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第13話 テレビヒーロー

「毎週日曜日、朝8時!○○チャンネルで、チェンジ・イン!」

とあるテレビヒーローのCMが流れる。


ヒーローはいわゆるイケメンで、

悪人をばったばった倒していく。

スタントを使わないことがウリらしい。

華麗に繰り出すアクション。

必殺技こそ、CGで特殊効果を出しているが、

迫力のあるアクションが、ヒーローから繰り出されていた。


そして。


「カット!」

撮影現場監督から声が飛ぶ。

ヒーローはふぅとため息をつき、演技から戻った。

「お疲れ様です」

などとあちこちから声がかかる。

ヒーローはスポーツドリンクを少しだけ飲む。

そして、スケジュールを確認する。

と、そのとき。

ヒーローの携帯に着信。

ヒーローは携帯の画面を見ると、

テレビヒーローとは違う、真剣な顔つきになった。

「ヒートアップ号、借ります!」

ヒーローは現場に言い残し、

風のように、ヒートアップ号というバイクに乗り、

すばやくヘルメットをかぶって、疾走していった。


「まるでヒーローそのものだな」

「それがウリなんですよね」

現場はいつものようにヒーローを見送った。


そして…


とある廃工場。

ヒーローはいた。

人間と動物の中間のような、モンスターのようなものを相手にして。

「チェンジ・イン!」

ヒーローが叫び、変身をする。

ヒーローは、防御にも機動力にも優れたモードにチェンジする。

それはまるでテレビヒーローの姿そのものだった。

モンスターが突撃する。

ヒーローは華麗なアクションでモンスターをかわす。

「これは、まだテレビで流れてないけどな!」

ヒーローは武器を構え、

「モード・アッパー・タイフーン!」

叫び、武器を突き上げ、エネルギーの渦を作り出す。

モンスターは突き上げられ、

エネルギーの渦で、消滅した。

「…再来週流れる予定だ。一足早く食らったな」

聞いているものは、誰もいなかった。


「さぁ、現場に戻るか」

ヒーローは変身を解くと、

ヒートアップ号に乗り、また、現場に戻っていった。


「毎週日曜日、朝8時!○○チャンネルで、チェンジ・イン!」

とあるテレビヒーローのCMが流れる。


ヒーローの本当の姿は、

知らないようで知っている。

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