ひたすら歩いた先には、
何があるだろう。
山を越えて谷を越えた先に、
町を越えて港を越えた先に、
何があるだろうと思わずにはいられない。
ひとところに落ち着けないのは、
性根が旅人だからかもしれない。
ゆらゆらと歩いて、
風とともに、雨とともに歩いて、
金色のお日様を、
前に、あるいは背に歩いて、
歩き歩いた果て、
何があるだろう。
この大地を歩きつくすことなど、できるだろうか。
出来ないと言い切ることは簡単だ。
やらなければ出来ない。
こんなに広いのだから、歩きつくせない。
地図の上で語るのは簡単だ。
それでも旅人は歩く。
地図では少しにされてしまう距離を、
風とともにえんえん歩く。
果てに何もなくても。
満足することがなくても。
ひたすら歩く。
いつか、すばらしい景色があるのかもしれない。
それは人の作ったものかもしれないし、
自然が作り出したものかもしれない。
美しいものかもしれない。
全ての歩みを肯定するものかもしれない。
旅人の心は千里を駆け抜ける。
果て無き大地を、
果て無き海を駆け抜ける。
旅人は旅をする。
果てに何もなくても。