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第11話 不器用

狩ること。

それが、意味。


シノは持ち前の機動力で、狩るものを追いかけていた。

狩られるものは、必死になって逃げている。

シノが怖いのか…

狩られることが怖いのか…

あるいはその両方か。


父のガロウが持ち込んできた、いつもの仕事。

シノはアサキ、コトマルとともに、

違法にやってきた異形を狩る。

お上から言われたものだけを狩る。

そうして、賞金をもらう。

そういう仕事をしている。


夜。

満月があたりを照らしている。

通りには誰もいない。


異形は、獣のように走っている。

そういう異形なのだろう。


シノは、走りながら言葉を唱えた。

最後に、構えを取ると、

シノの手に、大きな鎌が現れた。

死神のそれと酷似しているのは、偶然だろうか。


シノは異形を追い…

追いついた。

大鎌が異形の首にかけられる。

異形は…

泣いていた。

ぽろぽろ涙をこぼし、震えていた。

(助けてくれ)

シノの頭の中に、声が響く。

(何もしない、だから、助けてくれ)

シノは…黙って大鎌を振った。


異形の首が飛び、

返り血がシノにかかった。


(ありが…)

異形の首が何かを伝えようとしたらしい。

しかし、異形は数秒もしないうちに、

灰のようなものに変わり、消えた。


返り血は消えない。


空からアサキがやってくる。

カラスの羽で飛んできたらしい。

「…不器用ですね」

アサキは、灰を認めてそういった。

「生け捕りにすれば、賞金が高くなると知っていて、ですか?」

「…」

「強制的に返された異形がどうなるか、知っていて、ですか?」

「どっちもだよ」

シノは言葉を唱え、大鎌を消した。

「ガロウさんと似ていますね」

アサキがつぶやいた。

「殺すことが、不器用な優しさになってしまうあたり」

シノは黙っていた。


満月は輝き、

その下で、

異形が一体殺された。

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