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第151話 不完全ゆえ愛がある

僕らは曖昧で不完全。

だから僕らに愛がある。


コンビニの駐車場に車をとめて、

車の中で、コンビニで買ってきたジャンクなものを食べる。

コンビニのあったかい揚げ物は美味い。

あったかいのもそうだけど、

揚げ物の油が、口の中を幸せにしてくれる。

肉が揚がっていれば、肉汁がジューシーで、

コロッケなんかもイモ感があって美味い。

唐揚げ類は鉄板だ。

僕みたいなジャンクフード好きを喜ばせるためだけに作られたように、

コンビニの唐揚げはとてつもなく美味い。

ここにコーラを合わせる。

ああ、油とコーラは最強だ。

甘いコーラと炭酸のシュワシュワと、

揚げ物の強い味と油で、

この味を何往復だってできそうだ。


車の中で一通りジャンクなものを堪能して、

コンビニの駐車場でぼんやりする。

健康に気をつかうような完璧な人だったら、

まずコンビニ飯は食べないよなぁと思う。

ファッションで健康に気をつかうポーズをしているような人だったら、

コンビニのサラダなんか食べるかもしれない。

コンビニのサラダでどれほど健康になるかはわかんないけど、

ポーズ付けるくらいならちょうどいいのかもなぁと思う。

僕はダメだ。

コンビニのジャンクな味が止められない。

健康を無視したような味が止められない。

健康のために止めましょうと、したり顔の人は言うのかもしれないけれど、

僕の答えは、うるせーバカ。

僕は健康なんか知ったこっちゃない。


コンビニ飯、スーパーの総菜。

揚げ物だったり、味が濃かったり、カロリーマシマシだったり、

どうあがいても完全な飯じゃない。

こんなものばかり食べていたら健康を害すると言われるくらいのものだ。

だから自分でご飯を作りましょうなどと言われるけれど、

僕の答えは、うるせーバカ。

作るのはすっごくめんどくさいんだよ。

それを考えたら、欠点だらけの飯を食べていた方がよっぽどいい。


車の中で、完全な飯を想像する。

魚や野菜をとりましょうとも聞くけれど、

そういうのは料理するのがめんどくさい。

料理の手間を省いてとても完全な飯。

それはとても味気ないだろうなと勝手に想像する。

未来は技術がとっても進化していて、

栄養カプセルを飲むだけで食が完結するのかもしれない。

栄養カプセルを飲めば、

すべての栄養が完璧に取れて、

健康を維持することができるようになるのかもしれない。

そこにはコンビニの揚げ物やコーラのような身体に悪い不完全な要素はない。

僕は思う。

栄養カプセルの時代が来たとしても、

僕はあいかわらず揚げ物とコーラを摂取するだろう。


不完全な食べ物には、食を楽しませようという愛がある。

美味しいの暴力がある。

食は楽しんでなんぼだよ。

めんどくさいこと抜きで、とにかく食べることを楽しみたいんだ。

栄養面を考えましょうとか、

自炊をしましょうとか、

そんなの知ったこっちゃない。

僕は美味しいの暴力と踊っていたい。

この不完全すぎる食を楽しみ続けていたい。

美味しいは僕のストレスを晴らしてくれる。

どんなことがあっても、美味しいは裏切らない。

コンビニのジャンクフードも、コーラも、スーパーの揚げ物も、

みんな美味しくて、食べると幸せになって、

嫌なことを忘れさせてくれて、

テンションが上がって元気になって、

腹も満たされて、心まで満たされる。

不完全な飯かもしれないけれど、

この飯には確かに愛がある。

ストレスをぶっ飛ばしてくれる強い愛がある。

ストレスをぶんなぐって、僕を癒してくれる。


不完全な飯は、不完全ゆえに愛がある。

多分不完全な飯も愛されたいんだと思う。

健康に悪いなんて言われている不完全な飯だから、

愛に飢えているんだと思う。

だから、愛されたい味になっているんだと思う。

僕は不完全な飯を愛そう。

僕も相当不完全だから。


コンビニの駐車場で、車のエンジンをかける。

不完全上等。

僕には不完全な飯がついている。

どんなストレスも殴ってくれる、

僕の最強の友だ。

健康にガタが来たとしても、

多分死ぬまで一緒だ。


僕はストレスまみれの仕事に戻る。

不完全なジャンク飯を食べた僕は最強だから、

今日もまだこれからがんばれる。

車のアクセルを踏む。

心のアクセルもふんでテンションもあげる。

不完全ゆえに愛があり、

不完全ゆえに最強だ。

僕らは不完全ゆえに求め合う。

完全な正論なんかはくそくらえだ。


僕はアクセルを踏み込んでスピードを上げた。

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