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第127話 帰り道

心地いい気分で帰り道を行く。

帰るべき場所は平和な場所。

心が元の形に戻れる場所。

穏やかで優しい場所。

小さな幸せがたくさんあって、

毎日ここに帰りたくなる場所。

私はここを家と呼んでいる。


毎日家から色々な場所に行く。

心が苦しくなる場所にも行く。

とても疲れてしまう場所にも行く。

かけられる言葉も優しいものばかりでなく。

家の外はまるで冷たい風が吹いているようだ。

たくさんつらいことがある。

家の外が世の中というものならば、

世の中というものは私を守ってくれないのだなと思う。

つらいこと、悲しいこと、怒りを覚えること、

それらが直に襲い掛かってくる。

私は家から出る度に、それらを浴びている。


だから、帰り道はとても心地いいものだ。

すべての苦しみが終わる道だ。

家に帰れば平和が待っている。

家に帰ればすべてから解放される。

ひどく冷たい風を浴びるような世の中のつらいことは、

家の中にまでは入ってこない。

家の中はいつでも心地よく、

世の中が暑い時には涼しく、

また、ひどく寒い時にはあたたかい。

家には私の心地いいことしかない。

毎日ここに帰ってきたくなる。

帰り道を行く間は、ずっと家のことばかり考えている。

喉が乾いた旅人が水を求めるように、

まぶしい直射日光を浴び過ぎた者が木陰を求めるように、

私のすべてが家に帰ることを求めている。

帰りたい帰りたいと思う。

家に帰って休みたいと思う。

家にはすべての平和がある。


もしかしたら、私の思っている家と、一般の家とは違うのかもしれない。

もしかしたら、家にはそれほどの平和が無いのが一般的なのかもしれない。

そのあたりはわからない。

私の常識とあなたの常識が違うのは当たり前のことだ。

私とあなたは違う存在。

違う時間を生きてきた。

だから、感覚が違うのは当たり前だ。

当たり前ではあるのだけど、

あなたにも、帰りたい場所があればいいと私は思ってしまう。

私にとっての家のように、

あなたにとっての帰りたくなる場所。

心が元の形に戻って、

すべての平和がある場所。

多分そんな場所があれば、

私がそうであるように、

あなたも帰り道が幸せなものになると思う。


つらいことがたくさんある。

そんな時代だと感じている。

せめて帰り道は幸せなものであってほしいと思う。

今から一番幸せな場所に帰る。

その帰り道は幸せなものであってほしいと思う。

何もかもすべてが許される場所。

私はそれを家と呼ぶけれど、

人によってはそれを楽園と呼ぶのかもしれない。

天国や極楽と呼ぶのかもしれない。

そこに帰る帰り道は、幸せなものであってほしい。


帰り道はいつも幸せな気分になる。

幸せなあの場所に帰ろう。

そして、ただいまと元気に言おう。

一番幸せな場所は、いつでも歓迎してくれるはず。

私のことも、あなたのことも。

何もかも、すべて。


帰ろう。つらいことを捨てて。

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