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第十四話

蒼月達二人で狩場に到着したが、すでに先客がいた。


「蒼月様!あれを!」

モンブランが指差す方向には髪色、目の色、声、容姿まで瓜二つの2人が慌てながら、泥田坊に向かって必死に銃を撃ち込んでいた。


「うわぁぁ!なんで泥田坊倒せないんだよぉ!」

「僕だってそんなのわかんないよー!」

泥田坊には銃でのダメージが全く無いため。

倒せることは絶対にない。


助けた方がいいのか。

蒼月は疑問に思いながらとりあえず破裂炎球ブラストボールを泥田坊へ放つ。


泥田坊に放った破裂炎球ブラストボールは当たった途端にバンと爆発し、泥田坊をノックバックさせる。


「「うわぁぁぁぁ」」

容姿がそっくりな2人は突然の爆発に驚き、声をあげる。


「すまん、そいつは銃じゃ倒せねぇから勝手に加勢させてもらった」

蒼月は2人に近づきながら泥田坊に対し破裂炎球ブラストボールを連発すると泥田坊は形を保てなくなり崩れ落ちる。


「「ありがとう!お兄さんの能力すごいね!」」

近くで見れば見るほど違いがわからない。


「えと・・・?」

蒼月はあまりにも似ている2人をまじまじと見て違いを探す。


「僕はミル!」

「僕はメル!」

「「双子なんだよね!」」


「おぉ、そうか!双子か!2人でゲームなんて仲良いな!」


「そんなことないよ。さっきもメルのせいで泥田坊に倒されかけたし」

「そんなことないよ。さっきもミルのせいで泥田坊に倒されかけたし」


「はぁ?メルが余裕って言うから来たんじゃん!」

「はぁ?ミルが絶対倒せるって言うから来たんじゃん」


「えぇい!喧嘩はやめろ!んで、何で二人とも超能力使って倒さないんだよ」


「僕は銃整備士ガンスミスだから銃でしか戦えないんだー」

「僕は装身具整備士オーナメントクラフターだから銃でしか戦えないんだー」


ミルが銃整備士ガンスミスでメルが装身具整備士オーナメントクラフターという超能力者らしい。

どおりで戦闘をしていたのに模倣コピー出来ないわけだ。


「ほぉー」

蒼月はニヤリと悪い顔をする。


「まぁ!なんて偶然ですの!私達ちょうど装飾品を作れる方を探していましたのよ!ね?蒼月様」

モンブランはハイテンションで蒼月に話を振る。


「あぁ、そうだな」

モンブランに話を振られて蒼月は慌てて表情を戻し平然を装う。


「へぇ!何で装身具整備士オーナメントクラフターを探してるの?」

メルは人懐っこくモンブランの方へ近付く。


「実は、とあるアイテムを加工していただきたいのです」

モンブランはアイテム欄から蒼月に渡された歯を取り出す。


「うわぁぁぁぁぁ!この女の人、歯、持ち歩いてるぅぅぅぅぅ!」

メルはミルの方へ駆け寄り、ミルの後ろに隠れる。


「違います!いえ、違うくはないのですが!そんなに怖がらないでくださいまし!」

モンブランは慌てて弁明をするがメルはミルの後ろから出てこようとしない。


「そうだぜ。確かにお嬢は歯を持ち歩くような変なやつだが、決して悪い奴じゃないんだ」

蒼月がモンブランをフォローする。


「元はと言えば蒼月様がワタクシに渡したものじゃないですか!返そうとしても全然受け取っていただけないので、仕方なくワタクシが持っていたんですよ!」


「ははは、冗談だよ!冗談!この歯な、ボスがドロップした奴なんだけど。すでに装飾品なんだ。けどなんか歯を持ち歩くのって嫌だろ?だから加工してもらえないかなって思ってさ。出来たりしない?」

蒼月はメルに問いかける。


「お兄さんすごい!お兄さんがボス初討伐した人なんだねー!」

ミルは蒼月の方に駆け寄り、羨望の眼差しを向ける。

隠れる場所がなくなったメルはモンブランのほうへ移動する。


「お姉さんも大変だねー。普通歯なんて持ち歩きたくないよねー」

メルはモンブランの立場をすぐに理解し、お嬢が持っていた歯を手に取る。


「んー、加工出来そうだよー。けどこれだけだと無理そうー。餓鬼の灰ってETCアイテムもかなり必要だなー」


「かなりってどれくらいだ?」


「100個必要みたいだよー」


「なるほどね。なら後で100個集めるか。んで、お代なんだけど」


「あっ、お代のことなんだけど僕から提案が有るんだよ!お兄さん達ここにいる泥田坊って倒せる?」


「ん?倒せるぜ」


「ならETCアイテムを譲ってくれないかな?僕達2人とも生産のクエストで使うんだけど銃じゃ倒せないんだよねー」


「おっ、そんなことでいいのか?お安いご用だぜ!」


「ほんとー!?すごい助かる!」


「おう、ならその辺で待機しててくれよ」


「わかった!ミル待機しとこ!ん?ミル?」

メルはミルの方へ振り向く。


「どうせ僕なんて銃整備士ガンスミスで役に立ちませんよーだ」

ミルはしゃがみ込んで、地面にのの字を書いていじけていた。


「いやそんなことないぜ」

蒼月がアイテム欄から茨木童子の骨を取り出す。


「これもボスからのドロップアイテムなんだが、銃に加工出来たりしねぇかな?」

茨木童子の骨をミルに渡す。


「見てみるねー!」

ミルは骨にタッチして情報を確認する。


「出来そう!対物ライフルっていうめちゃくちゃ大きいスナイパーライフルが作れるみたい!けど素材が結構いるよー。餓鬼の灰30個、泥田坊の指30個、垢嘗の舌30個んでこの骨が1個って感じだねー」


「なるほどね。垢嘗ってのはどこにいるかも分からないな」


「僕達知ってるよー!」

「場所教えようかー?」


「えっ?良いのか」


「もちろんだよー!その代わりちょっとレベル上げ手伝ってほしい!」


「レベル上げ?俺は問題ないが、お嬢構わないか?」

蒼月は先に約束していたモンブランに確認する。


「もちろんですわ!人が多い方が賑やかで楽しいですもの!」


「オーケー、ならグル誘うぜー」

蒼月がUIを操作してミルとメルをグループに誘う。


「んじゃ、いっちょパワーレベリングやりますか!」

蒼月は泥田坊を倒すために破裂炎球ブラストボールを発現させる。



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