いろいろ嫌いなものはある。
痛いこと、つらいこと、汚れること、空が飛べないこと。
空がこんなに広いのに、
何で地面に足がついたままなんだろう。
転んで汚れるのも嫌いだよ。
足をすりむくのは泣くほどつらい。
何でわかってくれないんだろう。
痛いのなんて飛んでいかないよ。
痛みだけ飛んでいくなんて、ないじゃないか。
飛んでいった痛みはどこに行くんだろう。
痛みは嫌いだよ、大嫌い。
だけど、空が飛べるなら、
痛みにまたあってもいい気がする。
痛みよりも高く飛べると、
胸を張りたい気がする。
地べたで転んで汚れることもなくて、
泣くこともなくて。
汚れた地面から、
空はどこからだろう。
この世界は大嫌いだから、
誰か手を引いて空を飛んでくれないだろうか。
今すぐに。
汚れのない高い空に。
今すぐに。
高く青い、あの空に。
息が詰まるこの地上から、
苦しみのない空を思う。
国境もない、性別もない、年齢もない空。
ああ、あんなふうになりたい。
嫌いなものはたくさんあるけれど、
その広く高い空だけは真実。