目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報
第42話 とき色の空

眠れなくて、明け方、

カーテンを開けてみた。

少しまぶしく感じる。

思ったより夜の目になっていたらしい。


空は色を変えている。

凪いだ朝の空。

きっとこれが、とき色の空なんだ。


とき。

絶滅した鳥が、そんな名前でなかったか。

繁殖させようと気がついたときには遅かった。

そんな運命を辿った鳥じゃなかったか。


とき色の空。

カラスも小鳥も鳴き始める。

鳥に意図したものはないかもしれない。

ただ、朝だから起きだしただけかもしれない。

鵺鳥鳴くとはいったものだ。

とき色に染まり始めた空には、

まだ何かが潜んでいるような気がする。


明け方の空はとき色の空から、

金色のお日様の空になる。

今日は晴れるだろうか。


どんな空だってきれい。

とき色の空は羽毛のような優しさで、

寝ぼけた人を包んでいる。


梅雨は明けたかな。

強い日差しの前の、

朝凪のとき色。

コメント(0)
この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?