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第28話 万華鏡

きれいな目には、きれいなものを、うつしたいよね。

だから君に万華鏡。

飽かずながめていると、良かったなって思う。

なかなか海にも山にも連れて行けないし、

美術館にも遊びにも連れて行けない。

少しでもきれいなものを。

思いついたのが万華鏡だった。


君の目はとてもきれい。

吸い込まれるような闇。

そして、きらきらと光を宿している。

渇きを知らぬ泉のように、

そのきれいな目は、好奇心を映し出している。


鏡で出来た、小さな空間に、

きらきら光るいくつもの模様。

鏡鏡、どこを見ても鏡の筒の中。

鏡に君を閉じ込めたみたい。

どこまで行っても不思議な模様。

どこまで行っても、美しい目。


万華鏡ばかり覗いていたから、

少し万華鏡に嫉妬した。

こっちむいてよ。

そんなことを思ったら、

君は万華鏡を外して、にっこり笑った。


鏡に閉じ込めたいほど、

やっぱり君はきれいだ。

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