心地いい気分で帰り道を行く。
帰るべき場所は平和な場所。
心が元の形に戻れる場所。
穏やかで優しい場所。
小さな幸せがたくさんあって、
毎日ここに帰りたくなる場所。
私はここを家と呼んでいる。
毎日家から色々な場所に行く。
心が苦しくなる場所にも行く。
とても疲れてしまう場所にも行く。
かけられる言葉も優しいものばかりでなく。
家の外はまるで冷たい風が吹いているようだ。
たくさんつらいことがある。
家の外が世の中というものならば、
世の中というものは私を守ってくれないのだなと思う。
つらいこと、悲しいこと、怒りを覚えること、
それらが直に襲い掛かってくる。
私は家から出る度に、それらを浴びている。
だから、帰り道はとても心地いいものだ。
すべての苦しみが終わる道だ。
家に帰れば平和が待っている。
家に帰ればすべてから解放される。
ひどく冷たい風を浴びるような世の中のつらいことは、
家の中にまでは入ってこない。
家の中はいつでも心地よく、
世の中が暑い時には涼しく、
また、ひどく寒い時にはあたたかい。
家には私の心地いいことしかない。
毎日ここに帰ってきたくなる。
帰り道を行く間は、ずっと家のことばかり考えている。
喉が乾いた旅人が水を求めるように、
まぶしい直射日光を浴び過ぎた者が木陰を求めるように、
私のすべてが家に帰ることを求めている。
帰りたい帰りたいと思う。
家に帰って休みたいと思う。
家にはすべての平和がある。
もしかしたら、私の思っている家と、一般の家とは違うのかもしれない。
もしかしたら、家にはそれほどの平和が無いのが一般的なのかもしれない。
そのあたりはわからない。
私の常識とあなたの常識が違うのは当たり前のことだ。
私とあなたは違う存在。
違う時間を生きてきた。
だから、感覚が違うのは当たり前だ。
当たり前ではあるのだけど、
あなたにも、帰りたい場所があればいいと私は思ってしまう。
私にとっての家のように、
あなたにとっての帰りたくなる場所。
心が元の形に戻って、
すべての平和がある場所。
多分そんな場所があれば、
私がそうであるように、
あなたも帰り道が幸せなものになると思う。
つらいことがたくさんある。
そんな時代だと感じている。
せめて帰り道は幸せなものであってほしいと思う。
今から一番幸せな場所に帰る。
その帰り道は幸せなものであってほしいと思う。
何もかもすべてが許される場所。
私はそれを家と呼ぶけれど、
人によってはそれを楽園と呼ぶのかもしれない。
天国や極楽と呼ぶのかもしれない。
そこに帰る帰り道は、幸せなものであってほしい。
帰り道はいつも幸せな気分になる。
幸せなあの場所に帰ろう。
そして、ただいまと元気に言おう。
一番幸せな場所は、いつでも歓迎してくれるはず。
私のことも、あなたのことも。
何もかも、すべて。
帰ろう。つらいことを捨てて。