つけるべきだと思う。
この関係に名前を付けたい。
私とあなたはずっと近くにいて、
隣にいるのが当たり前のまま育ってきた。
私とあなたは異性だ。
恋に落ちるという可能性もないわけではないけれど、
恋と一言で済ませる関係ではない。
いろいろな関係を表す言葉が、
合っているような気もするし、
また、全然しっくりこないようでもある。
私たちは何なのだろうか。
はっきりしない関係を続けていたから、
それがあまりにも長かったから、
今になって訳が分からなくなってしまった。
私は、あなたよりも先にこの関係に白黒をつけたいと思う。
それは、離別というものでなく、
私の方が先に、適切な関係の言葉を見つけたいと思う。
どの関係を表す言葉もなんだか違うのであれば、
まずは私が言葉を見つけたい。
あなたよりも先に見つけたい。
今まで私とあなたは、
何かを見つけることに関しては競争だった。
幼い頃から、お互いにとって宝物と思われることを、
探して見つけることに関してだけ、手加減無しの競争だった。
争っている訳ではないけれど、
お互いにとっての宝物は、自分が見つけたい。
そして、見つけたものを私たちで大事にしたい。
そのあたりはずっと一緒だ。
だから今回も、
お互いの関係を表す言葉を私は探す。
たぶんあなたも探している。
今、私とあなたは競争をしている。
私たちの関係に白黒つけてはっきりさせるために、
私たちは競争している。
今までのことをたくさん思い出している。
お互いにどんなことを経験してきたか。
どんなことを思ってきたか。
どんなことをされると嬉しかったか。
思い出とされることにはどんなことがあったか。
今、私とあなたは、
記憶を総ざらいして、私たちの関係に白黒つけようとしている。
私たちを表す言葉を探して、
私たちはたくさんの記憶を思い出す。
ふと、競争していることを思い返す。
大事なものをいつも競争して探していたこと。
勝率は五分五分。
私も見つけるし、あなたも見つける。
そして、お互いが見つけたものをお互いに大事にする。
まずは競って探す。
早く見つけてあげたいと思うのと、
負けないぞという気持ち。
幼い頃からこのあたりは変わっていないなと思う。
きっとこれからも大事なものを競争して探すんだろうし、
きっと勝率はいつまでたっても五分五分なんだろうなと思う。
私とあなたは異性。
でも、こんな競争を続けていくような気がする。
恋愛結婚というルートでなく、
異性の友人というルートでなく、
こんな関係を何というのだろうか。
私は、ひとつの単語を思いついた。
好敵手。ライバル。
私の中で閃いた。
これだと思った。
それと同時に、私のスマホに着信。
あなたからだ。
あなたは興奮した声で、
この関係ってライバルだね。
と、言っていた。
多分思いついてすぐに連絡したのだろうなと思った。
私もちょうどそう思ったと告げたら、
今回は引き分けかと笑われた。
私たちはライバル。
お互いにとって大切なものを競って探すライバル。
宝物を探すトレジャーハンターに近いかもしれない。
時には協力し、時には出し抜き、
腐れ縁のトレジャーハンター。
見つけたお宝は、お互いとても大事にする。
そう、ライバルだ。
私たちの関係はひとつ形を得た。
ライバルだったら、
勝敗にもっと白黒つけるのもいいかもしれない。
私とあなたは異性、混じりあうことがない。
それでも互いの手の内を知り尽くしていて、
競い合い続けるライバル。
今はライバルという関係に落ち着いているけれど、
これがしっくりこなくなったら、また、関係に白黒つけよう。
今度こそ私が先に見つけるつもりでいる。
あなたも多分同じことを考えている。
心を許しているけれど完全には油断できない関係。
今は、ライバル。
これからはまだわからない。
未来はどうにも曖昧で白黒ついていない。
そんなものだと私たちは笑う。