あなたは本当にちゃらんぽらん。
こんな世の中でもちゃらんぽらん。
はみ出し者を許さない世の中になったなぁと私は感じる。
普通でなければいけないような。
普通から外れたものは、
いないことにされているような。
普通とされているレールから外れた存在は、
救いの手すら差し伸べてもらえない。
レールから外れたのは全部自己責任とされて、
努力が足りないこととされて、
はみ出し者のいない世の中ということにされてきた。
私はレールに食らいつくので精いっぱいだ。
普通になるのに精いっぱいだ。
毎日普通ならばこうするであろうことを考え抜いて、
レールから外れないようにしている。
普通というレールから外れることは、
すなわち社会的な死を意味する。
私は死にたくない。
普通でありたいと願って、
生きるために普通になろうとする。
あなたはそんな世の中にひょうひょうと生きている、
ちゃらんぽらんな存在だ。
徹底して不真面目で、
何か語らせると煙に巻くようで、
働きたくないと公言していて、
間違いなく普通のレールから外れている存在だ。
ちゃらんぽらんなあなたは、いろいろなところに現れる。
普通のレールから外れた存在は、いないことにされてきたけれど、
レールから外れたはずのあなたはどこにでも顔を出す。
どんなツテがあるのかはわからないけれど、
本当にどこにでも現れる。
街中は当然のように現れる。
いろいろなお店で何かを食べているのも目撃されている。
食べたものは嘘か真かわからないほど大げさに褒めるものだから、
なんだか食べたいなと思わせてしまうらしい。
街行くすれ違った人に、
明らかに違うのに芸能人と間違えて見せるらしい。
明らかに違うものだから、
間違われた方も笑顔になってしまうらしい。
病院にも現れるらしい。
根拠なく病気が治ると言って回って、
お医者さんを苦笑いさせたり、
患者さんを笑わせたりしているらしい。
学校の休み時間にもひょっこり現れるらしい。
学生と全力で遊んだり、
わざとらしく転んだりしたり、
勝負事では負けて見せたりするらしい。
介護施設にも現れて、
たくさんのおじいさんおばあさんを笑わせているらしい。
驚くことには、警察署にも議会にも現れるらしい。
真面目な話をしているところに笑いを起こしたら、
追いかけまわされる前にいなくなってしまうらしい。
ちゃらんぽらんなあなたは、
本当にどこにでも現れる。
あなたはレールを外れている存在。
間違いなく普通というものではない。
救いの手が差し伸べられない、いないことにされている存在。
いないことにされている、ちゃらんぽらんなあなたは、
いないことにされているのを逆手にとって、
どこにでも現れて、笑顔をたくさん作りだしている。
あなたが何かすると、みんな笑顔になる。
普通でないあなたは、みんなの幸せを作っている。
確かにレールから外れているかもしれない。
でも、絶対存在しなくてはいけない。
あなたはみんなのためにいなくてはならない。
私のように、普通のレールに何とかしがみついて無理している存在も、
きっとたくさんいるはずだと思う。
なんとか生きていたい、そのために普通にならなければならない。
そうして歯を食いしばるように毎日生きている存在に、
ちゃらんぽらんなあなたは笑いを教えてくれる。
誰も傷つかない笑顔。
あなたがちゃらんぽらんなことで、
どこにでも現れることで、
たくさんの存在が救われている。
あなたのような存在がいるのならば、
狭い普通にしがみつき続けるのも考え直してもいいかもしれない。
もっと緩やかに生きてもいいかもしれないと思う。
ちゃらんぽらんなあなたは、
この世界を変えるかもしれないと思う。
とても狭い範囲の普通だけの社会でなく、
ちゃらんぽらんなあなたをはじめとした、
いろいろな存在がいるということが見えてくるのかもしれない。
笑顔でみんな手を取り合って、
ちゃらんぽらんなあなたとともに笑うのかもしれない。
そんな世界が本当に来るのかもしれない。
ちゃらんぽらんなあなたならば、そんな世界を作りそうな気がする。
ちゃらんぽらんなあなたという存在が、
人とは限らないかもしれない。
けれど、普通から外れていることは確かかもしれない。
普通の外から普通をコチョコチョくすぐるように、
ちゃらんぽらんなあなたはみんなを笑わせ続ける。
あなたがどんな存在でも大した問題ではない。
ただ、ちゃらんぽらんなあなたがいてくれないと困る。
ちゃらんぽらんなあなたを見ていたら、
身体の余計な力が抜けて笑顔が浮かんだ。
あなたは本当にちゃらんぽらん。
みんなが笑っちゃうくらいにちゃらんぽらん。
みんなが思わず幸せになっちゃうくらいにちゃらんぽらん。
いつまでも、そんなあなたでいて欲しいなと私は思う。