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第33話 地下街

飛び込んでごらんよ。この地下街に。

それは意を決して水に飛び込むように。


ゆらゆら揺れる地下街の視界。

ここには何でもあるけど、何もない。

まだまだ何でも飲み込んでいこうとする、

貪欲な地下街。

ここに来るものは、みんな同じように、

意を決して飛び込んできたやつらばっかり。

好奇心や、覚悟や、野望を持って、

暗い地下街にやってきたのさ。


地下街の視界は揺らいでいる。

それはみんながいるから。

意識が共鳴してぶれている。

空はあまりにも遠く、閉ざされている。

明かりは少なく、閉ざされた地下街の上の、

月を思い描くことも難しい。


君は何がしたい?

このぐるぐると変わり続ける、

はらわたのような地下街で。

掘り出し物でも見つけたいかい?

それとも自分の創造のかけらを売りたいかい?

なんでもいいんだ。

この暗がりは許されている場所だから。

この暗がりが認めれば、

何でもできるよ。


意識の共鳴に慣れたなら、

地下街の住人になってしまえばいい。

何でもあるけど何にもない地下街に、

溶け込んでしまえばいいよ。


水面は遠く高く。

飛び込んだところが、どこかわからない。

君の意識が地下街に鳴り響く。

居心地のいい閉ざされた水の中。

それは誰かと繋がっていて、

それは鳴り響く力となる。


君は意識の端で魚影を見た。

ここは海の底なのかもしれない。

汚い海のそこのよどみ。

君はそこで、意識を蕩かした。

遠い水面が笑っている。


いらっしゃいませ。

魅惑の地下街へようこそ。

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