飛び込んでごらんよ。この地下街に。
それは意を決して水に飛び込むように。
ゆらゆら揺れる地下街の視界。
ここには何でもあるけど、何もない。
まだまだ何でも飲み込んでいこうとする、
貪欲な地下街。
ここに来るものは、みんな同じように、
意を決して飛び込んできたやつらばっかり。
好奇心や、覚悟や、野望を持って、
暗い地下街にやってきたのさ。
地下街の視界は揺らいでいる。
それはみんながいるから。
意識が共鳴してぶれている。
空はあまりにも遠く、閉ざされている。
明かりは少なく、閉ざされた地下街の上の、
月を思い描くことも難しい。
君は何がしたい?
このぐるぐると変わり続ける、
はらわたのような地下街で。
掘り出し物でも見つけたいかい?
それとも自分の創造のかけらを売りたいかい?
なんでもいいんだ。
この暗がりは許されている場所だから。
この暗がりが認めれば、
何でもできるよ。
意識の共鳴に慣れたなら、
地下街の住人になってしまえばいい。
何でもあるけど何にもない地下街に、
溶け込んでしまえばいいよ。
水面は遠く高く。
飛び込んだところが、どこかわからない。
君の意識が地下街に鳴り響く。
居心地のいい閉ざされた水の中。
それは誰かと繋がっていて、
それは鳴り響く力となる。
君は意識の端で魚影を見た。
ここは海の底なのかもしれない。
汚い海のそこのよどみ。
君はそこで、意識を蕩かした。
遠い水面が笑っている。
いらっしゃいませ。
魅惑の地下街へようこそ。