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第141話 付箋紙だらけの設計図

思いついたことを付箋に書いて、貼って剥がしてを繰り返す。

設計図はめちゃくちゃな付箋でいっぱいだ。


これは孤独なプロジェクトだ。

意見を交わす誰かもいないし、

私だけが任されているプロジェクトだ。

この日までにまとめなければならないという期限も決まっている。

悠長につらつら考える時間はない。

私は私の頭の中から、

とにかく使えそうな要素を絞り出す。

この要素は使えるだろうかと、疑問符が残るものも絞り出す。

とにかく頭の中を洗いざらい書き出す。

それが無数の付箋になる。

もやもやした感覚も付箋に書き出す。

そして貼り付ける。

付箋紙だらけの設計図は、そのまま私の頭の中になる。


私は付箋紙の順番を組み替える。

付箋紙同士の関係を考え直してみる。

並べてみたり、また、別のものと並べてみたりする。

ながめてみたりもする。

私の頭の中が外部化されていて、

私は視覚的に頭の中を組み替えることができる。

その中で思いついたことをまた付箋に書いて貼り付ける。

私の中にある情報が外に出されているので、

私は考えることに集中できる。

プロジェクトに必要なこと、

何が必要でどんな形に整えればいいか、

付箋紙を並べ替えたり増やしたりすることで、

いつしか設計図が形になっていく。


孤独なプロジェクトは、たくさんの付箋紙で形になっていく。

付箋紙は私自身でもあり、

私の忘れていた私自身でもある。

私の中にある要素であり、

また、私が新しく思いついたひらめきでもある。

私の思考は限りなく広がっていき、

プロジェクトはその広がりをもとにして、しっかりした形になっていく。

たくさんの付箋が設計図を作り上げていく。

たくさんの私の思考が、断片的なそれらが、

組み合わさって当初からは考えもつかなかった素晴らしいものを作ろうとしている。


これは私の可能性なんだ。

私の中にあるものを、

付箋に書き出して、

付箋に書くものが何もなくなるまで絞り出すと、

空っぽになった私の中に、新しく要素が生まれてくる。

絞り出した要素の付箋だけでなく、

付箋の組み合わせで思いついたことだけでなく、

全部を出し切ったと思っても、私の中に要素は尽きずに、

どんどんいろいろな要素や案が浮かんでくる。

私の中にあるものをどんどん外に出していくと、

私は余計なことにとらわれず、

ただただ思考することに没頭できる。

私の中には、多分思考の泉がある。

泉は常に何かを湧き出している。

私の中にある要素を外に書き出して付箋に書くことにより、

思考の泉は邪魔されることなくどんどん思考を湧き出していく。

これは私の可能性。

思考が止まらず、何でもできる可能性。

肉体的な限界はあるかもしれないけれど、

技術的な限界はあるかもしれないけれど、

私の思考の可能性は、まだまだ果てがないように思われる。

付箋にこれだけ書いてもまだまだ要素が思いついて、

組み合わせでいろいろなことが思いつくように、

私の思考には果てがない。


付箋だらけの設計図を記して、

私はピースがかちりとはまった感覚を持った。

ああ、プロジェクトが最高の形になる感覚だ。


この感覚が得られるから、

孤独のプロジェクトも悪くない。

設計図を書き上げて提出しよう。

やり直しが出るかはわからないけれど、

その時はもっと最高の設計図を出すだけだ。

私の付箋だらけの設計図は、

いつでも上を目指せる。

私には可能性がまだまだある。

付箋紙とともに、私は上を目指し続ける。

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