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第32話 ドレス

君に光る雫。

それすら編んだドレスを作ろう。


少しのずれもない、

君だけに編まれた、

君だけのドレス。

世界に一着の、君だけのドレス。


君の髪も、君の肌も、

君の涙も、君のにおいも、

全て絡めてドレスにしよう。

このドレスは君にしか着ることができない。


君に光る雫。

踊る君、舞うドレス。

そのとき世界はただの背景に成り下がる。

君だけ、世界の中心にいる。

君の感情の揺れも、君のダンスも巻き込んで、

ドレスは怪しくきらめく。


君だけのドレス。

それが作れれば何もいらない。

君だけにドレス。

君が輝けば何も要らない。

見返りなんていらない。

ただ一着のドレスのため、

それさえ編めれば何もいらない。


君だけのドレス。

その一着のため、

何万着のドレスもかなわない、それこそ最高のものを。


君に光る雫。

それすら巻き込んだドレスを作ろう。

君を包み込み、輝かせる。

最高のドレスを作ろう。


それさえあれば、何もいらないよ。

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