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第44話 遊園地

それは古い古い遊園地。

小さな観覧車とか、

ゆっくり走るコースターとか、

木馬の少ないメリーゴーランドとか、

本当に小さな古い遊園地。


やがてそこは壊されるという。

やってきたのは大人たち。

子どもの頃の思い出を抱えて、

小さな遊園地にやってきた。


子どもは一人もいない。

大人だらけの、

大人のための遊園地。

遊園地の池で噴水が、勢いなく水を放っている。

何もかもが時代遅れで、

そして、ここから消えようとしている。


思い出の中だけの世界。

大人は瞬間子どもに戻る。

輝いていたあのころ。

過去に輝きを求めてしまう、悲しい現象。

子どもは一人もいない。

遊園地に子どもは一人もいないのに、

歓声が上がっている。

大人の思い出による、

子どもに戻るという不思議な現象。


やがて遊園地はなくなるという。

小さな小さな古い古い遊園地。

子どものいない遊園地。

そして、思い出の中だけの遊園地。

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